Coronary Stent Implantation Techinique

山口 徹、中村 茂

(協力)

Antonio Colombo M.D., Columbus Hostpial Mialn Italy.

Patrick Hall M.D., Arizona Heart Institute, Phoenix, U.S.A.


ステント挿入テクニック

 冠動脈ステント挿入術は、最終血管径が通常PTCA より常に大きく術者の満足度が高いdeviceであるが、状況によってバルーンより術時間が長くなることが多い。ステント挿入はPTCAと異なりspot procedure ではなくlength procedure でありステントを挿入した部分全体で良好な結果が必要である。


1)Coronary stnet implantation

 バルーンによるPTCAはすでに確立された冠動脈治療法であり約95%の成功率と35 %の再狭窄を生じる。これは60%では十分成功する治療法である。PTCAの残存狭 窄率は約30%であり、ステントの残存狭窄率は約10%である。

 禁忌となるのは通常のPTCAとほぼ同様で、抗凝固療法の不適応者であるが、高圧 拡張を施行するようになった最近では完全な拡張でなくとも抗凝固療法を厳しく コントロールする必要はなくなりつつある。もう一つは解剖学的な問題である。

 血管径2.5mm以下、病変近位部の屈曲、び慢性病変があげられる。実測50%以下 の近位部病変にステントが引っかかり通過しないことがある。とくに血管内腔が 平滑で徐々に狭窄を示しているような場合は見落としやすい。このような場合は %狭窄ではなく実測の内腔径に注意する。径が小さければステント挿入前に近位 部の軽度の狭窄を解除する必要がある。ステントを病変部にまで運ぶことは技術 にもよるが多くは血管の弾力性に左右される。近位部に軽度の石灰化を透視で認 める場合、高齢者のときは病変は硬くステントが引っかかりやすいのでベアース テントを行う場合は注意が必要である。ステント挿入はPTCAよりも時間がかかる ものであり通常のPTCAとバイパス手術の中間に位置すると思われる。

Medication

 Pre medication はAspirin P.O. 162mg(小児用バファリン2錠), Heparin 10.000 (bolus iv). 最近では1.000U/kg.

System

 8Fラージルーメンカテーテルを用いている。ヨーロッパでは6Fのカテーテルを用い橈骨動脈や肘動脈から行っている。目的は抗凝固療法をするにあたり出血性合併症を減らす為である。

  1. Guiding Catheter
     ガイドカテーテル先端軸が冠動脈入口部の軸に一致することが望ましい。ベアーステントを行う場合は軸がずれているためにステントがバルーンからずれることがある。とりわけWiktor, Gianturco-Roubinステントには重要である。 Gianturco Roubin ステント3.5mm以上のものは9Fのガイドカテーテルを必要とする。現在改良中のRoubin-IIはプロファイルが低くなる予定である。回旋枝にはAmplatz カテーテルまた、Vodaカテーテルはバックアップ力に優れている。 サイドホールは造影性が落ちるのでないほうが好ましいが症例による。CVISの血管内超音波カテーテルは8F未満のカテーテルには入らない。Endosonics 血管内超音波カテーテルは6Fでも使用可能である。

  2. Guide Wire
     ACS Extrasupport wire やS port wire、 Platina Plus など血管の走行を真っ直ぐにさせステント挿入がし易い。これらワイヤーはバルーンとの相性が悪いと滑りが悪くなる。 Gianturco Roubinステントでは0.018がより高い安定性を示す。硬いワイヤーの問題点はチップがdistal dissectionを引き起こしたりすることがある。ステント挿入後に通常のフロッピーワイヤーにかえることもひとつの手である。屈曲した血管が硬いワイヤーで引き伸ばされると、屈曲の外側カーブの部分にアコーデオン現症を生じ病変に見えることがある。ワイヤー抜去により消失する。

  3. ステントの選択

Pre Dilatation

 アンダーサイズバルーンによる拡張が好ましい(解離を生じにくい。ひとたび解離を生じるとそれによって病変長の増大が生じることがある。)が費用の問題がある。complex lesion や高齢者では病変が硬いことがあり十分な前拡張が必要である。ベアーステントのときに引っかかることがある。病変近位部にintermediate lesion が存在するときには要注意。%stenosisではなくMLDに注目し2mm以下と思われるときは拡張しておいたほういいことがある。

Post Dilatation

 コイルステントを拡張するときの注意。ノンコンプライアントバルーンは一度拡張するとバルーンに陰圧をかけたとき翼状になる。バルーンを引き抜いてくるときにコイルに引っかかりコイルの変形を惹起する。十分にバルーンを収縮させたらindeflator deviceの陰圧を解除する。陰圧を持続すると翼が硬くなる。 Semicomplaiant balloon が比較的良い。Europass, Olym.gifs, Sleek, Speedy, Cruiser, Pront など。これらのバルーンは比較的柔らかくプロファイルも小さいのでコイルを引っかけることが少ない。

Vasospasm with High Pressure Balloon dilataion.
 高圧拡張するとvasosoasmを高頻度に認める。ニトログリセリンicでも改善しないことがある。


Special Techinique

 ベアーステント法はtrackability を上げ、シースシステムを使用しないため造影性が高まり位置決めが容易になる。重要なことはバルーンに傷を付けずにマウントすることである。

1)ステントを16Gの静脈留置針にのせる。(Fig-1)抵抗が強いときは18Gに乗せてから16Gに乗せる2段階で行う。針を進めるときにarticulation のdistal 側のストラットを引っかけないように注意する。

2)針だけ抜き取る

3)バルーンをステントが乗った静脈カニューレの中にいれる。ACS lifestream に乗せるときは径が太いので、メスで縦方向にスリットをいれておく。静脈カニューレの先端がテーパーしているものは先端を切り落とす。ステントをバルーンに乗せる前に一度バルーンを拡張しておくとステントのずれが生じにくい。バルーンのシリコンコートなどをガーゼまたはヒビテンでふき取っておくと滑りにくくなる。非常な末梢病変ではバルーンを拡張することによりprofile を悪くするので拡張せずに丹念にステントをマウントする。

4)バルーンを手の平、薬指、小指でおさえてステントを親指と人差指で押さえカニューレのみをひきぬく。

5)ステントを指で何度もよく絞める。ガイドワイヤーをいれておく。回転させてステントをマウントするとバルーンに傷が付き破裂の原因になる。ステントが前後に動かないか指で確認する。Articulation 部を一度曲げておくとずれにくい。一度バルーンに陰圧をかけ破裂していないか確認する。その後ニュートラルに戻す。特に2回以上のdelivery に使用する場合は一度体外で拡張しバルーン破裂がないか確認する。Yコネクターに挿入する前に最終的にもう一度ステントを絞める。Yコネクター部を十分に開く。不十分にしか開かない場合はモスキート鉗子の先端をいれて拡げれば確実である。

6)short lesion and short stent.
 Short lesion ではステントを眼科用ハサミでarticulation 部を切断する。2つのステントをオーバーラップさせて使用すると中央部のサポートが強くなる。手間がかかるので最近行っていない。Angio上のshort lesionであっても病変は拡がっていることが多い。ステント端に解離が生じステントを追加する場合、にはshort stent が有用である。ステントを半分に切断して使用する場合、切り口に注意する。デリバリーの時に引っかかったり、バルーン破裂の原因になる。Short stent をshort balloon を使用し屈曲部にいれる場合はバルーンの拡大に伴いバルーンが移動しステントの位置がずれることがあるので注意。

Stent Delivery
 ステントデリバリーはバルーンシャフト性能を把握しておく。SDSシステムは長軸方向のたわみが生じるので引き戻しで位置決めする。位置を確認してからバルーンを拡張するまでの間にシャフトの力が徐々に先端に伝わり位置がずれることがある。

Stent Implantation for Acute Vessel Closure.
 PTCA後の急性閉塞や大きな解離が生じた時には早めにステントに切り替える。まず出来るだけ遠位部からカバーしていく。緊急ステントの場合はステントを確実に拡げることは更に重要である。IVUS で緊急ステントでは約70%の例で不十分拡張が発見されている。待期的ステントでは30%であった。文献的には血栓性閉塞はbail out stenting に高率に認められている。また残存狭窄が30%前後と高い。これらの結果は術者の心理状態を反映している。ステント前の狭窄が著しくステント挿入後は著明に改善しているからである。とりわけPTCA の残存狭窄は30%前後であり、ステント挿入後が20%程度になれば術者にとって著明な改善と感じられる。complex lesion やacute occlusionも10%未満の残存狭窄をめざすべきである。

Stent implantation distal to a deployed stent.
 ステントのdistal にdissection が生じた場合そこにステントを追加するのは難しいことが多い。ステント内で引っかからないように手前のステントを高圧で十分に拡張しておく。デリバリーシステムが安全である。Micro stent, ACS stent が適している。Dog bone にすると良好の場合がある。ベアーステントを作成しステント部分を拡がらないように指で押さえ、ゆっくりと1ー2気圧まで拡張する。あまり膨らまし過ぎるとバルーン自体が抵抗になる。

Aorta Ostial lesion
 ステントを入口部に挿入する場合、new PSステントは金属量が多く透視で位置決めがし易い。ベアーステントテクニックで行う。ステントの近位端が少し大動脈内に突出するぐらいにする。(余り突出させると二度とカテーテルが入らなくなる)Angio上short lesion でも7mmのcut off Palmaz でないほうが良い。通常サイズを用い半分はアンカーとして使用する。冠動脈と大動脈の軸が斜めの場合short stentは脱落することがある。ガイドカテーテルの先端から大動脈壁までの距離はAngioよりも長いことがある。(カテーテルが冠動脈に入りこむため短く感じる)左主幹部はLAO view がよい。

Bend lesion
 屈曲部へのステントは屈曲性ステントが適する。PSステントは直線の連続となる。ステントのdistal end が屈曲部を伸展すると解離が生じることがある。

Sever Calcified lesion by Angio
 高齢の患者では動脈硬化巣の石灰化率が高くなる。Rotational atherectomy をステント前に施行することが期待される。バールサイズはやや小さめでよく、硬化巣を削り取る必要は無く、plaque の硬さを低下させる。pre dilataion は十分に行っておく。 Rotational atherectomyでslow flowとなったものは抗凝固療法を十分にしておく。

Bifurcation lesion
 分岐部病変ではバルーンで十分拡げるのが困難なことが多い。分岐部にステントを挿入すると側枝に対しintervention ができなくなり"stent jail" と表現されている。ステント挿入によりplaque shift が生じる場合、また側枝の入口部狭窄がある場合、側枝閉塞が生じる。以下の2点について考える。

(1)側枝のサイズと潅流域が重要かどうか。
(2)側枝入口部に狭窄があるか、もし入口部に病変があればステント挿入前にバルーンで拡張する。それによりplaque の圧排や狭窄を防げる。ステントを本幹に挿入した後も側枝にたいしてはストラットをとうしてアプローチできる。バルーンでストラットを拡張する場合はバルーン破裂の危険があるためにバルーンの先端1/3程度いれる。時にkissing balloon テクニックを用いる。側枝にdissection が生じステント挿入が必要な場合ストラットが十分に拡張していればデリバリーシステムはストラットの間隙を通過可能である。側枝でも入口部に病変がない場合はステント挿入前の拡張は行わない。ステント挿入後に狭窄が生じた場合のみ行う。

 コイルステントを使用すれば側枝にはaccess し易い。


Trouble Shooting

  1. バルーン破裂
    低圧でバルーンが破裂した場合、うまくバルーンだけが引き抜ければ最もprofile のひくい柔らかいballoonに交換し拡張する。(Cordis Europassなど)

    ステントごと引き抜けた場合はガイドカテーテル入口部まで引き抜く。そのまま抜くとステントだけ脱落することが多いので一体にして腎動脈分岐部のしたまで引き抜き鉗子でつかみ回収する。ピンホール破裂の場合、5ccの生食と造影剤の混合を20ml/secで最大300psiにセットしinjector で拡張する。

  2. Stent Migration
    ステントの移動は多くはコイルステントで生じる。それによりフラップができることがある。ステントが十部にアンカーされていないことが原因である。

    Palmaz-Schatz では通常生じない。

  3. Lost wrie position
    ステント挿入中にガイドカテーテルやワイヤーがはねることがある。エクストラサポートワイヤーを挿入する。ステントが未拡張で冠動脈内に残る場合ワイヤーの先端をU字にまげてステントの中心部を拾う。マグナムワイヤーが有効な事もある。short PS やMicro ステントは血管の中で回転するため困難。もしステントの中央部を拾えない場合はその場所でステントを壁に押しつけておく。通常は血流を障害しないがステントが引っかかったところは通常カーブか病変があるためでありその部分にステントが必要と考えられる。

  4. Stent Embolization
    ステント塞栓はベアーステントを行っても0.5%未満である。通常臨床的に塞栓症状を伴わない。ステント塞栓はステントを病変部まで持っていけなかった為に引き抜いたときにしょうじる。一体として引き抜いた時にはシースの部分で脱落する。見えないステントは回収出来ない。ワイヤーステントは回収し易い。

  5. Vessel Rupture
    バルーンオーバーサイズで生じる。心外膜下に造影剤のたまりができ血腫がとどまっているときはperfusion balloonによるlong inflation が有効である。心外膜が完全に破裂しているときは造影剤は広く流出し患者は強い胸痛を訴える。タンポナーデになる可能性が高く。バルーンによるタンポンを行う。バルーンによるlong inflationだけでも止血に成功することがある。心嚢液の貯留はRAO viewで心尖側で観察し易い。血圧低下があれば心嚢穿刺が有効である。閉鎖出来なければ手術適応である。バルーンによるタンポンをしたままope室に運ぶ。

  6. Post dilatation
    Post dilatation 用のバルーンを挿入する時に先端が引っかかる場合は軽くバルーンを拡張する。それによりチップの当たっている位置をずらせる。それで行かないときはワイヤーを引き抜きながら軽くおす。無理に押すとステントの端をピンチアップしてしまう。Low profile balloon に変更したほうが望ましい。

    2本目のワイヤーを挿入することにより血管を真っ直ぐにさせることも効果的である。

Sheath Removal

シースはACT150sec以下になった時点で抜去する。夕方遅く終了した症例は翌日までヘパリンを持続し翌朝抜去する。 ACTが高くてもアンジオシールを用いて止血可能である。プロタンミンを使用しヘパリンの効果を減少させる方法も有効である。

Hospital Discharge

抗凝固療法を使用しない場合は通常PTCAと同様に退院可能である。


血管内超音波ガイドステント法

(1)IVUSの機械

主にCVIS 血管内超音波カテーテル(0.018 guide wire可) 2.9F 30Mhz カテーテルを使用している。

Zoom settingは : 37 か31。

(2)環境

電源はカテ室以外からとるのが望ましい。カテ室内の自動血圧計等からノイズが混入する場合は電源を切る。モニターを術者の正面に設置する。

(3)機械の準備

患者名とID スペース内にprocedure の内容を記載する。ここには16文字しか記入できないので省略記号を用いると便利である(Table 1)。

例(1)Lp1PS3.5Hi18A

LAD proximal, one Palmaz-Schatz stent which is inflated with 3.5 Hi-energy balloon at 18 atmospheres.

Table 1 ABBREVIATIONS


STENT TYPEBALLOON TYPE
PSPalmaz-SchatzChChubby 10mm
SShort Palmaz-Schatz(7mm)CoNC Cobra
BPBiliary Palmaz(10mm)EuEuropass
PSDPalmaz-Schatz delivery systemHiHigh Energy
PDPalmaz delivery system(8mm)NcNC shadow
WikWiktor stentOtOlympics
GRGianturoo-Roubin stent(20mm lemgth)SpSpeedy
SGRShort Gianturoo-Roubin stent(12mm length)PiPiccolino
AVEMicro stent
CorCordis stent

PRESSURE
A  Maximum balloon pressure (Atmospheres)

Location
LpLADproxLMLeft MainPDPosterior Desending
RmRCAmidDiDiagonalPLPosterior Lateral
CdCxdistalIMintermediateVVein Graft


ビデオに録画する前にはテープの頭だしに注意。間違えてすでに録画されているものを消してしまうことがある。ビデオテープの残量をチェックする。テープが終了すると自動的に巻き戻しになり初めから今までの記録を消してしまうことがある。記録中は常に何を見ているかのコメントを入れる。そうしないと後で見直したときに全く分からない。ビデオテープにデジタルAngioを同時に録画すればなおわかりやすい。

(4)画像不良のとき

5ml 以下のシリンジでカテーテルをよくフラシュしカテーテル内のバブルを除去する。高度狭窄、石灰化や屈曲病変の末梢側ではIVUS カテーテルが等速で回転できず、画像の歪み:NURD(Non uniform rotation distortion) が生じることがある。  ガイデBングカテーテルが深く入りすぎているとslow flow を生じ赤血球の反射を拾うため、カテーテルが 病変部にwedge しているような画像になる。

(5)血管内超音波法

血管造影でステント拡張が十分に成功した(%Diameter stenosis < 20%) と術者が判断した時点でIVUSを施行する。ガイドワイヤーに沿ってプラスチックシースをステントdistal に進め、ガイドワイヤーをマーカーまで引き抜く(monorail system)。プラスチックシースを進める時にステント部で抵抗があるときにはステントは十分に拡がっていないので、再度バルーンでの拡張後に行う。特にコイルステント(Gianturco-Roubinm, Wiktor, Medtronic,AVE )の場合はコイルの損傷、位置ずれをおこす。ついでIVUSのプローベをシース内に進める。この時モータードライブのスイッチを入れプローベは回転させておくとスムーズに進められる。カテーテルが先端まで到達したらAngioに記録する。それによっていつIVUS をしたかがフィルム上で確認できる。

手動で行う場合はゆっくりと引き抜いてくる。auto pull back 装置を用いると術者間の差がなく好ましい。引き抜きスピードは0.5mm/sec, 1.0mm/secであり、我々は0.5mm/secで行っている。

術者にとって最も重要なことは 2-dimensional image であるIVUS 象を自分の頭の中で構築し、どこが最も内腔が小さいかを知ることである。

(6)計測

計測はIVUS machine 内蔵のプラニメーターを用い、distal reference (5-10mm from stent edge), ステント内の一番小さい場所、proximal reference(5-10mm from stent edge) で行う。計測方法を図示する(Fig. 2-A & B)。
結果の判定には内腔面積で行う。1 diension measurement である内径で行うことは血管造影で判定することと同じであり避けるべきである。


観察ポイント

ステントストラットの血管内壁への接着、血流障害となりうる狭窄をステントをふくめ治療部位に認めないこと。

再拡張をするかどうかは内腔断面積と、末梢側reference の内腔断面積との関係である。

基本的には以下の2つである。(Fig. 3-A & B)

(A)  IVUS の画像からステント部の内腔断面積はdisal reference よりも小さい。このステントは更に拡張されるべきである。これは計測によって確定するが、目測によっても判る。実際の内腔が小さいかどうかは血管内超音波のプローブと血管内壁までの距離に注目するとわかりやすい(両矢印)。

(B) IVUS の画像からステント部はreference 部と比較してもよく広がっている。しかしステント部は血管全体の代償性拡張のによりかなり多くのatheromaを残している。十分なatheroma 圧縮のためさらなる拡張ができる。実際にはステントストラットと中膜までの距離に注目するとわかりやすい(両矢印)。

(8)IVUS success のガイドライン

ステント部とreferences部に内腔面積の著しい差がなければ成功と考えられる。
Fig 4. に1993年10月以降に行った至適サイズバルーン、高圧拡張を行った例のパーセンタイルカーブのステント部、references部を示す。パーセンタイルカーブから、小さい血管ではステント内腔断面積はdisal referenceより大きく、大きい断面積群ではステント内腔はdistal reference のパーセンタイル曲線にクロスしている(Fig 4)。95%以上の症例でno anticoagulation であるが、この時期のステント血栓は3例で(0.66%)で、2例はdistal dissection を残した為であり、残りの一例はステント内腔の不十分拡張であった。3例とも最終バルーンサイズは3mmであり、このサイズのバルーンを使用するということは小さい血管にステントを挿入しているか、バルーンサイズの選択ミスの可能性を考慮する必要がある。小さい血管にステントを挿入する場合はステント断面積は必ずdistal reference 内腔よりも大きくする。大きな血管にステントを挿入する場合は必ずしもreferences 部よりも大きく広げなくても受容できる。

血管断面積(中膜を含む全体)から算出する場合は60%を目標に広げる。これは正常血管でも約40%のatheroma を含むからである。criteriaはきつくすると到達できない。その理由はステントはPTCA と異なりpoint procedure ではなく length procedureである。15mmのステントの前後では分岐などがあり reference vessel のサイズが極端に異なる事があるからである。通常はproximal と distal refernce のサイズの差は20%である。50%のvessel CSA と 60%のvessel CSAをターゲットとした場合のパーセンタイルカーブを示す(Fig. 5)。

バルーンサイズからみた血管サイズとCSA.

簡単な方法としては、balloon size から予測する方法である。術者は通常のPTCA手技ではballoon / vessel ratrio 1.0-1.1を通常選択している。 このサイズのballoon CSA の70% をターゲットとする方法である(Fig 6)。このグラフから、小さい血管ではやや大きめのballoon を選択する傾向があり、大きい血管ではやや小さい傾向がある。通常のPTCA バルーンは1.5から4.0mmであり4ミリを越えるバルーンが使用されることは少ないことも影響している。

バルーンサイズと断面積の関係を示す。

Table 2 BALLOON DIAMETER AND CROSS SECTIONAL AREA

DiameterCSA70%of BalloonCSA
2.5 mm4.9 mm^23.4 mm^2
2.75mm5.9 mm^24.2 mm^2
3.0 mm7.1 mm^25.0 mm^2
3.25mm8.3 mm^25.8 mm^2
3.5 mm9.6 mm^26.7 mm^2
3.75mm11.0mm^2 7.7 mm^2
4.0 mm12.6mm^2 8.8 mm^2
4.25mm14.2mm^2 9.9 mm^2
4.5 mm15.9mm^211.1mm^2


CSA; Cross-sectional area

現在行われている MUSIC Study について。

MUSIC study (Multicnter Ultrasound Study in Coronary)では近位と遠位のrefernce の断面積の平均値の90%をステント拡張のターゲットし、それにあてはまれば抗凝固療法なしでアスピリン100mg/day以上を投与し、血栓性閉塞と再狭窄を調べる多施設試験である。ターゲットクライテリアを示す(Fig.4)。

(9)ステント拡張方法

ステント拡張方法には2通りある。一つはより高圧を用いる方法。 もう一つはオーバーサイズバルーンを用いる方法であるが、過ぎると血管破裂を引き起こす。balloon / vessel ratio は、ほぼ1.0が望ましい。明かなオーバーサイズを用いるときはショートノンコンプライアントバルーンで中等度の圧(12-16気圧)を用いる。完全なるオーバーサイズの場合はdistal reference の中膜径を越えないようにする。血管サイズが異なる部位にステントを挿入する場合、ステントの手前側が大きな血管内で末梢側が小さな血管に留置することがある。この場合はステントの近位側と末梢側では拡張バルーンの圧を調節することが必要である。基本的にはステントを拡張するバルーンはノンコンプライアントバルーンが正円性に拡張できる。

(10)病変部形態

非正円性拡張:20-30%の病変は非常に硬い(線維性、石灰化病変)。このような病変では過拡張は主に血管の健常部に生じる。symmetry index (mionor diameter / major diameter) は<0.7 となる。ステント内腔をさらに拡張しようとし、バルーンのサイズアップを図るとsymmetry indexはさらに悪化し、血管破裂の危険が増すと考えられる。このような時には0.25mmバルーンをサイズダウンし非常に高い圧(18気圧以上)で拡張する事により正円性を改善することができるがステント断面積自体は増大しないことが多い(Fig 8)。 ステントが十分に拡張できない場合は通常の抗凝固療法を行えばよい。

ステントの不充分拡張

ステントストラットが血管壁に密着していないことが時に生じる(Fig. 9)。これはベアーステントを行った場合にステントがバルーン上でずれる場合。Ostial LAD ステントで術者が左主幹部にバルーンを掛けるのを避けようとした場合。狭窄後の拡張(post stenotic dilataion)がありその中でステントがフリーとなる場合がある。バルーンの肩の部分は拡張力がおちる。

ステント辺縁の解離。

ステント辺縁の解離が生じた場合はさらにステントを追加して解離部のplaque を安定させる(Fig 10)。これはcompliant balloon がステント外に出た場合生じ易い。またはステントが屈曲部位に挿入された場合。Pulaque fracture が生じるということはその部分にも病変がある。

Pulaque Prolapse

コイルステントでは約5%にPlaque Prolapseが生じる。その場合はステント内にshort Palmatz (disarticulated Palmaz-Schatz) を重ねて挿入する。

再拡張後の合併症

535 病変421症例で、血管造影でステントを評価し、血管内超音波の結果から後拡張後を追加した場合の合併症(IVUSをしなければ生じえなかったもの)は(血管破裂、血管解離、major clinical complications 含む{心筋梗塞、バイパス術、非Q波性梗塞})を検討した。

多変量解析からはバルーン拡張圧ではなくバルーン・血管径比が大きすぎることが合併症発現する因子であるという結果であった(Table 3.)。

Table 3 Effect of Balloon Dilation Strategies

OversizedAppropriateP Value
BalloonBalloon
Patients263210 
Lesions339232 
Reference Vessel3.30±0.573.30±0.47ns
Balloon Vessel Ratio1.23±0.191.07±0.16 0.0001
Maximal Pressure (atm) 14.6±3.016.0±3.0 0.001
Final % Diameter stenosis-10±15-0±120.0001
Procedure Complications15 (6%)2 (1 %)0.006
Optimization Complications8 (3%)1 (0.5%)0.05
Stent Thrombosis2 (0.8%)2 (0.9%)ns


まとめ

ステントの高圧拡張法が確立された現在では、血管内超音波を使用することは治療時間の延長をもたらす。しかし術者にとっての利点は血管内超音波と血管造影を対比し、血管造影だけでも不充分拡張のステント部位を発見できるようになる。 時間の延長をもたらすものはIVUS 画像の計測である。 経験と共に実際に計測しなくてもIVUS のカテーテルサイズから断面積を予測することができるようになる。ある程度の経験を積めば単純病変では血管内超音波のガイドなしで安全に抗凝固療法なしのステント挿入術が可能になる。重要なポイントはステントを拡張する場合小さすぎるバルーンを選択してはならない。 IVUSガイドなしのHigh pressure stentingのステント血栓は3%であり、その平均残存狭窄率は30%であった。しかしながら複雑病変、マルチプルステント症例では血管内超音波の助けは必要と考えられる。ステントの血栓性に関する問題はほぼ解決された。再狭窄率は20%。今後はdelivery 性能とステント長が課題として残されている。