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全身性エリテマトーデス

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全身性エリテマトーデス

全身性エリテマトーデスとは?

全身性エリテマトーデス(SLE)は、全身の様々な部位に炎症を起こし、多彩な症状(発熱・全身倦怠感・関節痛・皮膚症状・内臓疾患)を引き起こす病気です。様々な炎症は一度に、あるいは次々に起こってきます。その原因は、今のところわかっていませんが、免疫の異常が病気の成り立ちに関わっていることは確かです。

この病気はどのような人に多いのですか?

平均すると男女比は1:9ほどで、妊娠可能な年代の女性に圧倒的に多い病気です。子供や高齢者に発症することもありますが、それらの年代では男女の差が少なくなります。

この病気の原因は?

原因

世界的に多くの研究が行われていますが、残念ながら今のところ原因はわかっていません。ただ、自分自身の体を、自身の免疫系が攻撃してしまうことが分かっています。本来なら免疫とは、自分の身を細菌やウイルスなどから守ってくれる大切な役割をしているのですが、この病気になると、免疫力が自分の体を攻撃するようになり全身に様々な炎症を引き起こしてしまいます。

誘因

何かのきっかけにより病気が起こったり、あるいは病状が悪化したりすることがあります。そのきっかけになるもの(誘因)がいくつか知られています。紫外線(海水浴、日光浴、スキーなど)、風邪などのウイルス感染、怪我や外科手術、妊娠・出産、ある種の薬剤などが知られています。これらによって自分の体を構成している細胞に変化が起こることが、自分自身へ免疫系が攻撃を開始するきっかけになります。

どのような症状がおきますか?

何らかの全身症状、皮膚関節症状はほとんどの患者さんに見られます。これに、さまざまな内臓の病気(一人一人異なる)が加わります。この内臓の症状が全くない軽症のタイプもあります。

全身症状

1週間以上続く38度以上の高熱、2週間以上続く37.5度前後の微熱、全身倦怠感、疲労感

関節症状

手首や指、肘、膝などが腫れて痛む関節炎で、日によって場所が変わる移動性が見られることもあります。

皮膚症状

蝶形紅斑→頬に出来る赤い発疹で、蝶が羽を広げている形をしています。皮膚をさわると、一つ一つの小さな丸い発疹が重なりあい少し盛り上がっているのが特徴です。

日光過敏症→強い紫外線にあたった後、このような赤い発疹・水膨れ・あるいは熱が出ることがしばしばあります。

円板状皮疹→一つ一つが大きめの丸い形をした発疹もこの病気に特徴的で、顔面、耳、首のまわりなどに好発します。

レイノー現象→指先が冷えた時に白くなるもので、さらに紫色になることもあります。
皮膚症状

皮膚症状

口内炎

多くは前歯と喉の間に出来ますが、痛みが無く自分で気付かないことがほとんどです。

脱毛

朝起きた時、枕にたくさん髪の毛がつくようになります。また、円形脱毛のように、部分的に髪の毛が抜けることもあります。

臓器障害

様々なものが知られていますが、すべての症状が起こるわけではなく、一人一人出てくる症状、障害される臓器の部位や数が違います(全く臓器障害のない、軽症のひともいます)

心臓:心外膜炎→心臓を覆っている心外膜の炎症として心臓の周囲に水がたまります。

肺:胸膜炎→肺を覆っている膜である胸膜が炎症を起こして肺の周囲に水がたまります。まれに肺自体に強い炎症が起こり、肺のあちこちから出血する重篤な病気を起こします。

肝臓:肝機能障害→肝機能をあらわす数値が高くなることがあります。

消化器:胃腸炎→吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などが起こります。

腎臓:ループス腎炎→約半数の患者さんに、タンパク尿、血尿が見られます。治療をしなければ腎不全となり、透析が必要となってしまいます。

膀胱:頻尿になりますが、尿検査は正常な点が細菌性膀胱炎とは異なります。

脳や脊髄: 中枢神経(CNS: central nervous system)ループス→痙攣、精神症状(集中力低下など)、抑うつ、頑固な頭痛などを起こします。

血液:貧血・血小板減少症→免疫を担当する白血球の減少は通常治療を要しませんが、赤血球や血小板が免疫系により破壊されて高度な貧血や血小板減少を生じ、息切れや出血斑が見られ重篤な病気です。

どのような検査をしますか?

血液検査

自分自身の体に対する免疫の過剰反応は、血液中の抗体を調べることによってある程度判断できます。この病気の患者さんの95%以上が、血液中に抗核抗体という抗体をもっています。自分自身の細胞のなかにある核の成分と反応してしまう抗体です。この抗体はリンパ球によって作られ、自分の細胞が壊れた時に細胞の外へ出てきた核の成分と反応し、その反応の結果として作られた免疫複合体という物質が、全身の皮膚、関節、血管、腎臓などにたまって病気が引き起こされると考えられています。このほか、免疫を司る白血球の一部(リンパ球)も直接、自分の細胞を攻撃すると考えられています。
血液検査 検査の意味 SLEの場合
白血球 免疫の状態を確認 低下
赤血球 貧血の有無を確認 低下
血小板 出血のリスクを確認 低下
赤沈(血沈) 免疫や炎症の全体的状態を確認 亢進
血清補体価 免疫複合体の働きを確認 低下
抗核抗体 免疫の異常を確認 陽性
抗ds‐DNA抗体 上昇
抗Sm抗体 一部で陽性
抗リン脂質抗体 陽性

血液検査以外の検査

尿検査(要すれば腎生検) 主に腎臓の炎症の有無やそのタイプを確認
胸腹部レントゲン・胸腹部CT 内蔵自体、またはその周囲の異常を確認
心臓超音波検査 心臓の働きや周囲の炎症の有無を確認
頭部CT・MRI(要すれば髄液検査) CNSループスの有無を確認

この病気にはどのような治療法がありますか?

副腎皮質ステロイド

自分自身に対する免疫反応とその結果として生じている炎症を早急に抑える必要がある場合に使います。副作用の多い薬ですので必要最小限しか使いません。従って、病気の重症度によって、その薬の使用量が大きく違います。具体的には重症の方では1日50~60mgを必要としますし、逆に軽症の人では10mg程度で十分のこともあります。
詳しくはこちらをご覧下さい。

ステロイドとは

免疫抑制剤

当科では全身性エリテマトーデスなどの膠原病を「きれいに治す」という目標を掲げており、副作用の多い副腎皮質ステロイドを必要最小限とするために、ほとんど全ての患者さんに免疫抑制薬を最初から用いて治療しています。アザチオプリン(イムランなど)、シクロホスファミド(エンドキサンなど)、タクロリムス(プログラフなど)、ミゾリビン(ブレジニン)、シクロスポリンA (ネオーラル)などです。
詳しくはこちらをご覧下さい。

診療内容

なお、患者さんによっては現在開発中の免疫抑制薬や生物学的製剤(抗体などを治療に応用し、関節リウマチでは画期的な成功を収めています)の治験に参加することで良好な経過を得ていますので、新薬という治療選択についても主治医とご相談下さい。

この病気はどういう経過をたどるのですか?

『 病型、重症度によって異なる 』
臓器障害の広がり、重さによって、病気の重症度が異なりますが、放置すれば命に関わる場合が多く、今から60年以上前には不治の病でした。病気の原因が解明されておらず、現在でも根本的な治療法は発見されていませんが、「寛解」という病気の勢いが全く見られない状態にコントロールすることはほとんどの患者さんで可能になっています。関節炎や皮膚症状だけの患者さんなら、外来で薬剤によるコントロールがつけやすく、病気になってからも以前とほとんど変わらない、普通の生活が出来ます。一方、腎臓、中枢神経などの内蔵や血管などの炎症に対しては、1〜2ヵ月程度入院して治療を行う必要があります。しかし、退院後は病気になる前とほとんど変わらない、普通の生活が出来ることも多いのが現状です。ただし、治療は長期的に継続する必要があり、何らかのきっかけで病気が悪化してしまった場合には再度入院して治療を見直す必要があります。

生活上の注意点

  1. 日焼け・感染症・怪我などのSLE増悪因子を極力避けること
  2. SLE以外の病気に対して新しい薬を開始する際は主治医と相談する
  3. 勝手に薬を中断しない、特にステロイドの中断は危険です
  4. ステロイドや免疫抑制剤を内服中は感染しやすくなるため、感染予防に努めること⇒人混みに行く際はマスクをする・手洗いとうがいの施行など