診療内容

【お問い合わせ先】

東邦大学医療センター
大橋病院 腎臓内科

〒153-8515
東京都目黒区大橋2-17-6
TEL:03-3468-1251(代表)

診療の特色

 

1.腎臓だけでなく「全身を診る」ことを重視。合併症の診断・治療も適切に行っています

東邦大学医療センター大橋病院 腎臓内科では、腎炎、ネフローゼ症候群、腎不全など腎臓病全般の診療を行っています。とはいえ、ただ腎臓の病気だけを診ているのではありません。腎臓病と関係の深い心臓・血管の病気や糖尿病、痛風など全身の疾患をトータルで診て、的確かつ適切な診断・治療を行っているのが当科の大きな特長です。

ひとつ例を挙げると、近年新たな国民病ともいわれている病気に「慢性腎臓病(CKD)」があります。初期には自覚症状がほとんどないため、かなり病状が進行してから発見される場合が多く、それが患者数の増加の一因と考えられています。

慢性腎臓病の患者さんは、そうでない人に比べて循環器系の合併症の発症頻度が30~50倍多いというデータがあります。そこで重要になるのが、たとえば「慢性腎臓病で狭心症を合併されている患者さんに対して、どのような治療を行うのが最も適切なのか」といった治療法の選択です。

狭心症に対してはカテーテルで血管を拡げる治療が一般的ですが、血液透析など腎臓病の治療を行ううえでは、カテーテル治療によるリスクの有無なども慎重に検討する必要があります。このようにしっかりと全身を診たうえで、循環器内科や心臓血管外科など専門診療科と連携して治療するのか、あるいは当科で薬物療法などを行うのか、といったことを当科では判断しています。

2.「心臓」と「腎臓」の関係に着目して長年診療を行ってきたパイオニアです

1で挙げたような適切な治療法の選択やその正しい判断を行うためには、当然のことながら全身のあらゆる疾患に関する高度な知識が必要です。とくに患者さんの命に関わることの多い循環器疾患についてはスタッフ全員でさらなる知識のレベルアップを目指しています。

その教育に力を入れているのが、当科の長谷弘記教授と常喜信彦准教授です。日本透析医学会「透析患者の心血管合併症の評価と治療に関するガイドライン」作成ワーキンググループ委員である長谷教授、常喜准教授は、国内でもいち早く「心臓」と「腎臓」の関係に着目し、診療を行ってきました。長年にわたり蓄積された豊富な知識や経験を生かし、当科では透析を行う患者さんすべてに対し、虚血性心疾患の評価を事前に行っています。通常、虚血性心疾患を合併している透析患者さんの死亡率は全体の4割程度といわれていますが、当科はほぼ0%に近い実績を有しています。

また、以前は透析が動脈硬化を進行させる一因であると考えられていましたが、実は「透析を行う前から動脈硬化が進んでいる場合が多い」ということが、長谷教授らの研究により明らかにされています(※)。1997年には透析患者さんの約60%が冠動脈狭窄症を合併していましたが、透析導入の前に動脈硬化の評価や適切な治療を行うことで現在では約20%になるなど、合併症の予防や低減に大きく貢献しています。

(※)論文名
Joki N, Hase H, Nakamura R, Yamaguchi T: Onset of coronary artery disease prior to initiation of haemoidalysis in patients with end-stage renal disease. Nephrol. Dial. Transplant. 1997; 12: 718-723

3.「1人の患者さんに2人の主治医」をモットーに、地域の「かかりつけ医」の先生方と連携して患者さんをきめ細かくサポートしています

当科では「1人の患者さんに2人の主治医」をモットーに、地域のクリニックや診療所と緊密な連携体制を整えています。

「3時間待ちの3分診療」などと批判されることの多い大学病院ですが、当科は高度かつ先進的な検査や治療を必要としている患者さん一人ひとりに対し、十分な診療時間を設けるよう努めています。そのためにもまず最初はかかりつけ医の先生を受診していただき、当科を受診される際には紹介状をお持ちいただくことを原則としています。その後、当科で治療を行い、しばらく経過をみて症状が安定してきたら、またお近くの診療所やクリニックでスムーズに治療を受けていただけるよう、薬物療法のメニューなど詳しい治療方法をかかりつけの先生にお伝えしています。

このように「大学病院ならではの高度医療」と「診療所やクリニックならではのきめ細かな診療」という互いのメリットを生かし、またそれぞれの弱点を補い合うことで、患者さんのQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)の維持に努めています。

気になる症状が現れた場合にはひとりで不安を抱えることなく、ぜひかかりつけの先生に気軽にご相談ください。「早期受診」は「早期安心」につながり、重症化を防ぐうえでも有効です。

症状のセルフチェックなどについては下記ページをご参照ください。

病気と症状

また、透析患者さんについても、当院の透析ベッド数などの事情から(2015年1月現在10床)、多くの場合転院していただくことになりますが、その後も患者さんには定期的に当科を受診していただいています。毎回きちんと検査を行い、治療方針を変更する必要が生じた場合には速やかにかかりつけの先生にお伝えします。こうしたことから、一般的に50%程度といわれている糖尿病性腎症の5年生存率が、当科においては80%に達するようになりました。「1人の患者さんに2人の主治医」という体制で長期間継続して検査を行い、今行うべきより良い治療を互いに共有することで、より良い医療の提供を目指しています。

4.患者さんとの対話を大切にし、社会背景までしっかり考慮したうえでフォローしています

ただ病気だけを診療するのではなく、患者さん個々人の社会背景や生活環境などもきちんと踏まえたうえで、最適なフォローをすることも当科では大切にしています。

とくに透析療法の場合などは長期間にわたることが多いため、医療ソーシャルワーカー(MSW)によるサポートが重要となりますが、その際にも「この患者さんはこういうことに困っているので、こういうところに重点を置いてほしい」など、当科から具体的な提案をするようにしています。

また、腎機能が低下している患者さんには腎代替療法が必要となりますが、その選択肢が「血液透析」「腹膜透析」「移植」「透析非導入」と幅広くあるため、悩まれる患者さんも増えています。「だからといって医師には直接相談しづらい」という方も多いため、当科では透析看護認定看護師が必要に応じて患者さんやご家族と面談を行い、患者さんの気持ちに寄り添った、丁寧でわかりやすい説明を心がけています。このような機会をもつことで、実際に血液透析導入となってからも、すでに面識のある看護師がいるためより安心していただける場合が多いようです。

5.二次性腎臓病の鑑別とそれぞれの疾患に適した降圧治療薬の選択を得意としています

腎臓病の種類は、下記のふたつに大きく分かれます。
  • 一次性(原発性) 腎臓自体に障害が起こるもの
  • 二次性(続発性) 全身の病気によって起こるもの
このうち二次性腎臓病の代表的な疾患として「糖尿病性腎症」が挙げられますが、一口に糖尿病性腎症といっても、下記のとおりさまざまな合併症があります。
  • 糖尿病と糸球体腎炎の合併
  • 糖尿病と高血圧性腎硬化症の合併
  • 糖尿病とコレステロール塞栓症の合併
  • 糖尿病と腎動脈狭窄症の合併

それぞれ異なる疾患であり、当然のことながら薬物治療もそれぞれに異なります。しかし一般的にはまだ「糖尿病腎症」とひとくくりにされてしまっていることが多いようです。その結果、誤った薬を選択されている場合も少なくないのではと考えられます。

当科ではそのようなことがないよう、まず注意深く疾患の鑑別を行い、そのうえで適切な治療を行うよう努めています。

また、診断においては最新の検査機器だけに頼るのではなく、「患者さんの胸に聴診器を当てて心音を聴く」「患者さんに素足になってもらい、足背動脈を触診する」などの方法で、患者さんの体から直接得られる情報も大切にしています。より正確な診断を行ううえで、非常に重要なポイントとなっています。