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尿に関するQ&A

自分のおしっこは変じゃないか?

Q.最近尿が泡だっているような気がします。これは何かの異常でしょうか?

A:何らかの理由で尿の粘稠度が高くなると尿が泡立つようになります。病気の場合もありますが、病気でない場合もあるので、次のことを参考にしてみてください。

A(1):腎臓や全身に病気無い場合にも次の様な時に尿の泡立ちを認めます。例えば、夏場や運動後に発汗量が増えている時、あるいは冬場の乾燥している場合に皮膚から水分が蒸発している時に水分摂取量が不足すると尿が濃くなります。尿が濃くなると粘稠度が高くなって尿の泡立ちが目立つようになります。

A(2):腎臓に病気があって、尿の中に大量の蛋白が排泄されている時にも尿の泡立ちが目立つようになります。この場合にも水分摂取量を増やすと、泡立ちの程度が軽くなります。季節や運動とは無関係に尿の泡立ちを認める場合には医療機関を受診して、尿蛋白排泄量を測定してもらうことを勧めます。

A(3):全身の病気によって尿の泡立ちを認めることがあります。最も多いのは糖尿病です。血糖が160mg/dl以上に増加すると尿の中に糖が排泄されるようになります(尿糖)。この尿糖が増加すると尿の粘稠度が高くなって尿の泡立ちが目立つようになります。果物や糖を含む飲料水(ジュースを含む)摂取後、あるいは食後に尿の泡立ちを認める場合には医療機関を受診して、血糖値や尿糖の量を測定してもらうことを勧めます。

A(4):血液中の蛋白が増加して、それが尿蛋白として排泄される場合があります。白血病や多発性骨髄腫がこれに相当します。体重減少や微熱が続く場合や、急に腎臓の働きが悪くなるような場合には医療機関を受診して、白血球数や血小板数の増減、ベンス・ジョーンズ蛋白の有無などを測定してもらうことを勧めます。

尿が褐色や赤くなるのはどんな時?

尿というのは通常、無色から黄色透明です。黄色の濃い薄いが腎臓の異常を意味することはありません。黄色以外の色の尿(たとえば赤色、橙色、緑色、紫色など)を自覚した時はただちに専門医に受診してください。腎臓の病気あるいは他の臓器が障害されている可能性があります。また尿が透明ではなく濁っている時も専門医に相談した方がいいでしょう。

A:尿に血液が混じっている場合(血尿)、ヘモグロビンやミオグロビンなどの色素が尿に混じっている場合に尿が褐色または赤色になります。

A(1):尿が褐色または赤くなって、排尿時の痛み、頻尿、発熱を伴う場合には尿道炎、膀胱炎、あるいは腎盂腎炎が考えられます。医療機関を受診して、尿と血液、時には腹部超音波検査で腎盂が拡張していないか検査してもらうことを勧めます。1-2週間の抗生物質の服用で治りますが、性感性症の場合には特殊な薬物治療が必要となることもあります。

A(2):扁桃腺炎を起こした後、あるいは過去に扁桃腺炎を繰り返した経験あって、健康診断で何度か尿潜血反応が陽性であると言われたことのある方、あるいは尿蛋白が陽性であると言われたことのある方は糸球体腎炎である可能性が高いので、腎臓内科専門医療機関を受診して、精密検査を受けることを勧めます。

A(3):四肢または全身打撲を経験した直後、あるいは中性脂肪を下げる薬剤、稀ですが悪玉コレステロールを下げる薬剤を服用して数日後に全身倦怠感や全身の筋肉痛を伴う場合にはミオグロビンと言う筋肉の中に含まれる色素が血液中に増加し、結果として尿の中に認められることがあります(ミオグロビン尿症)。この場合には尿潜血反応は強陽性(3+)を示しますが、顕微鏡的な血尿を認めません。ミオグロビンは非常に強い腎障害物質ですので、数時間から数日で腎臓の働きが障害されます(急性腎不全)。透析治療が必要な場合もありますので、この様な症状を認めた場合には、急いで腎臓内科専門医療機関を受診して、精密検査を受けることを勧めます。

A(4):下痢や血便と共に尿が褐色や赤くなる場合には、病原性大腸菌による溶血性尿毒症症候群の可能性があります。透析治療が必要な場合もありますので、この様な症状を認めた場合には、急いで腎臓内科専門医療機関を受診して、精密検査を受けることを勧めます。

A(5):肩甲骨の下、あるいは背部に激痛を伴って尿が褐色や赤くなる場合には、尿管結石や腎結石の可能性あります。放置すると尿が腎盂や腎杯に貯留して、水腎症と言われる状態になります。なるべく早期に泌尿器科または腎臓内科を受診して、精密検査を行うことを勧めます。

A(6):特徴的な症状が無いにも関わらず、常に尿が褐色や赤くなる場合には腎臓癌の可能性があります。癌が進行すれば背部痛や骨の痛みなどを伴うことがあります。なるべく早期に泌尿器科を受診して精密検査を行うことを勧めます。

尿量が減っているのは腎臓がおかしい証拠でしょうか?

腎不全がかなり高度に進んでくると尿量が減ってくることは確かです。

ただし、尿量が減っているからといってすぐに腎臓病とは必ずしもとは限りません。というのも、血圧が低くて腎臓に流れる血液の量が減れば尿量は減りますし、もっと簡単にいえばたくさん汗をかけば尿量は減ります。

つまり、尿量が減ってくる原因は常に腎臓だけが原因というわけではないのです。腎臓が悪くて尿量が減っているのか、あるいは別の理由なのか、それを見極めるのはしばしば困難ですので、お困りのことがあれば早めに当院まで受診していただくのがよいでしょう。

健診で尿に異常があると言われたら?

学校や会社の健康診断で尿検査の異常を指摘されることがあります。しかし尿の異常所見がすべて腎臓の病気を反映しているわけではありません。たとえば血尿や蛋白尿は、高熱や激しい運動の後に“一時的”に認められることがあります。したがって、体調のよい時を選んで必ず再検査をしてください。また起立性蛋白尿あるいは血尿といって、単に歩行することだけで尿の中に蛋白や血が混じってしまう体質の方もいらっしゃいます。この体質の方は、朝一番の起床時直後の尿には全く異常を認めません。早朝尿を用いて確認する必要があります。逆に再検査でも異常が認められ、それが3ヶ月以上続く時には“持続的”な異常となり腎臓や尿管、膀胱などに病気があるかもしれません。

持続的な血尿:尿のなかに血液が混じることを血尿といいます。通常は尿の中に血液が混じることはありません。その程度は様々で、見た目に尿の色が赤くなるものから、検査をしては始めて血が混じっていることが分かるものまで様々です。慢性腎臓病、尿路感染症、尿管結石、悪性腫瘍が否定できません。血液検査、詳しい尿検査、超音波検査などの追加検査が必要になります。

持続的な蛋白尿:慢性腎臓病が強く疑われます。特に血尿もあわせて認められる時は難治性の腎臓病も疑われます。血液検査、詳しい尿検査、超音波検査などの追加検査が必要になります。最終的には、腎臓の細胞を採るような入院が必要な検査をしなければならないこともあります。

お問い合わせ先

東邦大学医療センター
大橋病院 腎臓内科

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