輸血療法

輸血療法

輸血は血液の病気や交通事故による外傷など、様々な理由によって失われた血液やその機能を他人の血液によって補う医療行為です。
ヒトは多量の血液を失ってしまうと体に十分な酸素を送ることができず貧血状態になってしまう、あるいは止血の機能に障害をきたし出血が止まらなくなってしまうなどの現象が起こり、出血性ショックや臓器障害など様々な症状を引き起こします。
これらの症状は生命活動に支障をきたし、最悪の場合、死に至ることもあります。

輸血は日本赤十字社の献血活動で、国民の善意によって得られた血液からつくられた製剤を使用しています。使用目的・方法、感染症伝播や免疫学的拒絶反応のリスクなどから臓器移植の一種として考えられています。
血液製剤は薬事法により、厳しい管理の下で使用することが義務付けられている「特定生物由来製品」に指定されています。

輸血は取り扱いを間違えると非常に危険な事故につながります。例えば、患者取り違えをして輸血をしてしまうと血液型不適合輸血による重篤な急性溶血性副反応を起こしてしまう可能性があります。
このような事故を防ぐために検査用検体の採血から輸血終了までの手順を厳しく定め、これを順守することで安全な輸血療法を実施しています。

主な輸血関連検査

血液型検査

輸血が必要とされる際には、まず血液型検査を行います。血液型はA型、B型、O型、AB型の4種類で表され、原則としてA型の人にはA型の血液をといった様に同じ血液型の血液を輸血しなければなりません。

不規則抗体検査

ABO血液型を合わせた輸血においても副反応は生じます。その原因の一つが不規則抗体というABO以外の血液型に対する抗体です。
ヒトの赤血球上には数百種類の血液型が存在します。自分の持っていない血液型を持つ赤血球が輸血されると、まれにその血液型物質を異物として判断し、抗体を作ってしまうことがあります。
不規則抗体は対応する血液型物質が赤血球上にあるとその赤血球を攻撃してしまうため、不規則抗体を持つヒトは型の一致した血液製剤を輸血する必要があります。

交差適合試験

交差適合試験とは、輸血をした時の副反応を防止するために行う検査です。患者の血液と輸血する血液を試験管内で反応させて、ABO血液型に間違いがないか、不規則抗体に対応する血液型物質を持っていないかを確認します。
交差適合試験の様子 交差適合試験の様子

お問い合わせ先

東邦大学医療センター
大森病院 輸血部

〒143-8541
東京都大田区大森西6-11-1
TEL:03-3762-4151(代表)