心臓核医学検査について
核医学検査とは?
放射性同位元素(ラジオアイソトープ; RI )を用いる検査です。
特定の臓器に集まりやすい性質をもった物質にRIを付けたもの(放射性医薬品)を注射し、専用のカメラでRIから出る放射線を測定することで、さまざまな病気の診断に役立ちます。
核医学検査は安全で苦痛の少ない検査です。
放射性医薬品による副作用は非常にまれで、あったとしても多くはごく軽いものです。放射線による被爆も少なく、通常のレントゲン検査と比べても多くはありません。注射の時以外は痛みや苦痛はありません。
核医学検査についてさらに詳しくお知りになりたい方は
日本核医学会のホームページ 核医学検査Q&A へ
心臓の核医学検査でわかること
心臓の状態やポンプとしての働きを調べ、狭心症、心筋梗塞、心不全などの病気の有無や程度を診断することができ、治療の方針を決めるのにも役立つ検査です。
以下のような種類の検査があります。
1.心筋血流検査
心臓の筋肉(心筋)の各部位に血液が正常に流れているかを調べます。
2.心機能検査
3.心筋脂肪酸代謝検査
心筋の細胞がエネルギーのもとにしている脂肪酸という物質の代謝を調べます。
4.心臓交感神経検査
心臓の機能を調節する交感神経(自律神経)の働きを調べます。
心臓核医学検査の手順
いちばん多く行われている心筋血流検査について,当院での実際の手順をご紹介します。
狭心症という病気が疑われた場合の例です。
外来診察と検査予約
外来で診察を受けていただき、医師が症状にあわせて検査の計画をたてます。
狭心症を診断する場合は、心臓に負担をかけた状態(負荷時)と、負担がかかっていない状態(安静時)の2回検査を行い、その結果を比較します。
心臓に負担をかける方法(負荷法)には、運動していただく方法(運動負荷)と薬をつかう方法(薬剤負荷)がありますが、医師が適切な方法を選択します。
外来で医師とご相談いただき、検査の予約日を決めます。その後アイソトープ室受付にお越しいただき予約を確定します。その際当日の来院時間などをご説明します。

アイソトープ室(核医学検査を行う部屋)受付 (2号館地下1階)
検査当日
当院では午前中に負荷時、午後に安静時の検査を行っています。
ここでは運動負荷による検査の手順をご紹介します。
検査は循環器内科の医師とアイソトープ室の技師により行われます。
検査中につらいことなどありましたら,医師または技師にお申し出ください。
*心筋血流検査にはタリウムとテクネシウムの2種類のくすりがあり、どちらを使うかで検査手順が少し異なります。
運動負荷
座って自転車のペダルをこぐ運動をします。
心電図や血圧を記録しながら運動を続けます。
運動はご自分ができる範囲で行っていただきます。
注射
運動の終了間際に注射をします。
(運動中にスムーズに注射ができるように、事前に注射器をつけて運動します)
1回目の撮像(負荷時)
タリウムの場合5分後、テクネシウムの場合30分後から撮像します。
ベッドに仰向けに横になり、両手を頭の上にあげていただきます。
撮像の時間は20分ほどです。

核医学検査に使われる専用のカメラ(ガンマカメラ)

撮像しているところ
午前中の検査はここまでです。午後の検査開始まで3~4時間の時間が空きます。
*タリウムの場合は午後の検査終了まで昼食はお待ちいただきます。
テクネシウムの場合は昼食は普通におとりいただいてかまいません。
2回目の撮像(安静時)
タリウムの場合、午後は注射なしで撮像だけ行います。
テクネシウムの場合、もう1回注射して45分後から撮像します。
撮像のやり方は午前中と同じです。
外来での結果説明
再度外来にお越しいただき、医師から結果をご説明します。

結果説明の様子
治療方針の決定
他の検査結果もあわせて診断を行い、今後どのような治療を受けていただくのがよいか
患者さまといっしょにご相談しながら、方針を決めていきます。
狭心症の場合、今回ご紹介した検査(負荷をして心筋の血流を調べる検査)の結果が
問題なかったときは、その後2~3年の間に心筋梗塞をおこされたり、心臓がもとで
お亡くなりになったりなど重大な事態に発展する可能性がとても低いことが証明されて います。このため、そのような患者さまではこれ以上の大がかりな検査は必要なくなり、
心臓に関しては安心して経過をみることができます。
もし検査結果に異常がみつかったときは、異常の程度に応じて適切な対処が必要で、
多くの場合は心臓カテーテル検査などのさらに詳しい検査をお勧めします。
核医学検査は病気の程度を診断したり、治療方針を決めるのにとても役立ちます。
検査結果の例
心臓を3つの方向から輪切りにした絵です。負荷時(心臓に負担をかけた時)の絵では、矢印の部分が欠けており、この部分(心臓の前の壁)に血液がきちんと流れていないことがわかります。
安静時の絵では異常は見られません。
この結果から、心臓の前の壁を走っている大切な血管(冠動脈)が細くなっていると
予想されます。
この患者さまはその後心臓カテーテル検査を受けていただき,実際に冠動脈の病変が確認され、風船付きのカテーテルで、細くなっている血管をひろげる治療が行われました。
この検査では,心臓の各部位の筋肉へ血液が正常に流れているかを見るほかに、心臓の壁の動き(ポンプの機能)をみることもできます。
*心電図同期法というやり方で、おもにテクネシウムを使った検査で用いられています。
心臓の左心室という部屋の収縮・拡張するようすを3次元表示の動画で観察し、ポンプとしての機能に問題がないか調べることができます。
検査実績
当院では1年間に1600件あまりの心臓核医学検査を行っており、これは国内有数のレベルです。(図1)

当院における心臓核医学検査の年間件数
心臓の核医学検査では、心筋の血流をみる検査がメインで全体の約7割を占めています。(図2)

当院における心臓核医学検査の内訳(2006年)
撮像や画像の作成は熟練した技師が行い、検査結果の判定は経験豊富な専門の医師が行っており、質の高い検査ができるよう努力を続けております。