食道・胃外科

胃粘膜下腫瘍(特にGIST)について

GIST(Gastrointestinal Stromal Tumor:消化管間質腫瘍)は、小腸や大腸からも発生いたしますが、胃よりの発生が最も多く、1年間に4—5人の手術を行っています。経口抗腫瘍剤グリベック(イマチニブ)の耐性例に対しては、スーテント(スニチニブ)が使用できる施設となっております。

胃粘膜下腫瘍(特にGIST)治療方針

  • 胃GISTの外科治療の原則として、以下のことに注意をはらっています。
  1. 至適切除範囲を確保し、腫瘍コントロールをする。
  2. 偽被膜を損傷せず、最低限必要なマージンは取る。
  3. リンパ節の予防郭清は不要。腫大または転移が疑われるリンパ節のみ切除する。
  4. 至適範囲の切除を達成するには、再切除が必要になる場合もある。
  5. 最大の機能温存と最小の合併症率をめざす。(可及的に臓器(機能)の温存が望ましい。)
  6. 上記原則に従って治療することができない場合には、術前化学療法(neoadjuvant療法)を考える。
  • 病理検体に対しては、病理医と相談のうえ、細胞遺伝学的、分子生物学的にも最適な診断を下すことができるように努力しています。
  • 初発、6cm以上のGIST例においては、完全切除例に対しても術後グリベック投与を行っています(ACOSOG Z9001)。
  • グリベック投与400mg/Body, 1年間投与グリベックの主な副作用としては、消化器症状(嘔気、嘔吐、下痢)、浮腫(目の周囲の浮腫、顔面浮腫)、皮膚炎などがあり、また、臨床検査値の異常として、リンパ球数減少、好中球数減少、白血球数減少などが報告されています。
  • グリベックは抗がん剤で、特にKIT蛋白質を発現している血液幹細胞の増殖を抑制し、長期投与の副作用として貧血が生じます。また、グリベック治療中に腫瘍出血や消化管出血の可能性が約5%あるといわれています。
  • グリベックの投与開始から4~8週間の間はヘモグロビン値(Hb)のモニターを含めた詳細な経過観察をし、Hbの低下が2g/dL以上の場合には一時的にグリベックの投与を中断します。
  • 腫瘍出血はGISTなどの固形腫瘍が治療に反応して縮小すると、腫瘍に血液を供給している血管が破綻してもたらされると考えられています。
  • 腫瘍出血に対しては、輸血、腸管安静などの内科処置を実施します。それにより、Hbが正常域に回復し、出血のコントロールがついた場合は、グリベックを300mg/日に減量して再開します。