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肺がんと腫瘍マーカー

部位別がん死亡率の1位は肺がんです。その肺がんの検査にはどのような検査があるかご存知ですか?
肺がん検査というと、胸部X線検査、喀痰細胞診検査およびCT検査などが思いつくと思います。胸部X線検査や喀痰細胞診検査は肺がんの検診に、CT検査は肺がんを疑った際の精密検査に用いられていますが、今回紹介する腫瘍マーカー検査はこれらの検査とは違った役割を担う検査です。
腫瘍マーカー検査は、採血した血液を遠心分離して得られた血清から、がん細胞が作り出す特異的物質を検出することで、病期診断やがんの組織型の決定、再発がんの早期発見、化学療法の効果判定に有用であるとされています。今回は、原発性肺がんの組織型と腫瘍マーカー検査についてご紹介したいと思います。
肺がんには原発性肺がんと転移性肺がんがあり、一般に肺がんといわれるのは原発性肺がんの方です。肺がんのマーカーにはいくつか種類があり、組み合わせて測定(コンビネーションアッセイ)することで組織型を推測することができます。肺がんといっても、がん細胞や組織を顕微鏡で見てみると、どれも同じ細胞ではなく形は様々でいくつかの種類に分類することができ、これを組織型といいます。肺がんの主な組織型には、喫煙との関係が深いといわれる扁平上皮がん、進行が早く悪性度は高いものの放射線治療や抗がん剤治療に対する感受性が高い小細胞がん、臨床症状がでにくいとされる腺がんなどがあり、これらの組織型の判別は治療戦略にとても重要です。代表的な肺がんのマーカーにはCEA、SLX、SCC、CYFRA、NSE、Pro-GRPなどがあります。この内、当院検査部ではCEA 、CYFRA、Pro-GRP のマーカー検査を実施しています。CEA(がん胎児性抗原)は消化管の悪性腫瘍を中心に汎用的に用いられる腫瘍マーカーですが、肺がんでは主に腺がんで高値を示します。ところがCEAはがんに限らず、高齢者や喫煙者でも若干の高値傾向を認めることがあるので注意を要します。CYFRAは肺の扁平上皮がんや腺がんの他、子宮頸部扁平上皮がんや卵巣でも高値を示し、Pro-GRPは肺小細胞がんの他、甲状腺髄様がん、神経内分泌腫瘍や膵内分泌腫瘍でも高値になることがあります。このように肺がんのマーカーといっても、他のがんで高値を示すことがあるのでコンビネーションアッセイや、他の検査との併用で組織型の診断に役立てています。
腫瘍マーカー検査は健康診断のオプション検査になっている場合がありますが、仮に判定結果が陽性となっても、がんと確定したわけではありませんので、他の検査を受診することが大切です。

免疫検査室 加藤美彩樹