検査を通して患者さんのクオリティ・オブ・ライフの向上に貢献する臨床検査部
コラム ~検査にまつわるお話です~
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【お問い合わせ先】

東邦大学医療センター
大森病院 臨床検査部

〒143-8541
東京都大田区大森西6-11-1
TEL:03-3762-4151(代表)

検査について

 
当日に採血室(輸血部)にて、目的と必要に応じて異なる採血管に採られた血液は検体搬送システムによって速やかに検査部に届けられ、血液・生化学・免疫血清・一般(尿)・微生物の5部門にて、速やかに正確性の高い検査が実施されています。
先進医療実践への支援として積極的に最新の検査方法(項目)の導入を図ると共に、日々の測定精度の維持・管理に努め、正確性保証のため年2回(日本医師会・日本臨床衛生検査技師会主催)の外部精度管理調査に参加しています。

血液疾患の検査

貧血・白血病と血液凝固・止血機能に関する病態のスクリーニング(ふるいわけ)検査として、全身に酸素を供給する赤血球・免疫をつかさどる白血球・止血機能を有する血小板・造血の指標となる網赤血球などの血球数を算定する検査と、顕微鏡を使って個々の細胞の種類と数を調べる形態学的検査や、出血が起きた際に正常に止血が行われるかを調べる凝固検査を実施しています。
この他に、診断と治療に必要な詳しい検査として、血小板の働きを調べる血小板凝集能試験、遺伝性球状赤血球症の診断に重要な赤血球抵抗試験や発作性夜間血色素尿症の診断に重要なHAMテストとSugar-Water試験、また、白血病の診断と分類を行うための骨髄特殊染色も行っています。骨髄標本は迅速に顕微鏡を使って検査され、血液腫瘍科との連携により診断や治療法選択に役立てています。

生活習慣病の検査

総コレステロ-ル・LDL/HDLコレステロール・中性脂肪など、今話題のメタボリックシンドロ-ムの検査や、血中ブドウ糖(血糖)・ヘモグロビンA1c・グリコアルブミン・インスリンなどの糖尿病検査を実施しています。また、糖尿病療養指導士(日本糖尿病療養指導士認定機構)による、糖尿病教室・短期教育入院へのスタッフ派遣、外来での簡易血糖測定器を用いた自己血糖測定(SMBG)指導を行っています。

腎臓病の検査

腎臓病の診断と治療に必要なクレアチニン・尿素窒素・尿酸の検査を血液・尿の両方を材料として実施しています。また、新しい腎機能マーカ-であるシスタチンCの検査や、腎臓病の進み具合を調べる尿蛋白定量検査・微量アルブミン尿検査、24時間溜めた尿を材料にして腎機能を調べるGFR(糸球体濾過量)検査、慢性腎臓病(CKD)のステージ分類・診断に必要なeGFR(推定GFR)を血中クレアチニンとシスタチンCで算出することに取り組んでいます。

心臓病の検査

心臓病検査として、心不全マーカーであるBNP、心筋梗塞マーカーであるCK-MB、トロポニンI、ミオグロビンの検査を行っています。これらの検査は、胸の痛みの原因として重大な急性心筋梗塞の迅速診断に利用されるため、365日24時間体制で実施しています。

肝臓病/消化器疾患の検査

肝機能検査としてGOT(AST)・GPT(ALT)・γ-GTP・ビリルビンなどの検査をはじめとして、お薬を注射して肝臓の働きを調べるICG(インドシアニングリ-ン)検査や、ウイルス性肝炎(A型・B型・C型等)の検査も実施しています。この他にも、消化器疾患の検査として、急性膵炎のP-AMY(膵臓由来アミラーゼ)の検査を行っています。

薬物濃度の検査

最適なお薬の量を調整したり、中毒域となっていないかを判断するための薬物血中濃度も測定しています。対象薬物は、喘息治療薬であるテオフィリン、強心剤であるジゴキシンや、抗てんかん剤のフェノバルビタ-ル・カルバマゼピンなどです。特に緊急性の高いテオフィリン・ジゴキシンは24時間体制で検査を実施しています。

腫瘍マ-カ-の検査

体内に腫瘍が存在すると増加してくることから、悪性腫瘍の早期発見や再発の有無の判断、治療効果の判定にも利用される腫瘍マーカーの検査を行っています。消化器関連のCEA・CA19-9・AFP、前立腺癌の高感度PSAなどの検査を実施し、診断と治療に役立てています。

ホルモンの検査

甲状腺や副甲状腺の働き(機能)を調べるためのTSH・FT3・FT4・インタクトPTHの検査を行っています。婦人科関連でのLH・FSH・エストラジオ-ル・プロラクチン・プロゲステロン・HCGの検査は、性腺・胎盤機能の検査の他に、妊娠判定や不妊症治療にも役立てています。その他、高血圧の発症に関与するホルモンであるレニン・アンギオテンシン、副腎ホルモンのアルドステロン・コルチゾ-ル・カテコラミンの検査を実施しています。

感染症の検査

ウイルスや細菌などの病原体を直接検査する微生物検査とは別に、これらの病原体(抗原と言います)が、体内に侵入したときに出来る防御物質のひとつである抗体(抗原に対応しています)を測定することで、感染の有無や経過を調べる感染症検査を行っています。梅毒の感染を調べるTP抗体や梅毒脂質抗体の検査や、AIDS(HIV)検査、その他にも麻疹・風疹・水疱瘡・おたふく風邪などの抗体の有無(免疫の有無)の検査を実施しています。

尿や便などの検査

尿定性検査(試験紙を尿に浸して行う検査)によって蛋白、糖、潜血などの反応を調べたり、顕微鏡を使って尿中の細胞成分などの種類や数を検査することで、腎臓や膀胱などの異常をいち早く知ることが出来ます。尿の検査以外にも髄液検査、便潜血検査、寄生虫検査や精液検査など幅広い検査を行っています。
髄膜炎が疑われるような場合には、髄液検査は非常に緊急性を有する重要な検査ですから、当検査室では24時間体制でいつでも検査が出来るようにしています。糞便の検査では便潜血検査や寄生虫検査が行われます。便潜血検査は大腸がんのスクリーニング(ふるいわけ)検査として行われることが多い検査です。寄生虫検査では顕微鏡を使って、虫卵やアメーバなどの原虫を調べます。最近、寄生虫感染症は増加していますので、生食する場合は注意が必要です。精液検査は不妊症の検査として行われており、精子の数、形態、運動率などの検査をおこなって不妊症治療に役立てています。

微生物検査室

微生物検査室の任務は、患者さんから採取された材料(喀痰、尿、便、膿みなど)から病気の原因となる微生物を検出する仕事と病院内感染に関わる仕事が中心になっています。
微生物検査では、感染症が疑われる患者さんの材料から病原体を見つけ、それらにどのような抗菌薬が効くのかを調べます。微生物を検出する方法としては幾つかありますが、当検査室では少しでも早く病原体を見つけるために迅速検査法を重要視しています。この方法は、患者さんの材料から直接的に病原性のある微生物や毒素を検出し、15分から30分程度で報告します。下痢症状の場合には便を材料とし、クロストリジウム・ディフィシルの腸管毒素、ロタウイルス、腸管アデノウイルスなどを調べ、かぜ様症状の場合には綿棒で咽頭や鼻腔を拭い、インフルエンザウイルス、RSウイルス、咽頭アデノウイルス、A群溶血性レンサ球菌などを調べます。また、かぜ様症状では尿を材料として尿中レジオネラ抗原、尿中肺炎球菌抗原などを調べたりもします。これらかぜ様症状の迅速検査は夜間・休日を通して行っており、特に冬季のインフルエンザ感染症や重症肺炎の原因菌であるレジオネラ、肺炎球菌感染症の診断に役立っています。
病院内感染に関わる仕事では患者さんを病院内感染から守るために感染管理部と連携し、抗菌薬の効かない菌(耐性菌)の検出、報告、集計などを行い、必要に応じて病院内環境の調査もしています。また、微生物検査室は管理区域となっており、病原性のある微生物が区域外に出ないよう安全対策も充分行っています。
当微生物検査室の特徴は、医学部の微生物・感染症学講座と連携しており、診断が難しいとされている感染症の検査や多剤耐性菌の詳細な検討などを積極的に行っていることで、他の医療施設から検査を依頼されることも多く、レジオネラ感染症の診断や院内感染症の原因として問題となっている耐性菌の分析に寄与しています。