こころの病について

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認知機能改善へのアプローチ

認知機能を改善させるためのアプローチ法は
  • 認知機能そのものではなく環境を変えることによって対処する「認知適応法」
  • 認知機能(神経系)に働きかける「認知矯正法」
の2つに大きく分けられます(中込ら, 2007)。しばしば認知機能リハビリテーションの現場では両手法を組み合わせて行う場合が多いとされています。

認知適応法

認知適応法とは、認知機能障害を補って代わりの機能を得るために環境の修正を行う代替戦略です。例えば記憶障害に対してカセットテープやメモ帳を用いたり、タイマーを利用したりする、手順を書いて貼っておくなどの方法が挙げられます。これらの方法を用いることで症状の軽減につながり、生活のしづらさの改善にもつながると言われています(Velligan et al. 2000)。

認知矯正法

一方認知矯正法とは、認知機能の改善を目指すトレーニングのことを言います。治療者によって様々ですが、紙と鉛筆を用いたドリルやコンピューターソフトを用いた手法、一文字戻りしりとりのような口頭行うゲームなどがあります。

日常生活の中で出来ること

日常生活の中で出来ること
これらのアプローチに共通していることは、援助を始める前に必ず当事者の認知機能やそれによってもたらされる生活における困難について詳細な情報を収集し、分析することです。個人によって認知機能の強いところ弱いところは異なり、生活における困難も様々です。そのため事前に個人の状態を把握し、適切な治療目標を立て、アプローチを検討していくことが大切です。
さて、治療的アプローチがなくても認知機能障害を改善させるために、日常生活の中で出来ることは非常に多くあります。例えば料理の過程を考えてみましょう。
  • メニューを決める⇒計画力、発想力を高める
  • 材料を買う⇒計画力、コミュニケーション能力、判断力、記憶力を高める
  • 調理する⇒集中力、作業の早さ(作業効率)を高める
  • 盛り付ける⇒計画力、五感を鍛える
  • 食べる⇒達成感・コミュニケーション能力を高める
このように、普段の生活の中にも何気なく認知機能は働いているため、それらの作業を意識的に行うことで認知機能を高めることが期待できます。

お問い合わせ先

東邦大学医療センター
大森病院 メンタルへルスセンター イル ボスコ

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