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統合失調症と健康状態

統合失調症と健康状態
統合失調症と他の疾患との関係はまだはっきりとは分かっていません。いくつかの研究によれば全体的に統合失調症の患者さんの身体の健康状態はあまりよくないようです。彼らの身体ではしばしば歯や眼の問題、高血圧、糖尿病などがみられます。統合失調症の患者さんは寿命が平均10年ほど短く、早すぎる死の原因の60%は自殺とは無関係です。

50%の精神科の患者さんは身体的な合併疾患を持ちつつも、きちんとケアされていない場合や未診断である場合も多くあります。

直接原因ではありませんが、統合失調症と薬物依存は関係があり、薬物が発症や再発のきっかけになることはよく経験される事実です。統合失調症患者は症状を和らげる目的の自己治療として、アルコールや薬物によって副作用や症状を乗り切ろうとする傾向があり、アルコール依存や薬物依存になりやすいことがわかっています。

覚醒剤、幻覚剤は統合失調症を悪化させます。また大麻使用は統合失調症の発症因子の1つであり、大麻使用者が統合失調症を発症するリスクは2倍になります。加えて、統合失調症者は喫煙者が多く、とりわけ長期入院患者とホームレスに喫煙者が多いと言われています。統合失調症と薬物依存は同時に治療すべきものです。もし同時に治療すれば自殺や精神病症状を減らすことができます。地域の援助グループも有用です。統合失調症の若者にとって前向きな社会ネットワークやレクリエーション活動は大変助けになるものです。

最近の研究は精神疾患のある人々が循環器疾患やそれによる死亡リスクが上がることを示しています。それはメタボリックシンドロームといわれているもので、循環器疾患、肥満、高血圧、耐糖能異常、高脂血症によって規定されている一群をさします。統合失調症の患者さんは彼らの生活習慣が彼らを助けることになるとは夢にも思っていないかも知れませんが、将来それは違いが出てくることを伝え、彼らが健康的な生活を送れるように健康教育をしてゆくことも大切です。人々は重い精神障害を経験した場合でさえも努力して一生懸命変化してゆくことができるのです。

精神障害は健康ときりはなせない重要な部分であると現在考えられています。世界的にも過去数年間、精神疾患と身体疾患の関係は注目されてきました。しかし実際に身体もしくは心の病気が診断されたときに、合併疾患の問題についてはあまり考慮されていないのが現状です。

患者さんも一般人と同様にそれぞれの目標を持っています。たとえば症状を減らすこと、自立して生きてゆくこと、人間関係をよくしてゆくことなどです。健康的な生活の計画は良い結果をもたらすかもしれません。実現可能な将来の見込みを設定することや、その個人にとってやりがいや興味のある活動を含む計画は実現の可能性が高まります。他にも多くの助け合える人間関係を作ったり、彼らに対して無意味に批判的になるような状況を避けたり、彼らの能力や才能に合わせた計画を作るといったこともポイントになります。

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