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適切な診断

早期介入について語るときに、診断の問題を避けては通れない。
そもそも臨床診断というものは、診断者の違いや国境を越えてある程度一定である必要があり、我々が日常の臨床で多用している既存の診断基準(ICD-10やDSM-IV)によって我々は有病率や治療効果の比較が可能となり、また治療行為をする根拠も得ている。

しかし、精神病前駆状態については、いわば発症前の状態であることから、発病後の病気を同定するためのマニュアルであるICD-10やDSM-IVには、該当項目がない。
場合によっては、 医師が臨床経験から精神病前駆状態であることを強く疑いながらも、 診察の時点で確認できた症状をとりあえず診断基準に当てはめた結果、「急性一過性精神病」「統合失調症型障害」「パーソナリティー障害」「うつ病」「神経症」「アスペルガー症候群」など別の診断名がつく場合も考えられる。

以前、 DSM-III-Rでは統合失調症の前駆症状の定義が試みられたことがあるが、特異性の問題などもありDSM−IVでは削除された。
実際に精神病前駆状態を調べた研究において、多くの症例が最初の時点では気分障害や不安障害などと診断されている。

前駆期には、うつ状態や不安など非特異的な症状がみられ、陽性症状がでるまで他の精神疾患と区別がつかないといわれている。

また、陽性症状のみの発症はわずか6.5%であるという報告があり、ほとんどの症例では発症に先立って陽性症状以外の何らかの徴候があるということになる。
どのような徴候や検査所見が疾患特異的であり、発症を予測するのかという点については、 様々な研究が進められつつある。

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