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早期介入の倫理

前駆状態の診断については様々な議論があるが、臨床医の立場から言及すれば、ICD-10やDSM-IVの基準は満たしていないものの、疾患非特異的な症状や、 間歇的あるいは微弱な陽性症状があり、それらの症状に苦しみ助けを求めて来院する人達は決して少なくない。その人達に対して「あなたは診断基準の条件を満たしていないから病気ではない」と放置するわけにはいかないだろう。すでに何らかの器質的な変化が始まっている可能性もあるし、 放置したことによって数年後に発病して重篤な精神病に至る可能性もまた否定できない。

医学的な見地から小林らは早期介入治療の根拠について、

[1]早期診断の妥当性の問題(非介入でも自然軽快するのであれば介入自体に意義があるとはいえないこと)

[2]早期治療のリスク- ベネフィットの確認(介入による恩恵が不十分であれば、 介入を推進する根拠に欠いてしまうこと)という2つの留意点について言及し、 早期介入が倫理に従って進められる際においては「[1]介入しなければ事態が悪化する可能性が極めて高い状況において、 [2]当事者への恩恵が保証できる手法が確立されていること」が必要条件であると述べている。

早期介入に関する診断やリスクとベネフィットに関する様々な研究やサービスへの取り組みは現在世界中で行われており、 肯定的報告が多いようである。

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