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教授よりご挨拶

就任のご挨拶

主任教授 教授 根本隆洋
教授就任のごあいさつ
根本 隆洋

 この度、令和3年6月1日付で精神神経医学講座 教授を拝命いたしました。初代新井尚賢教授以来、柴田洋子教授、鈴木二郎教授、菅原道哉教授、水野雅文教授と、連綿と受け継がれてきた歴史と伝統を大切にし、そして新たな発展を目指して励んで参ります。引き続き変わらぬご支援を賜りたく、何卒宜しくお願い申し上げます。

 本講座は開講以来、bio-psycho-social(生物・心理・社会的)と幅広く、国内外を問わず精神医学・医療の発展に貢献してきました。特に近年は、socialな観点からの保健・医療・福祉にわたる包括的なその取り組みで、非常に高い評価をいただいてきました。今後も地域に根差したcommunity-basedな足腰の強い診療を基礎として、先駆的な研究活動の充実と、東邦大学の校是である「よりよき臨床医の育成」を目指し、努力を重ねて参ります。

 近年、社会の価値観は多様化し、そこにコロナ禍も重畳し、東邦大学医療センター精神神経科(メンタルヘルスセンター)を受診される方々が求める「救い」は、非常に幅広く複雑です。それらに応えるために、一般診療と専門診療を兼ね備え、器質性から心因性にわたる幅広い精神疾患に対応し、地域の社会資源・サービスと有機的に連携した精神科医療の提供に努めております。また、城南地区唯一の精神科急性期に対応可能な病床を持つ総合病院として、地域の中核的役割を自覚し、身体合併症治療にも積極的に携わっています。地域に門戸を閉ざすことのないように、大学病院には珍しく、予約なしで初診患者を受け続けています。

 今や全国にその名を知られた、本講座の精神科早期介入(早期発見・早期治療)の取り組みは、大森病院ユースデイケア「イルボスコ」の活動などを経て、現在は足立区北千住で展開する、若者向けワンストップ相談センター「SODA」(https://soda.tokyoadachi.com/)の開設へと、新たなステージに踏み出しています。

 21世紀は「脳の世紀」といわれ、脳とこころの問題を扱う精神医学への期待は、ますます高まっています。大学の精神神経医学講座は、研究活動も通じて、未だ満たされない多くの診療ニーズ(unmet needs)に応える必要があります。私たちはこれまで、患者さんの目標の達成や全人的回復(リカバリー)に向けて、「発散的思考を標的とした認知リハビリテーション」などの独創的な治療法の開発や、MEICISプロジェクト(https://meicis.jp/) として、新たな「地域メンタルヘルスケア・システム」の構築・検証や政策提言を行ってきました。一方で、有効性が確立されながらも十分な普及に至っていない、既存の治療法の実用導入も重要であると考えています。近年発展の目覚ましい実装科学(implementation science)に基づき実行可能性を吟味し、期待される治療法の提供を先導する役割を担っていきたいと思います。

 精神科医でもある作家の帚木蓬生さんが、その著書の中で、アフリカ大陸のセネガルに伝わる「人の病の最良の薬は人である」との言葉を紹介されています。私はその言葉を胸に診療し、後輩医師・スタッフを育成し、精神神経医学講座を引き継ぐ者としての責務を果たしたいと考えております。引き続きご支援のほど、重ねてお願い申し上げます。
東邦大学医学部精神神経医学講座

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