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泌尿器科
リプロダクションセンター(婦人科)

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【電話番号】

03-3762-4151(代表)
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東邦大学医療センター
大森病院 リプロダクションセンター(泌尿器科)

〒143-8541
東京都大田区大森西6-11-1
TEL:03-3762-4151(代表)

男性不妊の検査 診断 治療の手順(方針)

男性不妊と女性不妊の割合はどのくらいですか?

WHO(世界保健機構)の不妊症原因調査では、男性のみ24% 女性のみ41% 男女とも24% 原因不明11%と報告されています。つまり男性不妊48% 女性不妊65%となっています。24%が夫婦ともに不妊原因があるため、夫婦で一緒に治療する必要があります。当センターは婦人科と泌尿器科が合同でリプロダクション(生殖)センターを運営しています。

男性不妊の原因にはどのようなものがありますか?

当センター(泌尿器科部門)の男性不妊原因は、多い順に、原因不明、勃起障害、精索静脈瘤、精路閉塞、染色体異常、射精障害、性腺発育不全、その他となっています。原因がわからなくて精巣での精子を作る機能が低下しているものが最も多くあります。

男性不妊の検査はどんなものがありますか?

初診時には、問診と診察があり、検査は採血、尿検査、精液検査、超音波検査を行います。採血では、一般検査の他にホルモン、抗精子抗体、染色体を調べています。超音波検査は、精索静脈瘤の有無などを検査します。

精液検査はどのようにおこないますか?

禁欲期間(射精しない期間)が3日から7日間必要です。当センターでは、5日間以上の禁欲期間を検査前にお願いしています。精液検査の時間は、採取してから30分後から1時間の間がよいです。採取して時間が経過してしまうと精子の運動率が正確に測定できません。そこで病院での採精をお願いしています。当センターには、2つの専用の採精室があります。採精室は、個室でリラックスできるようソファーがあります。性的刺激としてエロチックビデオがありヘッドホンを使用して見る事ができます。グラビア本を持参してもよいです。精液を専用容器に全量とっていただき容器の蓋にマジックで名前と採取した時間を記載してもらいます。精液検査の結果は、同じ人でも変動しますので再度検査する場合もあります。

ホルモン検査で何がわかりますか?

血液検査で、FSH(卵胞刺激ホルモン)、LH(黄体刺激ホルモン)、テストステロン(男性ホルモン)を調べます。FSHとLHは、脳下垂体から分泌されるホルモンで、テストステロンは精巣で分泌されます。FSHは、精巣を刺激して精巣で精子を作るよう促す作用があります。LHも精巣を刺激し男性ホルモンの分泌を促す作用があります。LH、FSH、テストステロンがすべて低下している場合は、ホルモン不足ですのでホルモン治療が有効です。FSHが高くなっている場合は、精巣での精子を作る機能が低下している状態です。

抗精子抗体とはなんですか?

抗精子抗体は、女性だけでなく男性にもあります。女性に抗精子抗体があると子宮頸管粘液などで精子の運動性が悪くなり自然妊娠が難しくなる場合があります。 男性でも抗精子抗体があると精子の運動率が悪くなります。精巣、精巣上体(副睾丸)、精管など過去に炎症や損傷があった場合に陽性になる場合があり、例外もありますが抗精子抗体が精子の運動性を悪くして自然妊娠が難しくなることがあります。精子運動率が悪い場合やなかなか妊娠しない場合は、人工授精や体外受精・顕微授精になる場合もあります。

染色体検査で何を調べますか?

検査は採血で当センターでは男性不妊の患者全例に染色体検査を行っています。 当センターを男性不妊で訪れた1007人に染色体を実施したところ、性染色体異常が38例(3.8%)、常染色体異常が24例(2.4%)、合計62例(6.2%)ありました。精子濃度500万以下、精巣容積8ml以下、FSH30.1mIU/ml以上、LH8.9mIU/ml以上などではそれぞれ正常に比べ特に(有意に)染色体異常が多くなっています。染色体異常は男性不妊の原因であり、妊娠の可能性や体外受精・顕微授精などでの判断材料となります。

Y染色体の遺伝子検査で何を調べますか?

検査は採血で行います。当センターでは原因不明の高度乏精子症や無精子症の患者さまに行っています。Y染色体のDAZ領域の微小欠失は、正常ではないが高度乏精子症や無精子症では8~19%に認められ男性不妊の原因と考えられています。原因不明の高度乏精子症や無精子症で挙児を得るためには、顕微授精(ICSI)が行われ、男児が生まれた場合はY染色体のDAZ領域の微小欠失が伝わることになるが将来男性不妊になるかは現在のところ不明です。

EDや膣内射精障害が原因の男性不妊にはどのような治療がありますか?

EDが原因で不妊になる割合は、特発性造精機能障害の次に多いが、ED治療薬で8割は改善します。また、不妊治療のタイミング法でEDになる場合が多くあり、ED治療薬で改善します。マスターベーションで射精できるが膣内で射精できない膣内射精障害では、一度陰茎を抜いて手で陰茎を刺激し射精直前に再び挿入する方法やカップに精液を取って2mlの針なしの注射器で膣に注入するなどがあります。

乏精子症(精子が少ない)・精子無力症(精子の運動性が悪い)にはどのような治療がありますか?

精索静脈瘤がない場合

精索静脈瘤が男性不妊の大きな原因の一つですが、超音波検査で精索静脈瘤がない場合は、クロミフェン内服または補中益気湯内服を行っています。クロミフェン内服は自費診療になります。

精索静脈瘤がある場合

精索静脈瘤がある場合は、手術をお薦めしています。手術方法には、ドプラ血流計を使用した顕微鏡下精巣静脈低位結紮術と通常の精巣静脈高位結紮術があります。前者は、局所麻酔で陰嚢付け根を切開し、日帰り手術が可能ですが自費診療です。後者は、全身麻酔で腹部横切開で3泊4日の手術です。手術成績は、手術法で差はなく精液の改善は約70%で認められています。

女性の年齢が40歳に近い場合

女性の年齢が40歳に近い場合は、男性不妊の治療を行わず、人工授精や体外受精・顕微授精を選択する場合もありますが、男性不妊の薬物治療や静脈瘤治療が婦人科的治療効果を高めると考えられています。

WHO(世界保健機構)の精液検査の正常値が2010年に以下のように変わりました。

  • 精液量1.5ml以上
  • 精子濃度1500万/ml以上
  • 総精子数3900万以上
  • 運動率40%以上
  • 正常形態率4%以上(奇形率96%未満)
  • 総運動精子数(総精子数×運動率)1560万以上」

どれくらいの精液所見の時、人工授精や体外受精・顕微授精が必要ですか?

男性不妊が原因の場合は、まず男性の治療をお薦めします。男性不妊の治療効果が不十分な場合は、婦人科的治療が必要になります。動いている精子の総数(総運動精子数)で婦人科的治療法が選択されます。総運動精子数は、「精液量×濃度×運動率=総運動精子数」の式で求めます。

総運動精子数が1560万以上の場合

総運動精子数が1560万以上の場合、性行為で自然妊娠する可能性があります。しかし、2年間不妊なら人工授精をお薦めしています。

総運動精子数が1560万未満—1000万以上の場合

総運動精子数が1560万未満—1000万以上の場合、人工授精をお薦めしています。しかし、5回程度行ってもだめなら体外受精・顕微授精もお薦めしています。

総運動精子数が1000万未満の場合

総運動精子数が1000万未満の場合、体外受精・顕微授精をお薦めしています。

妻の年齢が40歳に近い場合

また、妻の年齢が40歳に近いと男性不妊の治療を行わずに人工授精や体外受精・顕微授精などを選択する場合が多くなる傾向もありますが、男性不妊の薬物治療や静脈瘤治療が婦人科的治療効果を高めると考えられています。

無精子症にはどのような治療がありますか?

閉塞性無精子症の場合

精路閉塞(パイプカット、鼡径ヘルニア手術、精巣上体炎、射精管閉塞など)に対しては、入院して全身麻酔で顕微鏡下精路再建術または射精管切開術を行います。手術をしても精子が出現しない場合も考えられますので、精巣内精子の凍結保存も念のため行います。

精管欠損の場合

診察や超音波検査で精管欠損と診断された場合は、TESE-ICSI(日帰り手術)またはMDTESE-ICSI(日帰り手術)を行います。

その他

FSH低値の場合は、性腺発育不全の可能性がありホルモン治療が有効です。


FSH正常値で染色体異常がない場合は、精巣内で精子を作っている可能性が約90%でTESE—ICSI(日帰り手術)やMDTESE-ICSI(日帰り手術)を行います。TESEで精子を採取できなかった場合は、さらにMDTESEを行います。初めからMDTESEを行えば1回の手術です。精子を採取できる確率は約90%です。


FSH高値、染色体異常、Y染色体遺伝子異常やTESE無効の場合は、MDTESE—ICSI(日帰り手術)を行います。精子を採取できる確率は約30%です。精子が採取できなかった場合は、AID(他人の精子による人工授精)を希望者のみ検討します。他人の精子による体外受精IVF・顕微授精ICSIは学会で議論中です。

逆行性射精にはどのような治療がありますか?

糖尿病や腹部・直腸の手術後に、射精反射はあるが精液が射出されず膀胱内に射精する状態を逆行性射精といいます。治療は、薬物療法を行い無効の場合には、TESE—ICSIまたは膀胱内精子回収—ICSIを行います。