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勃起障害(ED)

勃起障害ってなんですか?

以前はインポテンスと呼ばれましたが差別的であることから勃起障害と呼ばれるようになりました。英語でErectile Dysfunction と書き、頭文字をとってEDと呼ばれています。
EDの定義は「満足のいく性行為に十分な勃起を達成できない、もしくは維持できないこと」ということですので、誰でもなる可能性があります。この状態が繰り返す方、中折れ気味のことが多くなった方、勃起硬度が弱くなったと感じる方などが勃起不全治療薬などで治療されています。

勃起障害の発生頻度は?

日本での勃起障害患者数は、常にできない重症例と時々できない中等症例をあわせると1130万人いると推計されています。さらに、たまにできないなどの軽症例を含めるとかなりの人数になります。また、約2000組の夫婦の調査で約30%がEDの経験があると回答しています。
このようにEDは決して珍しいものではないので恥ずかしがる必要はありません。また、男性不妊の原因の30%が勃起障害であることも判明してきました。

勃起障害の診断はどうしますか?

勃起障害であるかどうかは、EDの定義「満足のいく性行為に十分な勃起を達成できない、もしくは維持できないこと」に当てはまれば診断できるので、患者さん自身でも診断可能です。
勃起障害がどんなものかの鑑別診断は、ED専門医が行いますが、詳細な問診や診察、心理テスト、内分泌検査、生理的勃起機能検査、神経系検査、血管系検査などがあります。

勃起障害にはどんなものがありますか?

EDの分類は、身体に問題のない機能性と問題のある器質性に分けられる。
機能性には心因性と精神病性、器質性は血管性、神経性、内分泌性、陰茎性に分類されますが心理的なものやそれぞれの身体的障害が重複する場合もあります。
勃起障害(ED)の治療法

勃起不全治療薬を処方してもらうのに詳細な検査が必要ですか?

ED専門医が行う検査は、勃起不全治療薬が無効な場合に検討します。勃起不全治療薬を処方してもらうには、一般医師の下で健康チェックをしてもらえば処方してもらえます。
勃起不全治療薬は、厚労省の認可を受けていますが、保険は適用されていません。個人輸入薬はWHOの調査では、半数が偽物と報告されています。また、不衛生な環境で製造されていますので、個人輸入はお勧めできません。

バイアグラ Sildenafilの 日本での治験成績は?

バイアグラは1999年3月に日本で始めての勃起不全治療薬として発売された。
臨床試験は1997年2月から1998年1月に29施設で、プラセボ群64例、25mg群65例、50mg群60例、100mg群67例に試験を行い、改善率は、プラセボ15%、25mg58.3%、50mg72.4%、100mg(未承認用量)72.3%で、副作用は、頭痛(プラセボ群2例、25mg群4例、50mg群10例、100mg群6例)、ほてり(プラセボ群2例、25mg群3例、50mg群12例、100mg群10例)、視覚異常(プラセボ群0例、25mg群0例、50mg群2例、100mg群9例)で重篤なものはなかった。日本では100mgは認可されていない。(白井将文、永尾光一、他:勃起不全に対する経口薬シルデナフィルの無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験成績.西日本泌尿器科 62(6):373-382,2000)

レビトラ Vardenafilの日本での治験成績は?

日本での臨床試験は終了し2004年6月に発売された。
日本の臨床試験の成績は、勃起不全患者283名を対象にレビトラ5㎎、10㎎、20㎎またはプラセボを性交の1時間前に経口投与し12週間で評価した。挿入の成功率は、プラセボ33.4%、5mg 63.5%、10mg 78.5%、20mg 79.3%、総合効果(改善率)はプラセボ35%、5mg 73%、10mg 85%、20mg 86%であった。レビトラの主な副作用発現率は、常用量の10mgでは、ほてり29.3%、頭痛12.0%、鼻炎6.7%、心悸亢進5.3%で重篤なものはなく、視覚異常はなかった。
(Nagao K, et al: Safetyand efficacy of vardenafil in patients with erectile dysfunction : Result of a bridging study in Japan. International Journal of Urology 11:515-524,2004)

さらに糖尿病合併患者のような難治性のED患者における、PDE5阻害剤の高用量(バルデナフィル 20mg)を既承認推奨用量の10mgと比較検討した。
全ての有効性の評価項目でバルデナフィル10mg群及び20mg群はプラセボ群に対して、有意に優れていた。さらに、20mg群と10mg群の間にも主要評価項目のIIEF勃起機能ドメインスコアで有意差を認め、本薬10mgに対する20mgの優越性が示された。
10mg投与群の患者は、全ての性交の試みのうち72.7%の試みで挿入に成功し、57.8%の試みで勃起を維持出来たが、20mg投与群の患者ではこれらの率は更に高く、78.0%の試みで挿入に成功し、63.3%の試みで勃起を維持することが出来た(p<0.05)。
副作用は本薬10mg群22.3%、20mg群24.2%、プラセボ群6.6%と本薬群間に差はなかった。主なものは、ほてり、頭痛、動悸、鼻閉でありいずれも軽度で一過性であった。(石井延久、永尾光一、他:糖尿病を有する日本人勃起障害患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験におけるバルデナフィルの臨床効果と安全性 日本性機能学会雑誌22(3)2007)

シアリス Cialisの日本での治験成績は?

国内プラセボ対照二重盲検比較試験において、ED患者343例をプラセボ群、シアリス錠5mg群、10mg群、20mg群に割り付け、有効性及び安全性について検討した。
有効性については、国際勃起機能スコア(International Index of Erectile Function、以下IIEF)における勃起機能ドメインスコア、及び患者日記中の性交に関する質問(Sexual Encounter Profile、以下SEP)の質問2(「パートナーの膣への挿入ができましたか?」)、質問3(「勃起は十分に持続し、性交渉に成功しましたか?」)に対し「はい」と回答した割合のベースラインからの変化量で評価した。
結果は、すべての評価項目において、シアリス5mg、10mg、20mgすべての用量でプラセボと比較して有意な改善を認め、日本人ED患者におけるシアリスの有効性が証明された。
重症ED患者における部分集団解析においては、IIEF、SEPの2、3のいずれの変化量も用量依存的な改善が認められ、20mg群で最も大きな改善であった。国内臨床試験でシアリス錠を投与した257例における主な副作用は頭痛29例(11.3%)、ほてり22例(8.6%)、消化不良6例(2.3%)等であり、ほとんどの事象が軽度から中等度であった。
(Koichi Nagao, et al: Efficacy and safety of Tadalafil 5,10,and 20mg in Japanese men with erectile dysfunction :Results of a multicenter randomized double-blind placebo-controlled study. Urology 68:845-851,2006)

勃起不全治療薬(PDE type5阻害薬)が効きませんが使い方の問題ですか?

PDE type5阻害薬が無効である場合に、第一に使用方法が適切であったかどうかをチェックする必要があります。内服したが性的刺激がなかった場合、飲酒していた場合、内服の時間が適切でなかった場合、食事(特に油物)を食べた後の内服、薬の副作用がある場合、容量が少ない場合、適応が誤っている場合などがあります。

性的刺激がなかった、または不十分な場合

PDE type5阻害薬を内服すれば自然に性欲が高まり勃起すると勘違いしている患者さんがたくさんいて、薬の効果がないと訴えることがあります。
薬は性欲を高めず性的刺激がないとまったく効果を現さないことを理解してください。特に性的刺激については性的空想、視覚的性刺激だけでは不十分な場合も多く、陰茎の直接刺激が必要です。
パートナーがいるところで性的刺激に集中できない場合は、マスターベーション時に使用し効果を確認する方法があります。

飲酒していた場合

飲酒とPDE5阻害薬の相互作用はないとされていますが、飲酒によって性中枢が抑制されEDを発症することや、実際に飲酒時に効果がない患者さんが多数あるため、効果が心配される場合は、飲酒との併用を避けるようにしてください。

内服の時間が適切でなかった場合

内服のタイミングは、性行為の1時間前とされています。内服直後や2時間以上後では効果が見られない患者さんがいます。また、人によっては2時間以上で効果がある場合があります。
自分にあった時間を確認するため何度か使用してみてください。また、シアリスの場合は飲むタイミングをあまり気にしないですみます。

食事(特に油物)を食べた後の内服

食後特に油物を食べた後にPDE5阻害薬を内服すると吸収が悪く効果が不十分な場合があります。通常の食事では、バイアグラよりレビトラの方が影響を受けにくいとされています。また、シアリスは食事の影響がないとされています。しかし、効果が不十分の場合は、空腹時に内服してください。患者さんによっては、時間が延長されても、食前に内服するほうが効果を発揮することがあります。

薬の副作用がある場合

いずれも副作用に重篤なものはありませんが、ほてり、頭痛、動悸などが気になり性的興奮を抑制して効果が現れない場合があります。副作用が気になる場合は、用量の減量や別のPDE5阻害薬に変更してみるのもよいでしょう。

容量が少ない場合

65歳以上の患者さんやエリスロマイシン・シメチジン使用患者は、初回投与量が通常量の半分からです。それ以外でも少量から処方される患者さんでは、無効例が多いです。少量の使用で無効だからPDE5阻害薬は効かないと判断するのは早く、少量で無効かつ副作用が気にならない程度なら通常量まで増量し再度試みてください。

適応が誤っている場合

性欲障害、射精障害、オーガズム障害にPDE5阻害薬は適応外である。EDを合併している場合は、使用して間接的に効果が見られる場合もありますが多くは期待できません。
例えば早漏の患者に問診票IIEF5の結果だけで診断すると重症の勃起障害であると診断を誤ることがあります。勃起に問題のない早漏患者にPDE5阻害薬の効果は期待できません。
注意深い問診で、患者さんの訴えが勃起障害、性欲障害、射精障害、オーガズム障害またはパートナーの問題のいずれかなのかをはっきりする必要があります。

勃起不全治療薬(PDE type5阻害薬)以外の治療法はありますか?

カウンセリング

泌尿器科はカウンセリングを専門として行っていませんが、勃起不全治療薬を使用しながらカップル同士の考え方の調整が必要となる場合があります。深層心理に問題のある患者さんでは、きちんとしたカウンセリングを精神科で受けることをお勧めします。

内服薬

勃起不全治療薬以外の内服薬には、ビタミン剤、漢方薬、血管拡張剤、高プロラクチン治療薬、抗うつ薬などがある。ED治療薬ではないので著効は期待できません。広告などで精力剤などとして販売されているもので有効性がきちんと確認されたものはありません。

バキュームディバイス(陰圧式勃起補助具)

われわれは3種類のバキュームディバイス(エレックエイドシステム、VCD式カンキ、ベトコ)の臨床試験を行い、リテントを加えた4種類の成績をまとめると270例(機能性ED111例、器質性ED157例、混合性ED2例)で有用性は85.6%(機能性ED82.9%、器質性ED87.3%、混合性ED100%)と高く、安全性は95.2%で勃起不全治療薬より高い有効性を示しています。しかし、中等度軽度の疼痛の訴えが12.1%あり、勃起させるのに10分ほどの操作が必要で使用時間も30分と制限があるため脱落率も高くなっています。バキュームディバイスは、3種類が厚生労働省の認可を得ましたが、患者さんに人気がありません。購入可能なものは、VCD式カンキのみとなっています。

プロスタグランジンE1の陰茎海綿体注射

日本では自己注射が認められていないので主に病院で検査として行っているが、欧米では自己注射がかなり普及しています。
陰茎海綿体にプロスタグランジンE1を注射し勃起を発現させる方法でOtto ILらの報告では有効率82%で副作用は陰茎痛50%、持続勃起症(4時間以上)6%、海綿体線維化2%、不整脈・めまい・顔面紅潮など1%です。また陰茎痛や不自然さのため脱落する人も多い。
また、本邦では、日本性機能学会ICI認可推進委員会が中心となり各施設での自主研究を進め、厚生労働省にはたらきかけています。最近、労災認定の検査項目として正式に認められましたが、薬剤の勃起障害への適応拡大は認められていません。われわれは自主研究として陰茎海綿体自己注射を行っています。

男性ホルモン補充療法

血中テストステロンの低下している患者が適応で、低下していなければ効果がありません。性欲障害、体調全般には、単独で有効の場合が多いですが、勃起障害に単独ではあまり期待できません。勃起障害に対してはPDE5阻害薬だけで効果が不十分で、血中テストステロンが低下している患者に両者を併用することで効果が期待できます。
補充方法は、エナルモンデポー125mgを2週間に1回筋肉注射、または、250mgを3-4週間に1回筋肉注射します。
使用にあたって前立腺癌、多血症、肝機能障害などの定期的検査が必要です。また、経口薬はホルモン作用が少なく肝機能障害を起こしやすいのでほとんど使用されていません。外国ではパッチ剤などが多く使用されています。

陰茎形成術

陰茎が曲がって性交障害になることがあります。若い年代に多いのが先天性陰茎彎曲症で中高年によく発症するのが陰茎硬化症(別名ペロニー病)です。
彎曲が強く性交時に膣内挿入困難や抜けやすい、性交痛などがあれば手術適応です。手術は、先天性陰茎彎曲症や軽症の陰茎硬化症では比較的簡単で陰茎包皮を剥離し陰茎海綿体白膜を癒着しやすいように薄く削り非吸収糸で縫い縮める方法(プリケーション法)が有効で、重度の陰茎硬化症では静脈移植が有用であり、手術により良好な結果が得られます。

血管手術

血管性EDは静脈性と動脈性があります。
静脈性EDは陰茎海綿体からの血液の流出が多く血液を陰茎にとどめるのが困難な状態です、確定診断は、海綿体内圧測定で行い、手術適応は、若い年代で流入動脈が正常な患者さんです。手術は深陰茎背静脈切除・陰茎脚結紮術を行い、血液の流出を少なくします。有効率は1年以上の経過で50%以下です。
動脈性EDは内陰部動脈、陰茎背動脈、海綿体動脈などの障害で起こり、最近では自転車のサドルが一因の報告があります。手術適応は静脈性の合併がなく若い年代で動脈硬化がない患者さんに下腹壁動脈を用いたバイパス手術が行われます。有効率は60~80%です。

陰茎プロステーシス移植手術

他の治療法が無効か行なえない患者さんが適応で最後の手段として行われますが欧米ではかなりの人気があります。
プロステーシスの種類は厚労省で使用承認が取れているものが3種類でDura-II・AMS600・AMS700CXM(米国・American Medical System社製)です。
AMS600と Dura-IIはノン・インフレータブル タイプで勃起時の長さで曲げたり伸ばしたりするだけの簡単なもので日帰り手術も可能です。
また、AMS700CXMはインフレータブル タイプでポンプによって水を移動させるので自然な勃起状態が獲得でき、欧米では人気がありますが入院手術となります。
いずれも手術が成功すればほぼ100%の患者が性交可能ですが、感染した場合は摘出する必要があります。

女性性機能障害ってなんですか?

性生活のパートナーは、女性であり今後は女性性機能障害が新しい課題となります。
女性性機能障害には、われわれは勃起不全治療薬が有効であった男性患者のパートナー40人にアンケート調査を行い性欲障害17.5%、興奮障害(潤滑障害を含む)12.5%、性交痛22.5%、オーガズム障害12.5%で、閉経前24例と閉経後16例では性欲障害4.2%、31.3%、性交痛16.7%、28.6%と閉経後で性欲障害や性交痛が多くありました。
男性のED治療だけ行うのではなくパートナーについても可能な限り情報収集して、性交痛などがある場合は、リューブゼリーなどの潤滑ゼリーを薦めることも重要です。

メディア掲載情報~日刊スポーツ医療コラム記事~

東邦大学医学部泌尿器科学講座・永尾光一准教授
<プロフィール>
昭和大学大学院卒。東邦大学医学部泌尿器科学講座講師を経て2007年現職。EDの治療と研究に長年従事している。日本性機能学会理事、日本泌尿器科学会専門医、日本形成外科学会専門医

ストレスを重くする心因性のED

ストレスは心身にさまざまな影響を及ぼす。性に関することも無縁ではない。現在、国内の軽症を除くED(勃起障害)患者は1130万人と推定されている。EDの定義は、「性交時に十分な勃起が得られないため、あるいは十分な勃起が維持できないために、満足な性交が行えない状態」。EDは大きく分けて、血管、神経、内分泌、陰茎などに問題のある「器質性ED」と、ストレスなどによる「心因性ED」があり、30代、40代で多いのは後者である。このうち、30代のED患者の9割は、「心因性」という。「仕事などでストレスを抱えている人は、心因性EDになりやすい。また、EDそのものもストレスになる。EDを治すことで、ストレスが軽くなる人もいます」と、東邦大学医学部泌尿器科学講座の永尾光一准教授はいう。ストレスがたまると、それを発散するため、性行為を行いたいとの欲求は高まる傾向にある。ところが、ストレスは、"発散"にブレーキをかけてしまう。「大脳の興奮によってペニスは勃起しますが、不安やストレスはこの大脳の興奮を抑制してしまうのです」たとえば、性行為の最中に、ふと仕事のことが頭をよぎる。「あの商談は上手くいくだろうか」などと考えた途端、大脳の興奮は遮断され、ペニスは萎えてしまう。このときパートナーになじられると、それもストレスになる。次の性行為のときに、「また失敗したら」と思うと、今度はその思いが大脳の興奮を抑制。悪循環に陥ってしまうのだ。「うつ病などの心の病を発症しているときにも、EDになりやすい。心療内科や精神科で心の病を治すことが優先されます。が、勃起治療薬でEDが改善されると共に、うつ病もよくなるケースはあるのです」現在、ED治療薬は3種類。いずれも心因性のEDには有効だが、「推定患者数1000万人以上のうち、受診しているのは、わずか1割程度に過ぎません」と永尾准教授。多くの人は、EDの症状に自己対処か、放置というのが現状。性のよるストレスを抱えやすい人が多いといえよう。

受診しにくいEDの問題

国内では1000万人以上の患者が推定されているED(勃起障害)。しかし、このうち1割程度しか受診していない。「身体的な問題のない心因性EDでは、勃起治療薬が有効ですが、自費診療であり、ご本人が相談しにくい面もあるため、受診されない方が多いのだと思います」と、東邦大学医学部泌尿器科学講座の永尾光一准教授はいう。EDは男性の自信喪失に結びつき、不安やストレスも膨らませる。だが、性の話は、非常にプライベートな問題。従来、性の話をオープンにする習慣のない日本人にとっては、他人にいうことすらはばかることはあるだろう。「ED治療によって悩みを解決されると、仕事にもより積極的になれたという方が多い。生活の質を高めることにもつながるので、医療機関に気軽にご相談していただきたいと思っています」EDの診断は、問診やホルモンバランスを見る血液検査、うつ傾向があるかといった心理テストが行われる。検査に数万円、薬代として1錠数千円(医療機関によって異なる)。勃起治療薬は、1988年登場の「バイアグラ」、2003年発売の「シアリス」、今年厚労省から承認された「レビトラ」の3種類。いずれも血管を拡張し血流を増やす作用があり、大脳が興奮した際に、勃起を促し持続させるように働く。「これらの薬は、内科の医師も処方しています。EDで悩まれている方は、一度、ご自身のかかりつけ医に相談してみてください」一方で、インターネットの個人輸入代行でも勃起治療薬は取り扱われている。だが、「成分の異なる偽物が横行しているので、注意しましょう」と永尾准教授。元来、勃起治療薬は、心臓疾患や高血圧などの薬と併用すると、副作用が起こりやすい。また、正しい服用方法をしなければ、効果を得られないこともある。やはり、自分の健康状態を把握し、正しい使用をするには、医師の診断・指導が欠かせない。それをお忘れなく。

我慢を強いられる結婚生活

夫婦の間がギクシャク。その原因が、性に関するストレスのことがある。「女性は性に関する意思表示をしない傾向にあります。そのため、男性は女性を理解できず、結果的に自分本位の性行為になっていることが考えられる。その場合に、女性はストレスを感じることはあるでしょう」と、東邦大学医学部泌尿器科学講座の永尾光一准教授は指摘する。先頃、永尾教授が実施した「女性5665人の性生活調査」では、「性生活を今より充実させたい女性」が68・9%に上った。性交痛の有無では、「ときどき痛みを感じる」と答えた人は49・4%。「半分ぐらい痛みを感じる」(10・6%)、「ほとんど痛みを感じる」(5・9%)と合わせれば、65%以上の女性が何らかの痛みを感じていることになる。「以前に行ったカップルの調査では、男性と女性では、前戯や後戯の時間に差が生じていました。女性はもっと長くしてもらいたいと思う反面、男性は短時間。このように差が生じたままでは、結婚生活においてずっと我慢を強いられることになるのです」先の調査で、性生活でパートナーとの関係に対する質問(複数回答)では、「よりコミュニケーションが深まる」(67%)、「より愛が深まる」(62・9%)、「より幸せが得られる」(49・5%)と女性は考えている。つまり、女性にとっても性生活の充実は欠かせない。「女性は、男性にもっと自分の希望をいうべきです。ただ、性行為中にあまりいうと、男性の自尊心を傷つけ、ED(勃起障害)にもつながりかねません。性行為後に、やんわりといってみてください」男女共に満足の性行為は、より幸福感が得られるなど生活の質の向上につながる。だが、世界の「1年間のセックス頻度」(2005年グローバルSEXサーベイ)の調査では、日本は45回で最下位(世界平均103回)。無理に行おうとすれば、男女共にストレスになりかねない。が、年明けの今、パートナーとの性生活を一度見直してみてはいかがだろうか。

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