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腎炎・ネフローゼ症候群

糸球体に火事(炎症)起きる病気を「腎炎」といいます。その中でも、たんぱく尿が多く、血管内のたんぱく質が失われてしまう状態を「ネフローゼ症候群」と呼んでいます。ネフローゼ症候群は浮腫、急性腎不全、心不全、血管内凝固、血栓症、感染症、ショックなどの危険が上昇します。

溶連菌感染後糸球体腎炎

急性糸球体腎炎は、ほとんどの場合、細菌の一種であるレンサ球菌による咽喉(のど)または皮膚の感染症の合併症として発生します。レンサ球菌の感染後に発生する急性糸球体腎炎(溶連菌感染後糸球体腎炎)は、典型的には2~10歳の小児において感染症からの回復後に発症します。溶連菌感染後急性糸球体腎炎は、多くの場合(特に小児では)完全に治癒しますが、小児の約0.1%と成人の25%は慢性腎不全へと移行します。
溶連菌感染後糸球体腎炎

メサンギウム増殖性糸球体腎炎(IgA腎症)

多くの場合、血尿やたんぱく尿が持続し、数年間の緩慢な経過をたどります。初期には高血圧や腎機能の低下を認めませんが、病変の強い場合は、進行性に腎障害が進行し、腎不全に陥ります。IgA腎症は日本人に多く、原発性糸球体腎炎の約40%を占めています。IgA腎症は、咽頭などに細菌やウイルス感染が生じたあとにつくられたIgA(免疫グロブリンA)が、何らかの原因で糸球体に付着して炎症を起こします。症状としては、目に見えない程度の血尿とたんぱく尿が特徴です。症状が進行するとネフローゼ症候群の症状がみられることもあります。IgA腎症の予後は重症度によって異なり、10~20年の経過で腎機能が低下する方もみられます。
メサンギウム増殖性糸球体腎炎

微小変化型ネフローゼ症候群

顕微鏡で正常もしくは軽微なメサンギウムの変化を伴うネフローゼ症候群です。10歳以下の子どものネフローゼ症候群のうち約90%を占めますが、大人でも起こることがあり、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)に関連するものや、傍腫瘍症候群、特にホジキン病に伴って起こることがあります。ステロイド治療が奏効する場合が多いですが、再発が多い腎炎として知られています。
微小変化型ネフローゼ症候群

膜性腎症

大量のたんぱく尿で発症し、ネフローゼ症候群をきたすことが多い腎炎です。たんぱく尿の出現や回復を繰り返しながら、長い経過をたどることが多く、腎不全への移行は一般には多くはありません。ステロイドの反応性は緩徐です。成人のネフローゼ症候群の原因として最も多く、悪性腫瘍により、このタイプの腎炎が合併することがあります。
膜性腎症

膜性増殖性糸球体腎炎

しばしば、ネフローゼ症候群をきたします。近年膜性増殖性糸球体腎炎と診断される腎炎は減少傾向ですが、ステロイドなどの反応は良好でなく、一般に、進行性の経過をたどり、腎不全に移行することが多いです。
膜性増殖性糸球体腎炎

半月体形成性糸球体腎炎(ANCA関連血管炎)

臨床症状として急速進行性糸球体腎炎を呈することが多く、急速に腎機能が低下することが多い腎炎です。早期から積極的な「ステロイド・免疫抑制薬」の治療が必要で血漿交換なども併用されます。抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody; ANCA)が陽性であることが多く、ANCA関連血管炎と呼ばれています。
半月体形成性糸球体腎炎

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佐倉病院 腎臓内科

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