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腎生検

蛋白尿や血尿を認めた場合や腎機能障害が認められた場合、腎臓の組織検査が必要なことがあります。尿検査や血液検査でどの程度腎臓が悪いのかを知ることができますが、どんな腎臓病かを知ることができません。そこで、「腎生検」という組織検査が必要になります。腎生検は経皮的に腎臓を穿刺し、組織の一部を採取する検査で入院が必要になります。

固有腎生検の流れ

  1. 検査前の食事は止めさせていただきます。飲水は構いません。
  2. 検査は処置室で行ないます。検査前には1度尿を済ませてください。
  3. 処置室のベッドにあお向けに寝ていただいたら、血管確保のため点滴を留置します。
  4. 腎臓は上腹部の背中側にあるため、検査は腹臥位(腹這い)で行います。このとき腎臓がお腹側に押されないように、お腹に枕をあてがいます。
固有腎生検の流れ
  1. 体位が確保できたら、超音波で腎臓を確認します。腎臓は呼吸で上下しますので、息を吸ったり、止めたり、吐いたり、指示にご協力いただきます。
固有腎生検の流れ
  1. 腎臓の位置が確認できたら、皮膚の消毒し、清潔野を確保し、検査に必要な物品を用意します。(背中側でガサゴソしている場合はこれらを準備しています。)
  2. 再度腎臓の位置を確認したら、穿刺部位に局所麻酔を行ないます。
  3. 局所麻酔を十分に終えたら、超音波で腎臓を確認しながら特殊な針を進めていき、針が腎臓の直上に達したところで、数十秒息を止めていただき、その間に腎臓の組織を採取します。この操作を2-3回行ないます。
  4. 採取される腎臓の組織は鉛筆の芯程度の太さで、長さは1-2cm程度です。
  5. 検査後は翌朝までベッドで臥床安静になります。
固有腎生検の流れ

合併症

血腫(血のかたまり)や目に見える血尿がでることがあります。
この血腫の合併症を最小限に防ぐために検査後の安静をとっていただいております。血腫は通常安静にて軽快いたしますが、血腫が大きいと強い痛みを感じたり、稀ですが、輸血や外科的処置が必要になることもあります。
血尿の合併症も通常は安静にて軽快しますが、補液の継続や止血剤の投与や、尿道カテーテルを留置する場合もあります。稀ではありますが、血尿の原因が腎臓の動脈と静脈がつながってしまう「腎動静脈廔」である場合は、経カテーテル的な処置や外科的処置が必要になる場合があります。また、他臓器への損傷、細菌感染症を引き起こす可能性もあります。
日本腎臓学会の調査では軽い出血の合併症が100人に2人、輸血や外科的な処置が必要になる人は1,000人に2人程度です。不幸にして亡くなられたかたが2名おられるようですが、当院では輸血を必要としたかたは数名おられますが、過去、外科的処置が必要になったかたは1名のみで、死亡例は発生しておりません。

開放腎生検

超音波を用いた経皮的な腎生検とは異なり、手術室で全身麻酔下にて、皮膚を切開して行なう開放腎生検という方法もあります。現在の腎生検の手法よりも安全ということは言えませんが、検査時、検査後の安静が確保できない場合はこのような方法で行なう場合もあります。

お問い合わせ先

東邦大学医療センター
佐倉病院 腎臓内科

〒285-8741
千葉県佐倉市下志津564-1
TEL:043-462-8811(代表)