神経内科

認知症(慢性疾患)

アルツハイマー病のMRIでの海馬萎縮(矢印)
アルツハイマー病のMRIでの海馬萎縮(矢印)

概括

高齢化社会を迎え、認知症は社会的問題の一つと言われます。2009年3月時点での要支援介護実受給者は452万人で、このうち半数近くが認知症を有していると考えられます。その頻度は高齢ほど高く、85歳以上の50%に相当します。認知症は、症状名の一つであり、原因疾患として、アルツハイマー病、レヴィー小体型認知症(DLBと略します)、多発性脳梗塞などが多くみられます(麻痺の原因として、脳梗塞が明らかとなるのに似ています)。前2者は神経変性疾患であり、後者は脳血管障害であるため、両者の合併も少なくありません。

症状

認知症は、日常生活に何らかの障害があることと、簡易検査であるミニ・メンタルテスト(欧米と本邦とで広く行われています)/長谷川式簡易認知症スケール(主に本邦で行われています)、やや複雑な検査であるADAScog(エイダス)/WAIS3(ウェイス)等の認知症スケール(心理検査)での得点が低いことで判定されます(ミニ・メンタルテストで24点以下、長谷川式簡易認知症スケールで21点以下の場合、認知症の疑いがあります)。ただし、前頭側頭型認知症などの初期に、行動異常などが前景に立ち、心理検査で低下がみられない場合があるので、注意が必要です。
アルツハイマー病の原因はいまだ明かでありませんが、家族性/若年発症例ではアポリポ蛋白E遺伝子、プレセニリン遺伝子などの異常が注目されています。病理学的にアルツハイマー神経原線維変化、老人斑などが特徴的にみられ、老人斑の構成成分としてアミロイド蛋白がみられます。病変/脳萎縮は主に側頭葉海馬、頭頂葉にみられます。頭部MRIでは進行期に側頭葉、頭頂葉主体に脳萎縮、脳室拡大がみられ、脳血流SPECTでは同部の血流低下がみられます。アルツハイマー病の典型例では、ミニ・メンタルテストの得点が0点であっても、歩行障害、過活動膀胱(機能性尿失禁を除く)がほとんど目立ちません。後者が目立つ場合、後述の多発性脳梗塞が重畳していることが少なくありません。
レヴィー小体型認知症(DLB)は、アルツハイマー病に次いで多く、パーキンソン病の類縁疾患と考えられています。このため、認知症、パーキンソン症候群(歩行障害)、過活動膀胱が同程度に高度にみられます。アルツハイマー病と異なり、レヴィー小体型認知症では、起立性低血圧が高度にみられることがあります(臥位で血圧が160/90 mmHgのものが、立位で70/50 mmHgに低下して失神してしまう、など)。病理学的にレビー小体が基底核、大脳皮質に特徴的にみられ、レビー小体の構成成分としてアルファ・シニュクレイン蛋白がみられます。
多発性脳梗塞/多発性小窩状態は、頭部MRIでの、白質を中心とした多発異常信号域が特徴的にみられます。多発性脳梗塞では、夜間頻尿が初発症状となることが少なくなく、その後、パーキンソン症候群(歩行障害)、軽度の認知症、尿失禁がみられます。多発性脳梗塞と鑑別を要する病気として、正常圧水頭症でも歩行障害、認知症、尿失禁が3徴としてよく知られています。
その他、やや稀な認知症の原因疾患として、進行性核上性麻痺、前頭側頭型認知症などがあります。認知症の確定に至らない、ごく軽度の症状がある場合、軽度認知障害として、経過を観察する場合があります。

検査

認知症状の有無と程度を調べるために、簡易検査であるミニ・メンタルテスト/長谷川式簡易認知症スケール、やや複雑な検査であるADAScog(エイダス)/WAIS3(ウェイス)等の認知症スケール(心理検査)をまず行います。
認知症がみられる場合、その原因を調べるために、MRIでは脳萎縮の部位と広がりを調べます。脳血流SPECT(スペクト)では、脳萎縮に対応した脳血流の低下部位を定量的に調べます。東邦大学佐倉病院では、髄液中のアミロイド蛋白、アルファ・シニュクレイン蛋白を測定し、アルツハイマー病、レヴィー小体型認知症(DLB)の診断に役立てる試みを行っています。(ただし検査は大変日数を要するものであるため、入院中に結果をお返しすることができません。) 東邦大学佐倉病院では、2010年夏から、3T(テスラ、磁場の強さを表します)MRI(エムアールアイ)が開始されます。認知症の原因となる、神経変性疾患の、細かい検査を予定しています。パーキンソン症候群等の歩行障害のある方に対してビデオ歩行解析(モーションキャプチャー)/評価表評価を行い、過活動膀胱のある方に対して排尿機能検査(ウロラボ)を行い、誤嚥に対して嚥下機能検査を行い、治療効果の判定を行います。多発性脳梗塞の方は、動脈硬化の危険因子である、糖尿病、高脂血症などを血液検査で調べます。頚動脈超音波検査、CAVI(キャビ、心臓踵部血管指数)で動脈硬化度を判定します。

治療

認知症

アルツハイマー病の認知症、意欲低下に対して、中枢性コリン作動薬(抗コリンエステラーゼ薬)であるドネペジルなどを用います。ドネペジルは、レヴィー小体型認知症(DLB)の認知症に対しても有効です。歩行障害に対して抗パーキンソン病薬を、過活動膀胱に対して抗コリン薬を投与します。歩行障害に対してリハビリテーションを行います。多発性脳梗塞の方では、抗血小板薬(アスピリンなど)を進行予防のため投与します。せんもう・不穏、不眠・いらいら、うつ症状が目立つ方の場合は、向精神薬、安定剤、抗うつ薬などを投与します。

ものわすれ外来

佐倉病院神経内科では、「ものわすれ外来」を行っております。診療時間、新患手続きについては、こちらをご覧ください。

神経内科「ものわすれ外来」の御案内

さくらの会

神経内科「さくらの会」(高次脳機能障害の患者様を支えるご家族の会)の開催日が、 毎月1回に増加致しました。詳しくはこちらをご覧下さい。

神経内科「さくらの会」 pdf

認知症疾患医療センター

認知症疾患医療センターとは、認知症患者やその家族が住みなれた地域で安心して生活するための支援のひとつとして、都道府県や政令指定都市が指定するもので、身体的検査、画像診断、神経心理学的検査等の総合的評価が可能な認知症に関する専門医療機関に設置しています。
東邦大学医療センター佐倉病院は、2013年7月、千葉県認知症疾患医療センターに指定されました。

認知症疾患医療センター

メディア掲載

2012年10月21日の茨城新聞、2012年10月15日の十勝毎日新聞、2012年11月2日の中國新聞、2012年11月6日の苫小牧日報、2012年12月4日の琉球新報

2012年10月21日の茨城新聞、2012年10月15日の十勝毎日新聞、2012年11月2日の中國新聞、2012年11月6日の苫小牧日報、2012年12月4日の琉球新報に佐倉病院神経内科の榊原隆次准教授が掲載されました。
認知症の前段階ともいわれる軽度認知障害。
「1年度には約10%の人が認知症に進行するといわれます。専門医を受診し、心理テストや画像検査を受けてください」と榊原先生はコメントしています。
軽度認知障害の治療では、初めから薬を用いるわけではないとのこと。
榊原先生は「まず自分を刺激してください」とアドバイスし、人と交わること、人と話すことが脳を活性化させるし、デイケアやデイサービスを活用することもよいとのこと。
アルツハイマー病には現在、4種類の薬が保険適用されています。
認知症を根本から治す薬ではないが、病状の改善が見込まれ、進行を緩やかにするといわれています。
早期ほど効果が期待できるとされ、軽度認知障害にも用いられています。
榊原先生は「高血糖や脂質異常症は脳血管障害ばかりでなく、最近ではアルツハイマー病の危険因子ともいわれます。生活習慣病への関心は認知症を予防し、軽度認知障害を進行させないためにも大切です」とコメントしています。

2011年1月号の暮らしと健康

2011年1月号の暮らしと健康に、佐倉病院神経内科「ものわすれ外来」による「軽度認知障害」が掲載されました。

第15回日本早期認知症学会

鎌ヶ谷総合病院神経内科湯浅先生を会長、佐倉病院内科学神経内科の榊原先生を副会長とする第15回日本早期認知症学会が2014年9月に開催されます。ホームページがアップされましたのでご覧下さい。

第15回日本早期認知症学会