神経内科

佐倉病院神経内科の年配患者さんに対する取り組み~転倒と誤嚥を中心に

人口の高齢化を受け、全国の医療施設は、年配患者さんにやさしい医療に取り組んでおります。80歳台の方の3人に1人が、なんらかの認知機能の問題を抱えておられるとされ、80歳台の方の3人に2人が、なんらかの歩行機能・膀胱機能の問題を抱えておられるとも言われます。これらの問題を有する方にやさしい医療への取り組みが、急務とされています。

神経内科の年配患者さんで、最も頻度が高い病気は、アルツハイマー病と多発性脳梗塞(かくれ脳梗塞とも申します)の合併です。アルツハイマー病は海馬の萎縮をきたす病気で、多発性脳梗塞は動脈硬化による病気です。前者は認知症を、後者は歩行障害/転倒/誤嚥をしばしばきたします。これらが同時に1つの病気で出るものとして、レヴィー小体型認知症があります(パーキンソン病が大脳に広がった病気です)。

当院当科の診療一般についてみますと、①救急疾患の診療(脳卒中の救急車患者さんが毎日入院されます)、②神経難病の診療(重症筋無力症、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群などを入院外来で診療致します)、③地域のニーズに応える診療(年配患者さんの歩行障害/転倒/誤嚥・排泄・認知症などの問題のご相談に応じています。このうち認知症についてみますと、昨今認知症への関心が高まり、新規患者さんが1年間に約400名と非常に多うございます。このため、さくらパス/認知症疾患医療センターの制度を用いて、大学病院の神経内科は医師会(かかりつけ)先生の相談役とさせて頂き、診断と治療方針を決定した後かかりつけ先生に戻り、経過を診て頂くことが一般的となってきました。

さらに、75歳-100歳で認知症を発症された方では、同時に、多発性脳梗塞による歩行障害/転倒/誤嚥が、程度の差はあれほぼ必発と言えます。後期高齢者の方の歩行障害/転倒/誤嚥のケアをどのように進めるかは、日本医師会/日本老年医学会/日本神経学会等で話し合われていますが、まだ十分に結論が出ていないようです。一般的な了解としては、誤嚥性肺炎/転倒のケアは、大学病院でなく、地域病院(長期療養型病床とも申します)で行うことが望ましい。さらに最近では、在宅の訪問診療医によるケアが望ましいとも語られております。

一般論とはなりますが、歩行障害がある後期高齢者の方やパーキンソン病などの神経難病では、終末期には咽頭麻痺が起き、延命のためには気管切開が必要となったり、胃瘻造設が必要となってくる場合があります。その場合は、喉がゴロゴロしたり微熱が出たりし、徐々に食が細くなっていくため、延命のためには胃瘻造設が必要になるということあるがどうするか、を何れかの段階で必ず話し合います。急変時になってからでは、処置までの期間や考える猶予もないため、各患者さんの病気の勢いや経過から、ある程度、しっかりされているうちに説明した方が、患者さん本人が一番希望する形を探れるものと思います。まだ、食事ができるときに食べられなくなることを話すのは辛いといえますが、早め早めに相談をし、その選択肢について良く考え、納得しながら進めて行くのが良いと存じます。

認知症につきましては、[認知症疾患医療センター]の項目をご覧ください。

認知症疾患医療センター

(文責 榊原隆次)