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対象疾患

整形外科一般の外傷などの治療のほか、特に下記疾患に対しては研究を進めた治療の検討を行っています。

膝関節疾患

膝関節疾患に対する専門的診断と、必要に応じて内視鏡(関節鏡)を用いた手術、骨切り術、人工関節置換術などの手術を行っています。代表的な膝関節疾患について以下にご説明いたします。

【膝関節を構成する組織】
骨、軟骨:膝関節は、大腿骨(太腿の骨)、脛骨(すねの骨)、膝蓋骨(お皿の骨)の3つの骨により構成され、それぞれが関節面を形成します。関節の表面は、軟骨という骨よりも少し柔らかく表面の滑らかな組織で覆われています。

半月板:大腿骨と脛骨の間には半月板という組織が、膝の内側と外側にそれぞれひとつずつあります。半月板は、体重をかけたときの負荷を吸収するクッションのような働きをしています。

靭帯:膝関節を安定化させるために、前十字靭帯、後十字靭帯、内側側副靭帯、外側側副靭帯という4つの靭帯が働いています。

筋肉:太ももの前側にある膝を伸ばす筋肉(大腿四頭筋)、太ももの後ろ側にある膝を曲げる筋肉(ハムストリング筋群)などが共同して働いて膝を動かします。

こうした膝を構成する組織がけが(外傷)や年齢的な変化(変性)により損傷されると、膝の痛みや違和感、腫れなどの症状の原因となります。

半月板損傷

前述の半月板という組織が スポーツなどによる外傷や、加齢に伴う変性により断裂することによって起こります。症状としては、歩行時や運動時の痛み、違和感(引っかかり感)、腫れ、 膝関節の運動制限(膝が曲がりにくい、伸びにくい)などの症状があります。断裂した半月板が正常でない位置にはさまっている場合や症状が強く継続する場合などには、関節鏡を用いた手術が必要となります。

前十字靭帯損傷

スポーツ外傷や交通事故などにより、前十字靭帯が損傷されると膝の不安定感(膝がずれるような感じ)が出現します。この靭帯はいったん損傷されると自然治癒しません。若い方がこのけがを放置すると、数年後に半月板や骨軟骨の損傷を引き起こして膝の痛みが出現する場合があり、特にスポーツ活動や膝に負担のかかる仕事をされている方では高率に起こります。したがって、このような方に対しては、手術(靭帯再建術)を行うことが推奨されます。

変形性膝関節症

加齢により膝関節内の骨、軟骨、半月板の変性が起こり、膝関節の痛みや腫れ、変形、動きの制限などを生ずる疾患です。最近東京大学で行われた研究によると、日本国内には約2,500万人もの変形性膝関節症患者がおり、そのうち痛みなどの症状を有する方は約1,000万人と考えられています。治療としては、理学療法(筋力訓練など)、薬物療法(消炎鎮痛剤、ヒアルロン酸注射など)、装具療法(膝サポーター、足底板など) をまず行いますが、症状の強い方に対しては手術療法を行います。手術には、関節鏡視下手術、骨切り術、人工関節置換術などがあり、膝の状態を詳しく検査した上で最も良い方法を選択します。

その他の膝関節疾患

骨端症(成長軟骨の近くに生ずる成長期特有の疾患)、離断性骨軟骨炎、反復性膝蓋骨脱臼症、骨壊死症、関節リウマチ、化膿性関節炎、偽痛風、膝関節内腫瘍、膝周囲の腱炎など多くの疾患があり、いずれも専門医による診断と治療を要します。

成人股関節疾患

日本人に多いのは、生まれつき太ももの付け根の部分(大腿骨頭)を覆う骨盤の部分(臼蓋)の作りが悪いため(臼蓋形成不全)に生じる変形性股関節症です。子供の頃は無症状で運動に支障がなくても、大人になってからももの付け根やお尻のあたりに痛みを感じるようになり、進行すると運動時の痛みや歩行に支障が出るようになります。この他、大量のステロイド投与やアルコール多飲によって大腿骨頭が壊死をおこす大腿骨頭壊死症、リウマチなどの病気があります。治療としては、外転運動、もも上げなどの筋力訓練、消炎鎮痛剤などの薬物療法を行いますが、このような治療を行っても症状が改善せず日常生活に支障をきたしている場合には手術治療を考慮します。当科では50歳以上の方に対して(場合によっては50歳以下の方にも)最小侵襲の人工関節置換術を行っており、一日も早く痛みのない生活に復帰できるよう治療しています。

関節リウマチ

リウマチは私たちの体を細菌やウイルスから守る免疫システムの異常により、関節に炎症が起きる病気です。進行すれば関節の変形や破壊をきたし、日常生活に大きな支障がでます。しかしながら最近は、リウマチの炎症を引き起こすもととなる炎症性サイトカインとよばれるTNF(ティーエヌエフ)やIL-6(インターロイキン6)の作用を抑えたり、免疫異常の際にT細胞が異常な活性化を起こすのを抑える生物学的製剤や、Jak(ジャック)という炎症に関わる特定の分子の働きを抑える分子標的薬が使えるようになり、早期に炎症を抑え込んで関節に傷をつけない状態を維持することが可能となってきました。当科では患者さんの症状、病態に応じて最適な薬剤を選択し、治療を行っています。治療中は定期的に血液、X線、関節エコーなどの検査を行い、診察所見と併せて炎症の程度や関節破壊が進んでいないかをチェックします。持病に肺の病気がある患者さんや感染症のリスクが高い患者さんに対しては呼吸器内科との連携によって安全に治療が開始、維持できる体制が整っています。また、既に変形や破壊が進んでしまった関節に対しては薬物療法だけでは治療が困難なため、関節機能の回復を目的とした手術も考慮します。患者さんのライフスタイル、関節破壊の程度に応じて人工関節置換術や関節を温存した関節形成術(骨切り術)、関節固定術などを行っており、薬物治療とあわせてトータルでリウマチ患者さんをサポートしています。

脊椎疾患

脊椎(せぼね)は円柱状の骨(椎体)がレンガのように積み重なってできています。脊椎は体をささえる柱としての役割のほかに、脊柱管という骨のトンネルの様な構造をもっていて、そのなかに脊髄、または馬尾神経という大切な神経が通っています。その神経に圧迫などの刺激が加わると、手や足の痛み、しびれ、場合によっては運動、感覚の麻痺をきたします。下記に代表的な疾患を説明します。

腰椎椎間板ヘルニア

椎間板の外周は線維輪といわれる硬い軟骨成分で、バームクーヘンのような年輪状の構造をしています。椎間板の中央部は髄核といわれるゼリーのような軟らかい軟骨成分です。何らかの原因によって線維輪に亀裂が生じると、中心部分の髄核が飛び出して膨隆します。脊柱管内の神経に刺激が加わると腰痛や下肢痛を生じます。

椎間板ヘルニアによる症状は自然に軽快することが多いですが、場合によっては1年以上の経過になることがあります。また、最終的に軽い痛みやしびれは残存することが少なくありません。

薬物治療やリハビリテーション、ブロック治療などでおさまらない場合は、手術治療が必要となります。状態によって内視鏡を使用して2~3cmの小さい傷で行う手術も行うことがあります。

腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症

脊椎を支えている椎間板、靭帯などの膨隆、肥厚などにより脊柱管が狭窄し、その中を通っている神経が圧迫を受けると腰痛、下肢痛を生じます。すべり症とは脊椎の並びにずれが出ていることをいいますが、それにより脊柱管が狭窄し、同様の症状を呈することがあります。

典型的な症状は歩くと強くなる下肢の痛みやしびれで、前かがみにして少し休むと痛みが軽くなる(間欠性跛行といいます)のが特徴です。

薬物治療やリハビリテーション、ブロック治療などでおさまらない場合は、手術治療が必要となります。状態に応じて、骨を削り脊柱管を広げる手術(椎弓切除術)やスクリューなどの金具で脊椎を固定する手術(脊椎固定術)を行います。

頸椎症、頚髄症

頸椎部(くび)の中には脊髄という神経が入っています。脊髄は脳と手足を連絡する神経がつまっています。頚椎に加齢性の変形や、椎間板の突出が生じて脊髄に圧迫を加えると手足のしびれや運動、感覚の麻痺、歩行障害、排尿障害などの症状を引き起こすことがあります。

安静、薬物治療やリハビリテーションを行っても症状が進行する場合は手術を行う場合があります。手術は若干危険性が高いこともあり、症状の軽い方には行わないことが多いですが、脊髄の障害が進行性で麻痺が重症化する心配があると判断される場合手術による治療が必要となります。

お問い合わせ先

東邦大学医療センター
佐倉病院 整形外科

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