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対象疾患・診療実績

I 当科で診療している主な疾患 1)肺癌・肺悪性腫瘍

呼吸器外科、病理、放射線科と協力し、原発性肺癌のほか、胸膜中皮腫、縦隔腫瘍の診断、治療も行っています。通常の気管支内視鏡はもちろん、超音波内視鏡、局所麻酔での胸腔鏡、CTガイド下肺生検なども、行っています。

手術適応や放射線治療適応のある症例でも、検査は原則として内科で行いますので、肺癌を疑って紹介いただく場合は、呼吸器内科宛てにお願いいたします。

治療方針は、毎日の呼吸器内科カンファレンス、毎週の内科・外科・病理合同カンファレンスにて、複数の医師で相談して決定しています。

(外科手術)
多くの場合、内科で、検査を行った上で、外科と協議して、適応を決定しています。2019年4月より、長島医師・平沼医師(非常勤)に加えて、佐野医師が赴任され、手術件数は急速に増加しています。詳細は、外科のホームページを参照ください。

(放射線療法)
放射線単独の治療には、早期癌に対する根治目的の照射(定位照射含む)、脳転移に対する全脳照射および定位照射、骨転移などに対する症状緩和のための照射があります。いずれも、当科や外科からの依頼に基づき、放射線科でおこなっていますが、入院を要する場合は、当科に入院した上で、治療は放射線科で実施いたします。詳細は放射線科ホームページを参照ください。

(化学放射線療法)
局所進行肺癌に対して、放射線治療に加えて抗癌剤を同時に加える事で根治を目指すものです。その後、さらに、免疫チェックポイント阻害剤を投与する場合もあります。原則として、入院で開始し、経過をみて、外来治療へ移行します。

【肺癌に対する薬物治療(殺細胞性抗癌剤、分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害剤)】

肺癌に対する薬物治療は、近年、急速に進歩してきましたが、効果はまだ十分とは言えず、複数の薬剤(併用する場合もあります。)の使い分け、使う順番なども重要になってきています。また、副作用対策も極めて重要です。

(殺細胞性抗癌剤)
分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害剤が注目を集めていますが、従来からのいわゆる「抗癌剤」も肺癌治療において、依然として、重要な役割を担っています。2018年の1年間で123名の患者さんが、当科でこの治療を受けています。(2019年は集計中)2019年からは、後述のように、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて使用する事も増えてきました。

(分子標的治療)
肺癌の中でも、腺癌では、遺伝子変異検査を的確に実施して、分子標的治療薬の適応があるかどうかを見極める事が極めて重要です。当科では、病理や他診療科(放射線科、消化器内科、外科など)と連携して、遺伝子変異検査を積極的に実施しています。EGFR、ALK、BRAF、ROS-1の各遺伝子変異が陽性で、それらに対応する分子標的治療薬を投与中の患者さんは、2019年12月28日現在で、96名、10名、2名、1名おられます。間質性肺炎(肺線維症)を合併している場合は、原則禁忌ですが、他の治療薬と異なり、癌が非常に進行していても、また、全身状態が不良であっても、投与する意義がある薬剤です。※腺癌以外の肺癌では、2020年1月現在、分子標的治療薬の適応はありません。

(免疫チェックポイント阻害剤)
免役チェックポイント阻害剤は、当初は、非小細胞肺癌に対する「2番手(セカンドラインといいます。)」の薬として、ついで、「PD-L1高発現の場合の初回治療」が導入され、さらに、「化学放射線治療後の維持療法」「殺細胞性抗癌剤と組み合わせての初回治療」「小細胞癌」にも適応が広がってきています。2018年の1年間で64名の患者さんが、当科で、この治療をうけています。(2019年は集計中)重要な事は、適切な患者さんの選択と、副作用に対するマネージメントです。呼吸器疾患以外、たとえば、消化器、循環器、神経、内分泌などの特殊な副作用を生じる事もあることから、副作用対策の体制構築が重要とされていますが、当院では、以前より、内科の各分野(消化器、循環器、糖尿病・内分泌・代謝、神経、血液、腎臓)や救急診療との連携が非常に良好であるため、呼吸器以外の副作用が生じた場合にも、スムースに対応できます。

【肺癌に対する内視鏡検査・治療(内科)】

気管支鏡は、超音波気管支鏡、ナビゲーションシステムを含む最新のものを導入しており、年間250件程度実施しております。気道狭窄に対する、ステント挿入、アルゴンプラズマによる腫瘍の焼却治療なども必要時に実施しています。硬性気管支鏡および光線力学的治療は、2020年1月現在、実施しておりません。
癌性胸膜炎を含む胸膜疾患に対して、局所麻酔による、胸腔鏡下胸膜生検をおこなっています。

【緩和医療・終末期医療】

緩和医療=終末期医療、ではなく、手術や抗癌剤などの「積極的医療」と必要により、併用して早期より実施していくべきものです。当院では、医師・看護師・薬剤師・臨床心理士からなる緩和ケアーチームで対応していますが、患者数の急激な増加に比べると、十分な体制とはいえません。また、緩和医療専門の病床は有しておらず、緩和医療のみを目的とした紹介は呼吸器内科としては、受け入れておりません。

当院、当科で、診断、治療を行ってきた患者さんが、病状により、緩和ケアのみを行う方針となった場合、当院での入院対応は困難である事から、患者さんやご家族とも相談し、ケースバイケースで、在宅緩和医療、他病院の緩和ケア外来・入院に紹介しております。そうした分野にも、当科として、より積極的に取り組んでいきたい考えは有しておりますが、現時点では、実現できておりません。

I 当科で診療している主な疾患 2)間質性肺炎

【急性】

間質性肺炎の中でも、急速に進行するケースは、診断も治療も難しく、それだけに、当科が優先して対応しなければならない疾患です。遠方からの搬送も含め、多くの患者さんを診療しております。後遺症なく回復さえる方もいらっしゃいますが、改善しない方も少なくないのが現実です。

間質性肺炎の原因として、感染症によるもの、薬剤によるもの、その他の物質によるアレルギーによるもの、膠原病に合併するもの、などがあり、心原性肺水腫などの循環器疾患との鑑別も含めて、できる限り、精度の高い診断を行うこと、DICなどの合併症対策、治療で用いるステロイドへの副作用対策なども含めて、丁寧な対応を行うこと、この2点を特に意識して、少しでも良い治療ができるように日々、努力しております。

【慢性・(特発性肺線維症など)】

慢性の間質性肺炎=肺線維症は、その種類により、経過、治療方針が大きく異なります。なかでも、特発性肺線維症(IPF)は、難治性であり、有効な治療はありませんでした。しかし、最近、発売された抗線維化作用を持つ薬(ピルフェニドン)や、抗酸化作用を持つ吸入薬(Nアセチルシステイン)が症例によっては、進行を抑制しうることがわかってきました。2019年12月25日現在までに、当科では、約120名の方に、これらの薬剤の治療を行ってきました。全員に効果があるわけではなく、副作用、費用の問題もあります。論文やガイドラインの記載に加えて、当科としてのデータや経験も踏まえて、適すると思われる方に、投与をおこなっております。

I 当科で診療している主な疾患 3)急性呼吸不全

酸素吸入を必要とする状態を呼吸不全といいます。急激にそのような状態になった場合を急性呼吸不全といい、呼吸器疾患では、重症肺炎、気管支喘息大発作、間質性肺炎などが原因になります。特に重症で、人工呼吸療法の必要性が考えられる場合は、空床状況にもよりますが、集中治療室(ICU)での治療を行っています。他院からの搬送も多数受け入れています。敗血症に伴う急性呼吸不全(急性肺障害)などに対してはエンドトキシン吸着療法などを行っています。

I 当科で診療している主な疾患 4)難治性気管支喘息

(一般の気管支喘息については、後述)

1990年後半より、気管支喘息に対するステロイド吸入療法が普及し、気管支喘息の多くは、容易にコントロールされるようになりました。しかし、原因の回避、高容量のステロイド吸入薬の継続使用など、十分な対応にもかかわらず、発作が頻発、あるいは、肺機能が回復しない、難治性の気管支喘息の患者さんが、おられます。こうした患者さんのために、生物製剤と呼ばれる新しい薬が、登場してきています。(2019年12月現在、ゾレア、ヌーカラ、ファセンラ、デュピクセントの4剤が使用可能です。)高額であること、全員に効果があるわけではないことなどの問題点もありますが、当科では、十分な検討と説明の上で、こうした薬剤治療にも積極的に取り組んでいます。2019年12月25日現在で、25名の方に投与を行っています。

I 当科で診療している主な疾患 5)市中肺炎

肺炎は、一般の方が罹患する「市中肺炎」、手術後などの入院患者に発症する「院内肺炎」に大きくわけられます。臨床検査部と連携し、院内にて細菌検査、抗原・抗体検査などで病原体の早期同定につとめながら、過不足のない抗菌剤治療を心がけています。外来での治療が可能な軽症例から、上記の「急性呼吸不全」となる重症例まで、重症度には差があります。
呼吸器疾患・心疾患などの基礎疾患のある方は市中肺炎の予防としての肺炎球菌ワクチンを接種する事をお勧めしています。

I 当科で診療している主な疾患 6)非結核性抗酸菌症

名前のとおり、結核に類似しているが結核とは異なる菌による慢性の呼吸器感染症です。気管支拡張症に合併する場合が多くみられます。結核と違い、人に伝染する事はなく、症状も軽い場合も多いですが、薬は結核より効きづらく、複数の薬を長期に服用することが必要になります。症状の重い場合、治療しても治らない場合、呼吸不全に至る場合もあります。そのため、年齢、症状、などを考慮した上で、経過観察、薬物治療、外科治療の方針を決定しております。経過観察のみの場合、病状が安定している場合は、非結核性抗酸菌症以外の気管支拡張症と同様、お近くの医療機関を紹介しております。

I 当科で診療している主な疾患 7)肺高血圧症

右心室から肺に向かう肺動脈の抵抗と圧が高まり、心拍出量の減少から、息切れ、呼吸苦などを引き起こす疾患です。各種の呼吸器疾患に合併する場合、肺動脈内の血栓形成による場合、膠原病による場合、原因不明の場合などがありますが、最近、あいついで、新しい治療薬が登場し、注目されている疾患です。症例によっては、当院の循環器センター、あるいは、県内のより豊富な経験を持つ施設へ紹介させていただく場合もあります。

I 当科で診療している主な疾患 8)気胸

若年男性に多い自然気胸、慢性閉塞性肺疾患や肺線維症に合併する続発性気胸があります。特に自然気胸の場合は、外科と協力して、積極的に手術治療をおすすめしています。外科治療の場合、術後合併症がなければ手術後2~3日の早期退院が可能です。手術希望されない方や合併症によっては、内科で治療いたします。難治性の気胸に対しては、薬剤や血液を使った癒着術、気管支充填術などを試みる場合もあります。若年女性の気胸では、月経随伴性気胸や肺リンパ脈管筋腫症などの特殊なものもあり、胸部CTなどで、早期発見を心がけています。

I 当科で診療している主な疾患 9)慢性呼吸不全

慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺切除後、間質性肺炎などの結果として、慢性的に血液中の酸素濃度が低くなっている場合を慢性呼吸不全といいます。原因となる疾患の治療が第一ですが、それでも呼吸不全が改善しない場合には、在宅酸素療法などの導入が必要になります。

【在宅酸素療法】

原因になる疾患の治療を行いながら、呼吸不全に対して在宅で酸素療法を行っていきます。肺切除後や慢性閉塞性肺疾患では、酸素吸入により予後が改善する事が証明されており、単に苦しさを和らげるだけでなく、「酸素もくすり」という考えが必要です。確実に禁煙ができている事が必須条件です。喫煙をやめられない方には、導入できません。(火事での死亡例もあります。)

【慢性呼吸不全急性増悪と人工呼吸】

慢性呼吸不全の方が、肺炎、心不全、喘息発作などで、「急性増悪」を起こす場合があります。酸素や薬物治療で改善しない場合、不十分な場合は、「人工呼吸」が必要になる場合もあります。最近は、鼻マスクを用いた人工呼吸も普及して、当科でもよく使用しますが、重症度の高い場合、自力で痰がだせない場合などは、口からチューブを挿入(経口挿管)、あるいは、頸部を切開して気管に直接チューブを挿入(気管切開)
をしたうえでの人工呼吸が必要になります。救命のための医療ですが、もともと慢性呼吸不全状態にあった患者さんの場合は、人工呼吸器からの離脱が困難になる場合が少なくありません。その場合は、機械がついたまの状態が長引くことになり、本人、家族に大きな負担になります。そのような場合に備え、救命治療、延命治療に対する自らの考え、希望を「living will」として日ごろより考えておく事も必要です。私たちも多くの経験から得た医師としての考えもあります。安定しているときに、担当医と話し合っておくことをおすすめします。

I 当科で診療している主な疾患 10)各種の呼吸器難病

COPDと似ているが治療が大きく異なる「びまん性汎細気管支炎」、膠原病肺、サルコイドーシス、肺リンパ脈管筋腫症、各種先天異常、肺動静脈婁、真菌など特殊な病原体による肺感染症、様々な原因による急性肺障害、など、特殊な疾患であっても、常に最適・最新の治療ができるよう、日々、努力しております。

Ⅱ 他医療機関と連携して対応している疾患 1)気管支喘息

気管支喘息は、患者数の多い一般的な疾患ですが、時に他の疾患と区別が難しい場合もあり、正確な診断が必要です。診断が確定されたあとは、急性疾患としての発作時の治療に引き続いて、慢性疾患としての日常管理、発作の予防を行っていきます。タバコや、ハウスダスト等の各種アレルゲンなど、悪化の要因を取り除けるようサポートをした上で、ステロイド吸入(看護師および院外薬局の薬剤師が吸入指導をしています)を中心とした、慢性疾患としての治療を行っていきます。診断と治療方針決定後は、お近くの先生への紹介とさせていただきます。(難治性気管支喘息については、Ⅰ-4)を参照ください。)

Ⅱ 他医療機関と連携して対応している疾患 2)気管支拡張症

(非結核性抗酸菌症については、Ⅰ-6)を参照ください。

気管支の一部が拡張して痰が貯留し、慢性的な炎症を起こす疾患です。原因は多彩で、乳幼児期の肺炎などの後遺症による場合、各種の先天的な異常による場合、リウマチなどの自己免疫疾患に伴う場合など、様々ですが、いずれの場合も、正常の状態に戻すことはできません。程度は様々で、全く症状のない場合、時に血痰や喀血がみられる場合、慢性的に咳、痰がみられる場合などがあります。まれに手術の対象になる場合もありますが、経過観察か、内服で様子をみる場合が大半であり、病状が安定していれば、お近くの先生へ紹介とさせていただいております。

Ⅱ 他医療機関と連携して対応している疾患 3)慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫

身体診察、胸部HRCT,精密肺機能検査等を行い、心疾患との鑑別などにも注意し、正確な診断を心がけています。COPDの原因の大半が喫煙であることから、喫煙中の方には、まず、禁煙指導からはじめています。禁煙がどうしても困難な場合は、禁煙外来で、専属の看護師と医師がサポートいたします。診断と治療方針決定後は、お近くの先生への紹介とさせていただきます。(在宅酸素が必要な症例は慢性呼吸不全の項を参照)

Ⅱ 他医療機関と連携して対応している疾患 4)慢性気管支炎

慢性に咳、痰が続く場合で、喫煙に関連するもの、喘息に関連するもの、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)に合併するもの、気管支拡張などの気管支・肺の形態異常に伴うもの、にわけられます。禁煙、合併症に対する治療の他は、対症療法が基本であり、治療方針決定後は、お近くの先生への紹介とさせていただきます。(在宅酸素が必要な症例は慢性呼吸不全の項を参照)

Ⅱ 他医療機関と連携して対応している疾患 5)結核

結核は現在でも、重要な疾患であり、高齢者や糖尿病などの基礎疾患のある方はもちろん、健康な若年者での発症も決して珍しくはありません。重症化すれば生命にも関わりますが、早期に発見できれば、外来で比較的容易に治療できる場合もあります。咳の長引く場合(2週間を目安)は、レントゲン検査をするなどして、早期の発見に努めています。

「排菌」をしている場合は、法令の規定により隔離入院が必要になります。結核である事がわかっている患者様、特に排菌が明らかな患者様は、当科で受け入れる事はできません。当科受診後に結核である事がわかった患者様は、結核専門病床を有する他の医療機関に紹介しております。当院外来で治療が可能な場合もあります。

Ⅱ 他医療機関と連携して対応している疾患 6)結核後遺症や手術による拘束性換気障害

結核や癌のため肺を切除したり、胸膜が癒着するなどの原因で、肺活量が落ち、息切れなどの症状を起こす疾患です。側湾症などによる胸郭の変形が原因の場合もあります。COPDと間違えられている場合が少なくありませんが、治療方針や対処法は異なります。

心臓への負担から肺高血圧症にもなりやすいですが、早期の酸素療法や、夜間の鼻マスク式人工呼吸などの導入で、予後が改善する事が多く、正確な診断が必要です。(在宅酸素が必要な症例は慢性呼吸不全の項を参照)経過観察のみの場合は、お近くの先生へ紹介させていただいております。

Ⅱ 他医療機関と連携して対応している疾患 7)睡眠時無呼吸症候群

外来での簡易型検査や入院での精密検査により睡眠時無呼吸検査を施行しています。長期の治療が必要になる疾患です。当科では診断と初期治療方針の決定までを行い、以後は、お近くの医療機関へ紹介させていただいております。

Ⅲ 当科での対応が困難な疾患 1)いわゆる「かぜ」

かぜは、呼吸器の入り口である上気道の感染症であり、広い意味での「呼吸器疾患」になります。多くの呼吸器疾患は「風邪」症状で始まることから、軽視しすぎてもいけませんが、かぜの大半は、自然に、または最小限の投薬で治癒に向かうものですので、経過をみて判断していくことが重要です。まずは、お近くの医院におかかりになり、必要な場合に、ご紹介いただく事が、診療を円滑にすすめる上で重要と考えます。

Ⅲ 当科での対応が困難な疾患 2)禁煙の意思のない方(特に、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患)

喫煙は多くの呼吸器疾患の原因であり、すべての呼吸器疾患を増悪させます。特に気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患の患者さんにとって、禁煙は最も重要な治療です。

治療をして症状が改善することで、喫煙を継続・再開される方もいらっしゃいます。しかし、それでは、喫煙を継続するためのお手伝いを私どもが行うことになります。気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患の治療を当科で行う際には、禁煙することを約束していただいております。禁煙する意思のない場合は、診療をお断りさせていただきます。

Ⅲ 当科での対応が困難な疾患 3)介護関連肺炎、誤嚥性肺炎

脳血管障害のある方や高齢者に多い「誤嚥性肺炎」は、反復しやすく、長期療養・介護が必要になる場合が多く、最近は「介護関連肺炎」として、とらえられています。高齢化社会を背景に、非常に増加しており、社会的にも医学的にも非常に重要な疾患です。
しかし、「介護関連肺炎」には、呼吸器内科としての専門的検査、治療よりも、リハビリ、在宅療養、介護サービスを含めた長期的対応が必要です。当科のベッド数は限られており、長期の入院へは対応できません。そのため、当科に入院した場合、結果的に患者様やご家族にも、かえってご迷惑をおかけする事になります。そのため、介護関連肺炎のための入院、転院依頼は、全てお断りさせていただいております。救急搬送例につきましても、早期に、他院へ転院をお願いしております。重症例であっても同様です。
また、神経疾患や悪性腫瘍などの「原疾患(持病)」をお持ちの方が、その病気がある事と関連して、肺炎を併発してくる場合があります。そうした患者さんは、とても多いこと、また、原疾患に対する対応と不可分な事があることから、当科ではなく、原疾患でおかかりの診療科や病院に対応をお願いする事があります。

IV. アレルギー疾患について

アレルギーとは、本来、体を守るべき免疫システムが体に害をもたらす方向に働いてしまう状態です。花粉症、アトピー皮膚炎、アトピー型気管支喘息のように、アレルギー原因物質に免疫システムが過剰反応して起こる、狭い意味の「アレルギー疾患」と、免疫システムが自分自身に働いてしまう「自己免疫疾患(膠原病が代表的)」にわけられます。

当科には、アレルギー・膠原病専門医の熊野医師が所属している他、アレルギー学会専門医が複数おり、アレルギーに関する専門診療も可能ではありますが、医師数、患者数、また、他の医療機関の状況から、2020年1月現在、アレルギー疾患については、気管支喘息や、膠原病による間質性肺炎など、「呼吸器疾患」に含まれるものを主な対象としております。

V. 禁煙外来について

喫煙は、多くの呼吸器疾患の原因であり、ほとんどの呼吸器疾患の増悪因子です。喫煙は、自分だけでなく、まわりの人の気管支や肺にも障害を与えます。全ての呼吸器疾患患者は、禁煙をするべきと考えております。禁煙が自力や市販薬では難しい場合は、禁煙外来にて、医師と専属看護師がお手伝いをします。2006~2009年までに当院の禁煙外来を受診された方で禁煙外来通院3ヶ月間の禁煙成功率は66%です。禁煙をするという本人の強い意思であることはもちろんです。月曜日午後のみの対応で、混み合っているため、お近くの医療機関への受診をおすすめする場合もあります。

お問い合わせ先

東邦大学医療センター
佐倉病院 呼吸器内科

〒285-8741
千葉県佐倉市下志津564-1
TEL:043-462-8811(代表)