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大学院 保全生態学公開講義のお知らせ

 

全体テーマ「富士山における森林生態系の動態と将来の温暖化影響の解明を目指して」

会場と日時

・日時:2010年7月13日 13時から16時10分まで
・会場:東邦大学習志野キャンパス 理学部V号館 5210教室

演者

(財)電力中央研究所 環境科学研究所 梨本 真、竹内 亨、小林研究員

(1)富士山亜高山帯における森林動態

温暖化などの環境変動に対する森林の反応を予測する研究では「現在の環境と森林の関係」を知ることが大切であるが、現状では多くの不確実性があり、調査や解析が困難なことも多い。森林の反応を予測するために重要な森林動態のパラメータと規定要因について、富士山亜高山帯の雪崩跡地の動態を例に考えるとともに、温暖化の森林影響研究に期待することを紹介する。

(2)富士山亜高山帯の森林域におけるシカの影響

~気候変動予測の地域スケールへの適用を目指した取り組み~
日本の亜高山帯で深刻な被害が予想されているシカの採食影響(樹皮剥等)は、気候変動に伴う気象変化(積雪、雪崩、凍結の減少、気象の緩和等)によって、空間的、時間的に大きく変化する可能性がある。
本研究では、富士山亜高山帯の森林域をモデルとして、①シカ影響の要因や気象との関連性を解明し、②その関連性にもとづき、気候変動予測の結果も取り入れて、将来的な影響の可能性を示すことを目標としている。今回は、2009年度に得られたシカ影響のフィールド調査結果を中心に紹介する。
 

(3)富士山大沢右岸のカラマツの挙動

~現地調査と年輪の安定同位体比から見えてきたこと~
気候変化による森林・樹木の適地の変化について様々な知見が蓄積されてきているが、将来の森林の姿を予測するには、反応過程やその速度について議論する必要がある。本研究では、富士山における標高に対応した環境傾度を気候変化に当てはめ、カラマツを対象にその挙動の復元的な解析から気候変化に対する反応速度について検討したいと考えている。
今回は、2009年度の現地調査で得られた知見(調査概要、カラマツの分布やDBH等の調査結果、年輪の調査・分析結果)の紹介を中心に、今後の研究の方向性・可能性について、森林の挙動を議論するための種になるような話題(現地調査で新たに分かったこと、分かりそうなこと、調査地点のカラマツ林の高標高への移動に関する仮説)を紹介する。