噴火やハリケーン等の自然現象により、壊滅的な被害を受けた動物群集はいかなる回復過程を示すのか?この課題に取り組むことは、生態系の普遍的な原理の解明や壊滅的な破壊を受けた生態系を復元する手法の確立に寄与すると考えられます。西暦2000年に大規模な噴火があった伊豆諸島三宅島では、上述の課題を解決するため、様々な生物群における噴火後の回復過程が調べられています。しかし、噴火からの動物群集の回復過程を「地上系」と「土壌系」で比較した研究はまだ多くありません。卒業研究では、地上系の無脊椎動物群集の内、まだ研究が進んでいない大型の造網性クモであるジョロウグモ Nephila clavata 個体群の回復状況を詳細に調べました。修士課程では、地上系と土壌系の両側面に焦点をあて、無脊椎動物群集の回復状況を明らかにしたいと考えています。
柊雅実「三宅島2000年噴火が地上系及び土壌系無脊椎動物に与えた影響とその回復過程」
調査地:伊豆諸島三宅島
柊雅実
所属
東京蜘蛛談話会会員
日本蜘蛛学会会員
(財)中董奨学会2010-2011年度給与奨学生
略歴
私立獨協高等学校 卒業
私立東邦大学理学部生物学科 卒業
2011年度
- 武田広子「コウノトリ(Ciconia boyciana)の採食生態」
- 伊藤珠実「ナナフシモドキの食草選択について」
- 多田さと美「アゲハチョウ類の群集生態学」
- 平岩将良「花形質に基づく送粉ネットワークの予測」
- 柊雅実「三宅島2000年噴火が地上系及び土壌系無脊椎動物に与えた影響とその回復過程」
- 藤田薫「伊豆諸島とその周辺本土におけるヤマガラの集団構造」「キブシをめぐる生物間相互作用」
- 近藤めぐみ「千葉県北総地域における市民による自然観察を里山保全に向けた調査・研究へつなげる試み」
- 伊藤美信「死体に集まる昆虫群集の遷移」
- 上野真太郎「流速に対する淡水性カメ類の反応」
- 小沢尚子「エラブウミヘビ(Laticauda)属の色素細胞の比較」
- 関本真樹 「三宅島におけるオカダトカゲPlestiodon latiscutatusの現状」
- 千葉由美子「白亜紀最末期の恐竜の多様性 —サンディサイトの恐竜たち」
- 筒井優「里山の景観要因が及ぼすクモの多様性、個体数への影響」
- 中島悟「八丈島におけるニホントカゲの個体数の増加要因」
- 村上新「新島におけるシマヘビの色彩の遺伝様式」
- 栗山武夫「オカダトカゲの色彩パターンの進化」