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東邦大学理学部
生物分子科学科
永田研究室

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担当講義科目

 

春期

生化学I

生化学は、ほとんどすべての生物化学の基礎となる学問である。この講義ではタンパク質、核酸、脂質、糖質などの生体を特徴づける物質の性質を学ぶとともに、生体がエネルギーを獲得する過程、生体高分子の生合成などについて授業する。生化学はIとIIから成り、私の担当する生化学Iでは、主に細胞の主たる構成成分であるタンパク質の性状について講義する。タンパク質の性状を把握するためには、タンパク質を構成するアミノ酸についての基礎知識も必須であり、高校生物で修学する知識より一歩踏み込んだより実用性を絡めたアミノ酸レベルでのタンパク質の性状の把握を講義する。それによりアミノ酸配列を見ただけでタンパク質の性質を想定できるような当学科で遂行しているバイオインフォマティックスの知識的基盤を修得出来るようになると考える。またタンパク質各論として、酵素学を本講義で学ぶ。酵素学は、様々な生化学実験において重要な位置を占め、研究者の育成を第一に進める本学科では必須な分野といえる。本講義では、酵素反応機構、酵素反応速度論など実用的な知識を習得する。

遺伝子工学II

バイオテクノロジーは、広く用いられる技術であり、かつすべての研究者にとって必要不可欠な技術である。このバイオテクノロジーの基盤となる学問が、遺伝子工学であり、私の講義では、本講義履修前に習得している分子生物学および遺伝子工学Iなどの遺伝子に関する基礎知識を踏まえ、さらにその知識を実際に応用出来るに至るまで発展させる。私は、遺伝子工学は実験学と位置づけ、初歩的な遺伝子の調製・精製方法から遺伝子改変マウスの作成など最先端技術の実用例における原理を詳しく解説する。さらには、現在臨床の場で頻用されているDNAチップ解析や遺伝子変異の解析などの実用化されている技術の知識も習得する。それにより、適時適所で自分が必要とするバイオテクノロジーに対して速やかに対応出来るようになると考える。

生化学遺伝子工学演習(分担)

今年度から新しく設立された本講義は、今までになかった生物系の演習を行うことによって2年次までに習得した生化学、分子生物学、および遺伝子工学の知識を再確認するとともに、応用力を身につけること目的としている。また本講義は、大学院入試対策の基盤となることも狙いとしており、学生に対してどのような指針で大学院入試に望むか指導することも課せられている。

生物分子科学実験VI(分担)

実験VIで修得するELISA (Enzyme Linked Immunosorbent Assay)法は、抗体が抗原物質に特異的に結合するという抗原-抗体反応を利用した代表的な免疫学的定量法である。この方法の利点は、血液など多くの物質が混在する溶液中に微量にしか含まれない免疫グロブリンやサイトカインなどの物質でも簡便な操作で特異的に検出・定量出来ることである。ELISA法では、抗原-抗体反応を利用しているので溶液中のタンパク質だけでなく、脂質、糖質、化学物質など抗原になりうる物質、例えば血液中のホルモンやトリグリセロールなどの定量も可能である。
免疫応答の主役である抗体(免疫グロブリン)は、健常成人において常にある程度のレベルで血液中に存在する。しかしながら、先天的・後天的要因により免疫不全状態に陥ると、血液中の免疫グロブリン量は著しく低下し、正常な免疫応答に支障を来すこととなる。つまり、血液中の免疫グロブリン量は免疫学的に重要なバロメーターであり、免疫システムの異常を把握するために血中免疫グロブリンの定量は極めて重要な位置を占めている。この実習では、マウスの血清中のIgG量を測定し、ELISA法の原理および基礎を修得する。

秋期

分子遺伝学(分担)

分子遺伝学は、より専門的な分子生物学と位置づけ、私の講義では免疫担当細胞であるB細胞における抗体遺伝子の再構成機構を解説する。B細胞は、莫大な外来抗原に対応するため、その分化過程において多様性を獲得し、その多様性は、抗体遺伝子の再構成によって担われている。ゆえに学生は、本講義にて我々生体の恒常性を保持するための免疫システムがどのようにして多様性を獲得しているかを習得する。

外国語文献購読(分担)

外国語文献の購読は、研究者にとって避けられない道である。通常英語と異なり、論文(文献)英語は分野を問わず特殊な文法や言い回しが頻繁に用いられる。また、論文全体の構成も独特であり、本講義の第一の目的は、外国語論文という独特な英文に慣れ、実験結果の説明および解釈を十分に把握する力を養うことである。

生物分子科学実験I(分担)

DNA の操作技術を修得するためには、まず少数の基本的な概念と技術を理解する必要がある。本実習では、遺伝子組換えの基本となる大腸菌を用いて、プラスミドDNA の抽出・精製操作について学ぶ。

分子医学(大学院)

免疫の中心的な役割を担っている細胞として抗体産生を司るB細胞と細胞性免疫に関わるT細胞がある。両リンパ球は骨髄に存在する造血幹細胞から派生分化し、このうちB細胞の分化成熟はそのまま骨髄で行われるが、T細胞の場合には胸腺が分化成熟の場となる。いずれの場合にも、その分化段階において抗原レセプターをコードする遺伝子の再構成を段階的に遂行することによって無数とも言える抗原に対応可能なレセプターをもつリンパ球のレパートリー(多様性)が形成される。本講義では、成熟リンパ球が出来上がるまでの初期分化機構を中心に多様性を獲得する仕組みを解説する。