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授業力アップ講座

 

千葉県八千代市立村上中学校 教諭 西澤 保雄

はじめに

 あなたは普段、教師としてどんな姿勢で、どんな言葉で、どんな服装で生徒と授業で接していますか。
 今回は、小中高どの校種の先生であっても、当てはまる姿勢、表情、言葉遣い、など普段の教師生活で何気なく見過ごされている事にスポットをあてて、授業力アップを図ってもらいたいと、講演を企画しました。
 この講演を始めるに当たって、プレゼンテーション・交流分析学・アドラー心理学・パフォーマンス学等に理論的根拠をおき、自分なりにアレンジして、皆様に情報を提供しようとするものです。

1.教室に入る時

服装はそれで良いか。 姿勢はどうか、
教師が感じる目。生徒が見る目をかんじているか。
理科教師としてどんな服装がよいか。
教師も演技者である。
改善点
生徒は教師の服装を見ている。理科教師であれば白衣を常に着ていくと、生徒の心も理科を学ぶのだと言う気持ちになる。 挨拶は、授業の初めの生徒との交流の第一歩、明るい笑顔で教壇に立ちたいものです。挨拶を先にする方が、その次の会話の先手をとれます。 大きく元気に挨拶しよう。  授業が成り立たない学校の社会の先生が、ある国の学習をするときに、その国の民族衣装を着ていったら生徒の反応が、普段と全くちがっていたという。 服装も大事だよ。 いつもジャージで授業しているみなさん、一度生徒に印象を聞いてみることをお勧めします。
メラビアンの法則:人は次のようなもので、相手の印象を決めている。
言葉:7%   声の印象:38%   態度・姿勢:55%   
言葉は、相手を判断する武器とするのは、弱いのだ。

2.先生の表情はどうか。

現状は(怒った顔・平然とした顔・にこやかな顔・落ち込んだ顔)
どうすれば改善できるか。
トレーニング
口に割り箸を挟み口角をあげる訓練をしよう。笑顔は、相手を受け入れる重要なサインになる。生徒に対し、いつも心を開いている教師でありたいですね。
※いつもしかつめらしい顔をした先生に、好感を持てるだろうか。
 人間、しかつめらしい顔をした人からは、一歩引いて身構えるものです。そこには心の解放はのぞめません。

3.挨拶は生徒と先生の真剣勝負

授業に強制力は必要。強制のはじめが挨拶
あいさつのできない生徒を相手にしても、授業をつくる学習空間は生まれない。
姿勢と表情に注意していますか。

4.目線はどこに(生徒が見られていると思う目線は?)

前の席 真ん中の席 後ろの席 その他
見られていることで、見ていることで生徒は、自分を見てくれていると思う。

一番後ろの席の生徒の頭の少し上を見つめると、多くの生徒が、自分は見られていると感じます。

5.あなたの姿勢はどうですか。

自信のなさそうな姿勢 自信のありそうな姿勢
肩をすぼめたり、肩を落としたりすると、自信のない教師に見えます。 胸を張り、おへそを3㎝高くする意識をすると、相手は自信ありそうに感じます。
生徒はどちらの先生を望みますか。

6.板書はどうですか。

黒板の目線はどこに 。

人の目線はZ字型に動きます。ですから自動販売機の商品の中で、一番売りたいものが、左上に持ってくるのです。黒板では左上にタイトルを書き、学習目標を書くのは、その理屈からです。また、最後に右下に結論やわかってほしいことを書くと人間の目線に合っていることになります。

7.黒板を使うときの注意

板書をする姿勢(生徒から目線を話さない方法とは)と話すタイミング(板書と説明)
足の位置は○の位置にして板書をします。
これを四分六の構えと言います。 この姿勢で板書すると常に多くの生徒に視線を送れるので、生徒にとって常に見られる事が意識され、教師から見られる時間が多くなり、悪戯しにくい環境になります。
先生が板書しながら説明するときどのようにしますか。長い説明文を一気に書いて説明するより、文節ごとに区切って生徒の方をふりかえり、「光合成とは」「二酸化炭素と」「水と」「日光の」「エネルギーで」「栄養分のデンプンを」「作ることです」と説明して下さい。振り返る時間に、生徒の頭では、内容を理解しようとする「間」が出来るので、立て板に水式に、ザアーと説明するより頭に残るものです。
落語家が話す話し方を研究すると、どうしたら理解できるかの、ヒントがつかめます。

8.板書に生かせるアイ(目)ストップ効果

□ 長方形           白
                  赤
〇 楕円             黄
                  青
△                色の使いすぎは、注意が必要
だいじなら□(長方形)で囲め、また〇(楕円)でもいい。□(長方形)は安定を、〇(楕円)は柔らかさを、△は尖塔・突破と言う意味がある。
目に付くためには、目を留める効果のあるものを使おう それがわく取り。枠をつけるだけで、板書が引き締まり、何がここでは大事か伝わる。これをアイストップ効果と言い 町の看板作りなどに応用されている。 それがわく取りと言う言葉だけ目に飛び込んできませんか。板書に応用してみて下さい。
授業で効果のある板書 (変えるものと変わらないもの)
黒板の左側には生徒に書いて残しておきたい内容を。右側は説明には使うが、残さなくても良いものを書くと生徒にとっては、わかりやすい。

9.手の演出効果

ものを表すビジュアルハンド 心を開くオープンハンド
手を使って内容を表現しよう。そうすることで、話者がどんな話しをしようとしているか、ビジュアル的にわかります。話すだけで、手の動きがないと、印象にも残りません。 両手を広げて「みなさん」と言ってみて下さい。どこかで見た覚えがありませんか。そうです。教会で牧師さんが、信者に向かって話しかけるときに使う手の動きです。 この意味は、あなたのことをすべて受け入れますよというメッセージなのです。 ですから、授業で質問するとき、教室の生徒全体に話しかけたければ、このオープンハンドを使ってみて下さい。
腕を組む 腰に手をやる 手をもむ
相手の意見は聞かないぞ。あなたを拒否する。よーく考えていると言うメッセージになります。 ポケットに手を入れのは論外であるが、手を腰にやると、偉そに見え、権威的に見える。 腰の低い商人が良くやるポーズで、自分を卑下しているようで、あまり奨められない。
どこに手をやるといいの
手は、男性だと、肩が張っているのでお臍の下に置くと良い。女性は、お臍の上に両手をやると肩が上がってちょうど良い。
手で表す気持ち(生徒が感じる気持ち) (ワーク)

9.ノートをとらせるとき、視野にはいるのは何㎝?

(   15   )㎝
ノートを取るときの注意 :書くときと黒板を見るときの区別をしっかり。
              人はいっぺんに2つのことはできない。
              (授業中おしゃべりをさせない方法)
ノートを取るとき、人間がいっぺんに認識できる幅は15㎝だそうだ。そこで、ノートメーカーのコクヨがスリムなノートを売り出したところ、爆発的に売れたそうだ。ふつうのノートの幅は18㎝なので、3㎝の幅で線を引いてそこに日付や項目を書いてあげて、右側15㎝にノートすればその効果が発揮される。

10.絵と文字情報量の違いは。

1分間に原稿用紙1枚には( 300  )文字
1分間にB4用紙の絵は文字に直すと(2000 )文字
の情報が入るという。
目からの情報は大切なのだ。人間の外界からの情報源の80%は視覚からの情報。

11.パワーポイント(ビデオ)の利点と欠点

利   点 欠   点
わかりやすい すぐ画面が変わり、記憶に残りにくい。
情報が多いときには。
画面の数を十分絞って提示したい。
欠点の克服のために、ビデオなどは、観点を決め、必ずメモを取りながら視聴させる習慣をつけたい。

12.生徒とのリレーション作りは登校時から。(朝の挨拶運動は先生から)

先に挨拶をすると先攻をとれる。(積極的生徒指導の実践)
生徒指導主任でなくてもできる生徒指導

挨拶は、相手の存在認知の行動で、だれでも挨拶をされていやな人はいない。
これを無条件の肯定のストロークと言い、挨拶を続けているだけで、人間関係が暖かくなるものです。

13.朝から注意は効果的? (効果的な指導法とは)

授業につながる生徒指導

もし校門で生徒指導をしたい場合、「おはよう」と声をかけてから、注意する
事を言えばいいのだ。そうすれば、相手を大事に思っているよと言う気持ちは 伝わる。
会ったそばから注意されたらあなたはその日一日楽しいですか。

14.脳はうれしいときに活発に活動する。

笑いは脳で造り、笑顔は脳を楽しくさせる。

生徒を2人一組にしてお互いに笑顔で「これから勉強がんばろうねと言わせると雰囲気が良くなります。
やってみて下さい。生徒にやらせると、クラスが明るくなって、学習する雰囲気が良くなります。
苦虫をつぶしたような顔をして、学習したことが頭の中に入りますか。
好きのものをやっているときは、笑顔になっています。

15.暖かい言葉かけと冷たい言葉かけ。 北風と太陽

表情と言葉…違うようで同じだよ。
暖かい言葉かけは人を暖かくする。

暖かい表情は温かい言葉から生まれます。いつも暖かい言葉を心の中に用意している教師でいたいものですね。

16.あなたはクラスの生徒(部下・同僚)のよいところを見ていますか。

※150人の部下を持つ大企業の部長さんは150のほめ言葉を考える研修をしているそうです
自分でどれだけ出来るかやってみて下さい。私は30分で、ほめる言葉としかる言葉50個づつ書き出しました。ちなみに、不適格教員の場合、ほめる言葉が数個しか書けないそうです。
東邦大学理学部 鶴風会教員懇話会の中で話した内容です。もしこのことに興味がありましたら、次のアドレスまでご連絡下さい。

東邦大学理学部鶴風会
西澤 保雄
E-mail:ezu12373[アットマーク]nifty.com

【付録】参考文献

みなさんに読んでもらうと参考になる図書を紹介します。

書  名

著者名

出版社

書評

「ほめ言葉」ブック

平木典子

大和出版

暖かい言葉が並んでいる

「勉強しなさい」を言わない授業

西川 純

東洋館出版

実践記録風・子どもの学び会いを勉強できる

「教える技術」の鍛え方

樋口裕一

筑摩書房

教える技術のスキルアップ方法が多い

プロ教師力アップ法55

諸葛正弥

明治図書

イラスト入りでわかりやすい。塾のノウハウ満載

マンウヲッチング

D・モリス

小学館文庫

人の表情と行動の意味が分かる

コーチングを学べ

伊藤 守

マジビジ

 

目つき・顔つき・態度を学べ

佐藤綾子

マジビジ

パフォーマンス学の入門書

プレゼンの技術がおもしろいほど身につく本

長尾優子

中経出版

生徒に伝える力アップ

プレゼンの技術

八幡ひろし

PHP

プレゼンのノウハウ満載

授業上達法

大西忠治

民衆社

立ち位置など参考になる

発問上達法

 

人と人との快適距離

渋谷昌三

NHK出版

生徒との快適距離は

わかりやすい教え方の技術

藤沢晃治

 講談社

 

わかりやすい表現の技術

 

伝える力

池上彰

PHPビジネス

相手のことも考えた仕事とは

「しぐさ」を見れば心の9割はわかる

渋谷昌三

王様文庫

相手の気持ち生徒の気持ちが分かる

授業の技を極める40のコツ

斉藤優
諸富祥彦

教育開発研究所

カウンセリングを使った授業経営

交流分析入門

交流分析協会

 

どうしてそんな考えを人がするかわかる本

教師のしぐさ

松本重徳

民衆社

若手教師が読むといい本

すぐに使える授業ハンドブック

家本芳郎

タンポポ出版

図入りでわかりやすいアドバイス多数

授業上達法

上條晴夫

 

参考文献が絶品

お笑いの世界に学ぶ教師の話術

上條晴夫

タンポポ出版

明るい授業作りに

勇気づけの心理学

岩井俊憲

 

アドラー心理学を理解する入門書