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研究会概要
研究会概要
緑膿菌は、外科用包帯を青く染める膿をもたらすことからBacillus pyocyaneusと呼ばれ、1872年にSchroeterにより銅のさびすなわち緑青に満ちたの意味を持つ“aeruginosa”により、Bacterium aeruginosumと名づけられ、そしてPseudomonas aeruginosaの現在の菌名になった。日本では昭和4年(1929)に刊行された志賀 潔先生著書の細菌及び免疫学綱要に、Bac. pyocyaneusと記載されている。その本の中で、「モルモットは感受過敏なり、兎之に次ぐ。」「人體に於いては膿汁に偶然發見せらる(緑膿)。その他蜂窩織炎、膿敗症、鼓室化膿等に存することあり。膿及分泌液の緑色なるは本菌の發生に基づく。」等々の内容が書かれ、現在にみられる緑膿菌の重要性の萌芽が正確に取り上げられている。
1966年(昭和41年)2月12日、本菌の重要性をかんがみ、本間 遜先生(東京大学伝染病研究所)を中心に緑膿菌研究会が発足し、第1回研究会が東京大学医科学研究所会議室で開催された。残念ながら第1回の講演記録は残っていない。1969年にエーザイ新館ホールで開催された第3回から講演記録が作成された。その講演記録には生化学的性状、緑膿菌選択NAC寒天培地の提案、血清型別、カルベニシリンの抗菌力、臨床症例など当時の緑膿菌研究のホットスポットがちりばめられ、緑膿菌研究会草創期の、そしてその後の医学会の重鎮となられた方々の、緑膿菌に対する情熱がほとばしるような発表が記録されていた。
本研究会は、1985年第19回研究会に事務局が、本間 遜先生の教室(北里大学医学部)より、東邦大学医学部微生物学教室に移転した。この間、1992年の25回研究会において本研究会に会則が設けられたのを期に、呼称も緑膿菌研究会から緑膿菌感染症研究会に改称され、また研究対象も、緑膿菌だけでなくブドウ糖非発酵菌にまで広げた。さらに2024年4月には緑膿菌感染症研究会の呼称が緑膿菌・グラム陰性菌感染症研究会に変更された。会員数は2024年4月現在、一般会員数167名、名誉会員数 24名、賛助会員数10社、運営委員31名である。
“みのるメモリアル”緑膿菌感染症研究会奨励賞
本賞の由来
みのるメモリアル賞は、小児の遺伝性白血病「ウイスコット・アルドリッチ症候群」にかかり、その治療としての骨髄移植後、緑膿菌感染症に罹患し亡くなった故 田代みのる様のご両親より、緑膿菌感染症研究に役立てて欲しいとの希望で本研究会にご寄付いただいた寄付金を原資とし、平成16年より始まりました。
本賞は、緑膿菌感染症研究会で発表された一般発表の中から、5名の審査員による審査を踏まえ、最も優れた研究に対して贈られます。
過去の授賞者一覧
第1回 東邦大学医学部微生物教室 都筑 閲
「緑膿菌autoinducerおよびその誘導体によるIL-8産生・アポトーシス誘導に関する検討」
第2回 長崎大学医学部第二内科 栁原克紀
「緑膿菌慢性気道感染症モデルに対する抗PcrV抗体の効果」
第3回 宮崎大学医学部第三内科 松元信弘
「緑膿菌による慢性下気道感染症における気道被覆液中βデフェンシンの検討」
第4回 東邦大学医学部微生物・感染症学講座 上田千尋
「緑膿菌由来tetramic acidのClostridium difficileに対する抗菌効果の基礎的検討」
第5回 国立感染症研究所生物活性物質部 金子幸弘
「緑膿菌バイオフィルムに対するガリウム(Ga)の作用についての検討」
第6回 東邦大学医療センター大森病院感染管理部 吉澤定子
「当院における緑膿菌抗菌薬感受性と治療の実際
~多剤耐性緑膿菌(MDRP)感染症に対するBC-plateの有用性を含めて~」
第7回 東邦大学医学部微生物・感染症学講座 木村聡一郎
「緑膿菌のcyclic di-GMPを介した病原性制御機構に及ぼすマクロライド剤の効果」
第8回 徳島大学医学部大学院 上手麻希
「緑膿菌耀mexS遺伝子はQuorum-sensing 機構を調節する?」
第9回 長崎大学病院 臨床検査部 山田康一
「メタロβ-ラクタマーゼ(MBL)産生緑膿菌による人工呼吸器関連肺炎(VAP)モデルにおけるMBL阻害薬ME1071の有効性」
第10回 筑波大学大学院 生命環境科学研究科 清川達則
「嫌気環境下における緑膿菌バイオフィルム形成機構についての基礎的知見」
第11回 筑波大学大学院 生命環境科学研究科 楊 佳約
「緑膿菌バイオフィルム中のムコイド変異株の挙動解析」
第12回 徳島大学大学院先端技術科学教育部 市瀬裕樹
「緑膿菌MexEF-OprN薬剤排出ポンプの発現に関与する因子の探索」
第13回 京都府立医科大学 麻酔科学教室 濱岡 早枝子
「緑膿菌の遺伝子組み換えV抗原(re PcrV)に各種アジュバントを添加したワクチンの有効性」
第14回 京都薬科大学微生物・感染症学分野 林 直樹
「緑膿菌PAO1株が培養上皮細胞を感知するメカニズムの解析」
第15回 国立感染症研究所 薬剤耐性研究センター 鈴木仁人
「アシネトバクター属菌における薬剤耐性と細菌間競合」
「緑膿菌autoinducerおよびその誘導体によるIL-8産生・アポトーシス誘導に関する検討」
第2回 長崎大学医学部第二内科 栁原克紀
「緑膿菌慢性気道感染症モデルに対する抗PcrV抗体の効果」
第3回 宮崎大学医学部第三内科 松元信弘
「緑膿菌による慢性下気道感染症における気道被覆液中βデフェンシンの検討」
第4回 東邦大学医学部微生物・感染症学講座 上田千尋
「緑膿菌由来tetramic acidのClostridium difficileに対する抗菌効果の基礎的検討」
第5回 国立感染症研究所生物活性物質部 金子幸弘
「緑膿菌バイオフィルムに対するガリウム(Ga)の作用についての検討」
第6回 東邦大学医療センター大森病院感染管理部 吉澤定子
「当院における緑膿菌抗菌薬感受性と治療の実際
~多剤耐性緑膿菌(MDRP)感染症に対するBC-plateの有用性を含めて~」
第7回 東邦大学医学部微生物・感染症学講座 木村聡一郎
「緑膿菌のcyclic di-GMPを介した病原性制御機構に及ぼすマクロライド剤の効果」
第8回 徳島大学医学部大学院 上手麻希
「緑膿菌耀mexS遺伝子はQuorum-sensing 機構を調節する?」
第9回 長崎大学病院 臨床検査部 山田康一
「メタロβ-ラクタマーゼ(MBL)産生緑膿菌による人工呼吸器関連肺炎(VAP)モデルにおけるMBL阻害薬ME1071の有効性」
第10回 筑波大学大学院 生命環境科学研究科 清川達則
「嫌気環境下における緑膿菌バイオフィルム形成機構についての基礎的知見」
第11回 筑波大学大学院 生命環境科学研究科 楊 佳約
「緑膿菌バイオフィルム中のムコイド変異株の挙動解析」
第12回 徳島大学大学院先端技術科学教育部 市瀬裕樹
「緑膿菌MexEF-OprN薬剤排出ポンプの発現に関与する因子の探索」
第13回 京都府立医科大学 麻酔科学教室 濱岡 早枝子
「緑膿菌の遺伝子組み換えV抗原(re PcrV)に各種アジュバントを添加したワクチンの有効性」
第14回 京都薬科大学微生物・感染症学分野 林 直樹
「緑膿菌PAO1株が培養上皮細胞を感知するメカニズムの解析」
第15回 国立感染症研究所 薬剤耐性研究センター 鈴木仁人
「アシネトバクター属菌における薬剤耐性と細菌間競合」
第16回 筑波大学大学院 生命環境科学究科 諏佐勇磨
「細胞同メンブレントラフィックにLSPがもたらす影響の解析」
第17回 順天堂大学大学院 微生物学 遠矢真理
「ミャンマー・日本の医療施設で分離された P.putida グループ新菌種の系統分類と分子疫学解析」
第18回 筑波大学大学院 生命地球科学研究群 生物資源科学学位プログラム 矢野真弓
第18回 筑波大学大学院 生命地球科学研究群 生物資源科学学位プログラム 矢野真弓
「緑膿菌バイオフィルム内における突然変異株出現要因の解析」
第19回 塩野義製薬株式会社 医薬研究本部 沼田俊介
第19回 塩野義製薬株式会社 医薬研究本部 沼田俊介
「新規抗緑膿菌抗体COT-143の薬効メカニズム解析」
第20回
大阪市立大学大学院医学研究科 細菌学 薩仁朝格吐
「Acinetobacter baumannii OCU_Ac16b-L 株の厚莢膜形成メカニズムの解析」
筑波大学大学院・生物資源科学専攻 原田潤
「緑膿菌細胞集団中に出現する球状細胞がもたらす新規薬剤耐性機構」
東邦大学医学部 微生物・感染症学講座 山田景土
「緑膿菌に類似した性状を示す新種のPseudomonas tohonisが産生するメタロ β ラクタマーゼの特徴」
第21回 京都府立医科大学 麻酔科学教室 川口 顕
第20回
大阪市立大学大学院医学研究科 細菌学 薩仁朝格吐
「Acinetobacter baumannii OCU_Ac16b-L 株の厚莢膜形成メカニズムの解析」
筑波大学大学院・生物資源科学専攻 原田潤
「緑膿菌細胞集団中に出現する球状細胞がもたらす新規薬剤耐性機構」
東邦大学医学部 微生物・感染症学講座 山田景土
「緑膿菌に類似した性状を示す新種のPseudomonas tohonisが産生するメタロ β ラクタマーゼの特徴」
第21回 京都府立医科大学 麻酔科学教室 川口 顕
「抗緑膿菌PrcV mRNAワクチンの開発」
※過去に受賞経験があるものは選考対象から除外する。
※過去に受賞経験があるものは選考対象から除外する。