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地域連携感染制御学講座
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お問い合わせ・連絡先

東邦大学 医学部
微生物・感染症学講座
(医学部 1号館 9階)

〒143-8540
東京都大田区大森西5-21-16
TEL 03-3762-4151

研究活動

 

感染症の発症機序の解明

現在臨床の場で最も難治性と考えられている菌種にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、多剤耐性緑膿菌、などがある。当教室では、これらの菌種による実験感染モデルを開発しつつ、宿主の生体防御能に対する細菌の抵抗性メカニズムの解析、宿主粘膜細胞に対する細菌の付着能の研究、細菌の産生毒素や宿主サイトカインと感染成立との関係に関する検討など、あらゆる角度からこれらの感染症の発症メカニズムを追及し、その原因を明らかにするとともに、その治療面への応用を実験的に試みている。とくに、私どもによって確立されたPRSPやヘモフィルスによるマウス肺炎モデルや顆粒球減少マウスを用いた緑膿菌性内因性感染症モデルは実際の臨床でみられるものと極めて類似しており、肺炎や院内発症型敗血症の解明に役立っている。

感染症における治療法および抗菌薬投与法に関する研究

緑膿菌慢性気道感染に対するエリスロマイシン少量長期投与やフォスミシンの有効性メカニズムの解析、PRSP肺炎に対する治療法、非特異的感染防御因子と抗菌薬との併用療法などに関して、感染実験モデルを用いた検討を行っている。また、一方では新規抗菌薬について、in vitroおよびin vivoにおける抗菌力の評価、および小動物実験モデルを用いた感染防御および治療効果に関する研究などを行っている。

耐性菌に関する研究

院内感染症の起炎菌としては耐性菌が重要で、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、PRSP(ペニシリン耐性肺炎球菌)、VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)、MDRP(多剤耐性緑膿菌)、さらには第三世代セフェムあるいは第四世代セフェム系薬を分解する基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ (extended spectrum β-lactamase: ESBL)産生菌の増加が問題となっている。全国規模で行われている耐性菌サーベイランスの責任者として複数の研究に携わっており、耐性菌に関する疫学情報を提供している。β-ラクタマーゼに関する研究では、Toho-1(現CTX-M-44)およびToho-2(現CTX-M-45)などの新規酵素を報告している。さらに、日本で見出されていないクラスAに属するカルバペネム系薬分解型酵素、極めて稀であるが欧米や韓国で問題となっているクラスCに属するプラスミド性酵素、さらにMDRPの問題とも相俟って日本で問題視されているクラスBに属する酵素の性質を詳細に解明して報告している。さらに、欧米の研究者とも共同でβ-ラクタマーゼ阻害剤の研究も開始している。

院内感染症とその疫学

院内感染症は、その予後が極めて悪いことから臨床的には最も問題のある感染症である。大森病院の臨床検査部微生物検査室の責任者として、検査内容をより充実させ、精度の高い結果をより迅速に臨床に報告するよう改善を続けている。また、院内感染症の実態把握に力を注ぐとともに、その情報を迅速に臨床の場にフィードバックし院内感染の早期発見、予防に役立てるよう努力している。

感染症コンサルテーション

東邦大学医学部総合診療・急病科学講座感染症科に専任・兼任医師として勤務し、定期的に感染症カンファランス(原則として毎週月曜日午後)を開くとともに、難治感染症や各種耐性菌による感染症を対象としたコンサルテーションに応じている。また,当付属病院がAIDS受け入れ拠点病院に指定されたことから,週2回感染症外来(AIDS診療・感染症コンサルテーションが中心)を受け持つようになっている.臨床で得られた情報をもとに基礎的研究を進展させる反面、基礎的研究の情報を臨床にフィードバックすることで、基礎と臨床の融合を図っている。