新たな専門外来、肺高血圧症/肺塞栓症外来の開設について
肺高血圧症/肺塞栓症外来のお知らせ (木曜・午後) 担当 池田長生
当院では木曜午後に肺塞栓外来を開設しております。
【検査だけの依頼】~【フォローアップ含めてあと全部お願い!】まで柔軟に対応させていただきます。この領域の疾患はまず疑うことがとても重要です。ご紹介患者様が「疑った疾患ではなかった」ことは少しも珍しくありません。弁膜症や狭心症など放置してはいけない別の病気が見つかり、治療に結びつくこともあります。迷ったらお気軽にご紹介下さい。予約が埋まっているときや、お急ぎの際は予約無しでも問題ございません。
- 静脈血栓症(肺塞栓症・深部静脈血栓症)の診断/治療
- 肺塞栓症後の息切れの精査/フォローアップ
- 原因不明の息切れ精査
- 肺高血圧症
【検査だけの依頼】~【フォローアップ含めてあと全部お願い!】まで柔軟に対応させていただきます。この領域の疾患はまず疑うことがとても重要です。ご紹介患者様が「疑った疾患ではなかった」ことは少しも珍しくありません。弁膜症や狭心症など放置してはいけない別の病気が見つかり、治療に結びつくこともあります。迷ったらお気軽にご紹介下さい。予約が埋まっているときや、お急ぎの際は予約無しでも問題ございません。
肺塞栓症(PE)/深部静脈血栓症(DVT)
肺塞栓症(Pulmonary embolism: PE)は血栓により肺動脈が閉塞する疾患です。主に下肢静脈にできた深部静脈血栓症(DVT)が肺動脈に飛ぶことで肺循環に障害をきたし、重症であれば致死的となります。医療従事者以外には「エコノミークラス症候群」などの呼び名で認識されていることも多く、最近は地震などの災害時の車中泊と関連付けて報道される機会も増えています。近年はDOACs(Direct Oral Anticoagulants)の登場により、専門外の先生方にも治療しやすくなってきました。しかし、息切れ・呼吸苦や胸痛、失神など同様の症状を呈する他疾患との鑑別に難渋することも少なくありません。レントゲンや心電図では非特異的な所見にとどまることも多く、疑わなければCT撮影・診断に至らない疾患とも言えます。さらには気をつけないと後々問題となる落とし穴も存在します。
PE/DVTをみたら、癌をさがす!
PE/DVTは過剰な下肢安静(エコノミークラス症候群や外傷・手術後など)や長期臥床によって生じるイメージが強いかもしれません。しかしレジストリ研究から「最大のリスクファクターは悪性腫瘍である」ことがわかっています1, 2。癌の増殖や転移は血液凝固と密接な関連を持っており、PE/DVT患者さんの約3割に癌が隠れているとも言われています。逆に担癌患者さんが癌そのもので亡くなるのは約7割で、残りの3割は血栓症を含むその他の原因で亡くなるとの報告もあります。近年は癌の治療が進歩してきていることから、癌以外での死亡の割合はさらに大きくなっていると推測されます。つまり、「静脈血栓症を診たら癌を探す」「癌を診たら血栓症に気をつける」ことが非常に大切となっています。(図1)
図1
息切れがつづくなら、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)を疑う!
PEのあと血栓が器質化して肺動脈内に残存することが一部の患者さんでみられます。血栓といえば赤くベトベトしたものをイメージしがちですが、器質化血栓は全くの別物です。図2は外科的に摘出された器質化血栓ですが、組織のようになっています。図3は肺動脈内を高解像度のイメージングモダリティで観察したものです。器質化血栓がクモの巣状に肺動脈内に張りめぐらされ、血流を妨げています。このように器質化血栓が残存することで肺高血圧に至るのが慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH: Chronic thromboembolic pulmonary hypertension)です。CTEPHの重症度はおもに平均肺動脈圧(mPAP: mean pulmonary artery pressure)で評価します。mPAPが30mmHgを超えるCTEPH患者の5年生存率は50%を大きく下回ります(図4)3。一方、適切に治療されれば生命予後は健常者と遜色ないことから、CTEPHという疾患概念を知っておくことが極めて重要です。通常のCTなどでは発見できないことも多く、診断には肺血流シンチグラフィが有用です。PE/DVTの既往がある患者さんが「息切れがする」「病気してから疲れやすい」「もう年かな・・」などと仰ったらCTEPHを思い出して下さい。当院ではCTEPHへのカテーテル治療も積極的に行っております(図5) 4。
図2
図3
図4
(図4)
(図5)
- Nakamura, M, Miyata, T, Ozeki, Y, et al., Current venous thromboembolism management and outcomes in Japan, Circ J, 2014;78:708-717.
- Yamashita, Y, Morimoto, T, Amano, H, et al., Anticoagulation Therapy for Venous Thromboembolism in the Real World - From the COMMAND VTE Registry, Circ J, 2018;82:1262-1270.
- Riedel, M, Stanek, V, Widimsky, J, et al., Longterm follow-up of patients with pulmonary thromboembolism. Late prognosis and evolution of hemodynamic and respiratory data, Chest, 1982;81:151-158.
- Ikeda, N, Balloon pulmonary angioplasty for chronic thromboembolic pulmonary hypertension, Cardiovasc Interv Ther, 2020;35:130-141.