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慢性血栓塞栓性肺高血圧症 (Chronic thromboembolic pulmonary hypertension: CTEPH)について

1.CTEPHとは

慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)は血栓(血のかたまり)が心臓から肺に行く血管(肺動脈)に詰まったままになることで肺高血圧症になる病気です。エコノミークラス症候群などの名前で知られている「肺塞栓症」の血栓が溶け残った状態です。

血栓といえば、赤いベトベトした血のかたまりをイメージするかもしれません。しかしCTEPHの血栓は硬くなり血管にこびりついていますので、薬で溶かすことはできません。図1、2はそれぞれ手術で取り出された血栓(図1)と肺の血管内にクモの巣のように張りめぐらされた血栓(図2)です。これらの血栓を放置しておくと、肺へ血液が流れにくくなり肺動脈の圧力が上がってしまう(肺高血圧症)ことがあります。このように、血栓が肺動脈にこびりついて肺高血圧症となったのがCTEPHです。

息切れや胸の苦しさ、動悸、むくみなどの症状がでるだけではなく、早期に適切な治療を受けないと生命に関わることもあります。症状だけでは他の心臓や肺の病気(狭心症、心不全、肺気腫などなど)と区別がつきにくく、長年別の病気とまちがわれていることも珍しくありません。原因がはっきりしない息苦しさなどがあれば、1度当院を受診してください。
図1 図1
図2 図2

2.CTEPHの治療

① 内服薬

  • 抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)
    古い血栓を溶かすことはできませんが、これ以上悪くならないために必要です。生涯にわたって内服する必要があります。
  • 肺血管拡張薬(肺の血管を広げる薬)
    血管をひろげて血液の流れをスムーズにします。

② 外科治療

血栓を手術で取り出します。効果が証明されていますが、体への負担が大きい治療でもあります。

③ カテーテル治療(バルーン肺動脈形成術:BPA)

手術にむかない(または望まない)患者さんや、手術後も症状が残ってしまった患者さんに行います。
血管がつまったり、細くなったりした部分にガイドワイヤー(細いワイヤー)を通し、バルーン(風船)を持ち込んで血管を広げる治療です(図3)。当院では心臓カテーテル治療で長年培ってきた技術・経験を背景に、BPAを安心して受けていただける環境を提供しております。
学会から認定されたBPA実施医(循環器内科 池田長生)が在籍しており、BPA指導施設となっています。
図3 図3

お問い合わせ先

東邦大学医療センター
大橋病院 循環器内科

〒153-8515
東京都目黒区大橋2-22-36
TEL:03-3468-1251(代表)