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人工弁による大動脈弁置換術とその問題点

これまで大動脈弁狭窄症に対する唯一の手術方法は「人工弁による大動脈弁置換術」でした。近年、人工弁の発達は著しく、多くの症例に使われています。しかしながら正常な大動脈弁と人工弁との間には、多くの異なる点があります。
人口弁のステントという枠の図

1.人工弁は異物である

機械弁はパイロライトカーボンという材質で出来ています。生体弁はブタの大動脈弁やウシの心膜をグルタールアルデハイド(強度を上げる溶液)で固定したもので出来ています。これらの材質はヒトにとっては異物であり、異物であるが故に血栓による脳梗塞を起こしやすく、脳梗塞予防のためにワーファリンを飲む必要があります。特に機械弁の場合は一生飲み続けなければなりません。ワーファリンを飲むことの欠点もあります。ワーファリンが効き過ぎると脳出血や消化管出血などの出血性疾患にかかってしまうこともありますし、効果が弱いと脳梗塞などの梗塞性疾患を煩うことになります。

2.人工弁はステントという枠の中に弁がある

人工弁は生来の大動脈弁と比較しても弁口面積が小さいため、術後に人工弁の前後で圧較差を生じてしまい、せっかく手術を施行したのに狭窄症が残ってしまうという不具合が起こりかねません。日本人の高齢者女性のほとんどが弁輪の小さい狭小大動脈弁輪症例で、狭小大動脈弁輪症例に対する弁置換術の是非は学会でも度々議論になります。実際に患者-人工弁ミスマッチ(PPM)の生存率に及ぼす影響についても報告されており、EOAi(有効弁口面積インデックス=EOA/BSA)が0.85cm2/m2以上であるSevere PPMの場合は、下記グラフにも示すとおり、有意に術後の生存率が悪いことも示されています。
弁置換術後の経過年数の図

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