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自己心膜を使用した大動脈弁形成術の耐久性について

この手術を開始してから1年7ヶ月です。これまで再手術になった症例はありませんが、長期の耐久性は不明です。われわれの手術方法とは異なりますが、1990年代にアメリカのデュラン先生が、同様にグルタールアルデハイド処理された自己心膜を使用した大動脈弁形成術の耐久性を報告しています。対象疾患が「リウマチ熱による大動脈弁狭窄症」であるため、われわれの対象年齢よりはずっと若く20~30歳代の症例に手術を施行していますが、下記のグラフのように10年の再手術回避率が86%です。
自己心膜とウシ心のう膜を使用した大動脈弁形成術の16年の手術成績の図
生体弁(ウシ心のう膜弁)を45歳の患者に移植した場合の再手術回避率も同様に86%という報告があります。
年齢別に解析した生体弁の構造破壊による再手術回避率の図
若年者ほど生体弁の劣化が早いことは周知の事実です。デュラン先生が手術を施行された症例は更に若年であり、この事実を考慮するとグルタールアルデハイド処理後の自己心膜を使用した大動脈弁形成術の耐久性は、生体弁と同等もしくはそれ以上と言うことが出来ると考えます。

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東邦大学医療センター
大橋病院 心臓血管外科

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