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1.アトピー性皮膚炎の現状と治療の変遷

アトピー性皮膚炎(AD)は小児の代表的な皮膚疾患です。ところが、昨今の気密性の高い住宅の整備、スギ花粉などの植物アレルゲンの曝露量の増加といった環境の変化に伴い、AD患者数は大人も増えています。そして、慢性的に皮膚症状が再燃を繰り返し、次第に悪化して治りにくくなった重症例が少なくありません。その対策として、厳密な食事制限による成長障害や育児ノイローゼ、ダニ除去を主体とする生活環境の整備疲れ、家庭内暴力、ひきこもり、登校拒否、遅刻や欠勤、休職、離婚や失業といったいろいろな社会問題が浮かび上がっています。

1990年代に入り、ステロイド外用薬の副作用がマスコミによって過度に取り上げられ、ステロイドバッシングが流行りました。副作用を危惧してむやみに治療を中断したり、使用頻度を大幅に減らしたり、ADによく効くという民間療法が氾濫し、アトピービジネスが横行しました。その結果、患者さんやその家族が振り回された“治療の混乱期”を経験しました。1999年から厚生労働省研究班や日本皮膚科学会によるAD治療ガイドラインが作成され、安全かつ適切な治療法が公開され、次第に治療に関する混乱は終焉し重症例は少しずつ減ってきました。しかしながら、いまだ社会の波に乗り切れず、頑なに本来の治療法を受け入れない、不信感が強く中途半端な治療しか受けられない重症な患者はまだ数多く存在しています。また、頭では理解していても日常生活に追われ、本来すべき必要な治療法を実践できない、正しい治療法を修得する機会のない患者さんも少なくありません。また、何らかの要因で急速に悪化し社会生活に支障を来たしている患者さんもおります。このような状態に陥りお悩みの患者さんやご家族の皆様、安全にそして短期間で皮膚症状を改善させたいとお思いでしたら是非とも当科を受診して下さい。また顔面や体幹部などに、部分的に限局している程度でそれほど重症感はないものの、現在の治療法が妥当なのか疑問を感じている方もいるかと存じます。患者さん毎に適切な方法を考えて、皮膚症状の改善や緩和に繋げていきます

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東邦大学医療センター
大橋病院 皮膚科

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