夏のビールをおいしく健康的に楽しむために

夏になると、冷たいビールがおいしく感じられる季節になります。
仕事終わりや休日の一杯を楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。
ビールは適量であれば、食事やコミュニケーションを楽しむ嗜好品の一つです。
しかし、飲み方によっては脱水やエネルギーの摂り過ぎにつながることがあります。
今回は、ビールを楽しむためのポイントを栄養学の視点から紹介します。

●ビールは何からできている?ビールに含まれる成分

ビールの主な原料は「麦芽」「ホップ」「水」「酵母」の4つです。
麦芽に含まれるでんぷんが酵母の働きによってアルコールと炭酸ガスへ変化し、ビールになります。また、ホップは独特の苦味や香りを生み出すだけでなく、
泡持ちを良くしたり、品質を保ったりする大切な役割があります。

●ビールに含まれる栄養素は?ビールは太る?

ビールは「エンプティーカロリー」と聞いたことはありませんか?「ビールはエンプティーカロリーだから太らない」と誤解している人がいます。
「エンプティーカロリー(empty calories)」とは、エネルギー(カロリー)はあるものの、ビタミンやミネラルなどの栄養素が少ない食品や飲み物を指す言葉です。
ビールには少量のビタミンB群やミネラルが含まれていますが、栄養補給を期待できるほどではありません。そのため、エネルギーは摂取しても、体に必要な栄養素はあまり補えないことから「エンプティーカロリー」と呼ばれることがあります。
アルコールは1gあたり7kcalのエネルギーを持っています。これは糖質やたんぱく質(4kcal/g)よりも高く、脂質(9kcal/g)に次ぐエネルギー量です。つまり、カロリーが空(ゼロ)という意味ではありません。
さらに、アルコールは体内で優先的に分解されるため、その間は脂肪の燃焼が後回しになります。また、食欲が増し、一緒に食べる高エネルギー・高塩分のおつまみの量が増えやすく、結果として飲酒量も増えやすくなります。これらが体重増加の一因と考えられています。

●ビールは水分補給になる?

暑い日に飲む冷たいビールは、のどの渇きを潤してくれるように感じます。
しかし、ビールは水分補給には適していません。
その理由は、アルコールには利尿作用があるためです。アルコールは、腎臓で水分の再吸収を調節する抗利尿ホルモン(バソプレシン)の分泌を抑えるため、尿の量が増えやすくなります。
その結果、体内の水分が失われ、脱水状態になりやすくなります。特に夏は、汗による水分喪失も重なるため、脱水や熱中症のリスクが高まります。
また、脱水は血液を濃縮させることで尿酸値の上昇や痛風発作の誘因にもなるため、注意が必要です。
そのため、「ビールを飲んだから水分補給できた」と考えるのではなく、「お酒1杯に水1杯」を目安に、水やお茶を一緒に飲む習慣をつけましょう。飲酒前後にも水分を補給することで、脱水予防につながります。

●お酒の「適量」を知っていますか?

厚生労働省では、生活習慣病のリスクを高めにくい飲酒量として、純アルコール20g程度(1日あたり)を一つの目安としています。

これは、おおよそ次の量に相当します。
* ビール(5%)……500mL(中瓶1本またはロング缶1本)
* 日本酒……1合(180mL)
* ワイン……約200mL(グラス2杯弱)
* 焼酎(25%)……約100mL
* ウイスキー(40%)……約60mL(ダブル1杯程度)

女性や高齢者、体格の小さい方はアルコールの影響を受けやすく、同じ量でも体への負担が大きくなることがありますので少なめに飲むことも重要です。

●肝臓をお休みする日を作りましょう

毎日飲酒を続けると肝臓が休む時間が少なくなり、脂肪肝や肝機能の低下につながることがあります。そのため、週に2日程度の休肝日を設けることがすすめられています。

休肝日を続けるコツ
* 曜日を決める(例:月曜日・木曜日は飲まない日)
* ノンアルコール飲料や炭酸水を活用する
* 夕食後は早めに歯磨きをすると、だらだら飲みを防ぎやすくなる
* 「今日は飲まない」と家族に宣言するのも効果的

休肝日は「飲む量を減らす日」ではなく、アルコールを飲まない日です。無理に我慢するのではなく飲み方や量を工夫し、肝臓をいたわる習慣を取り入れ、お酒と上手に付き合いましょう。お酒は人生の楽しみの一つだからこそ、長く楽しむために肝臓にも休日を取り入れましょう。

ビールは、飲み方を工夫することで健康的に楽しむことができます。適量を守り、水分補給や休肝日を取り入れるなど、毎日の小さな心がけを大切にしながら、この夏も元気に過ごしましょう。

参考文献

* 厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」
* 厚生労働省 e-ヘルスネット「アルコール」
* 国税庁「お酒に関する情報」

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