よくあるご質問
副鼻腔炎
-
副鼻腔炎(ふくびくうえん)とは、鼻(鼻腔(びくう))の周囲にある副鼻腔(ふくびくう)という空洞部分に炎症が起こり、鼻汁や鼻づまりなどのさまざまな症状が現れる病気で、俗に「蓄膿症」とも呼ばれます。副鼻腔炎は、急激に症状が現れて短期間でおさまる「急性副鼻腔炎」と3ヵ月以上症状が続く「慢性副鼻腔炎」に分けられ、病気の状態はやや異なります。
急性副鼻腔炎は、かぜなどで鼻腔にウイルスが感染し、それに続いて副鼻腔にもウイルスや細菌が感染することによって起こります。ある報告では、かぜの患者の0.5%~2.0%が急性副鼻腔炎になるといわれています。通常、急性副鼻腔炎は1~2週間で治りますが、治りきらなかったり再発をくり返したりすると、副鼻腔の炎症が悪化して粘膜が腫れたり、内部の膿(うみ)が排出されなくなったりします。このような症状が3ヵ月以上続くと慢性副鼻腔炎と診断されます。
また、最近では非常に治りにくいタイプの「好酸球性副鼻腔炎(こうさんきゅうせいふくびくうえん)」といわれる副鼻腔炎が増加しています。気管支喘息を合併している成人に多くみられ、鼻汁が水あめを固くしたようなニカワ状といわれる性状で、鼻の粘膜にできる良性のポリープである「鼻茸(はなたけ)」がたくさんできるので、においがわからなくなることが多いのが特徴です。 -
- 鼻汁
膿が混じった粘り気のある鼻汁が出ます。場合によっては悪臭がしたり、血が混じったりすることもあります。 - 鼻づまり
粘膜が腫れて鼻がつまり、鼻での呼吸がしにくくなります。鼻茸ができている場合もあります。 - においがしない
鼻づまりのため、においを感じる「嗅細胞(きゅうさいぼう)」に吸い込んだ空気が届かなくなり、においがわからなくなります。 - せきや痰
鼻汁がのどに流れ続ける「後鼻漏(こうびろう)」と言われる状態によって、のどにひっかかるように感じることがあります。これによって、せきや痰が出ることもあります。 - 頭痛などの痛み
炎症を起こしている副鼻腔により痛む部位は異なりますが、前頭部(ひたい)、眼の奥、鼻のつけ根、ほほ、歯などが痛くなります。 - 頭重感
痛みまではなくとも、頭や眼の奥が重いように感じることがあります。
- 鼻汁
-
診断は、いつごろからどんな症状があるかを詳しく問診した後に、前鼻鏡(ぜんびきょう)という器具を使って鼻の中を光で照らし状態を調べます。さらに前鼻鏡で見えない奥の部分は内視鏡で調べます。副鼻腔炎が疑われる場合は、副鼻腔のどこに炎症が起きているかをエックス線検査やCT検査で調べます。また、鼻汁の細菌検査をして原因菌を調べたり、アレルギーの有無を調べるために血液検査を行ったりすることもあります。
-
副鼻腔炎の治療には、薬物療法などの保存療法と、手術療法があります。どちらを選択するかは病気の程度によります。ただし10歳以下の子供の場合は手術による弊害が多いため、できるだけ保存療法を行うようにします。
- 保存療法
薬物療法は急性と慢性でやや異なりますが中心となるのは抗菌薬です。急性副鼻腔炎の場合は、細菌を死滅させるための抗菌薬を短期間服用しますが、慢性副鼻腔炎の場合は「マクロライド系抗菌薬」といわれるタイプの抗菌薬を通常の半分の量で約3ヵ月間服用します。この場合抗菌薬としての働きではなく、粘液の分泌を抑えたり、粘膜の線毛の動きをよくしたり、免疫系を調節したりして炎症を改善させることが服用の目的となります。その他、痰や鼻汁を出しやすくする粘液溶解薬や、アレルギー性鼻炎をともなう場合は抗アレルギー薬が使われます。また、好酸球性副鼻腔炎の場合は経口ステロイド薬や鼻噴霧用ステロイド薬を使います。
薬物療法以外では、たまった膿などを吸引する鼻腔内の清掃、洗浄用の針を鼻孔(びこう)から入れて副鼻腔の壁や入り口に刺して行う副鼻腔洗浄、ネブライザー(噴霧器)という器具での抗菌薬やステロイド薬の吸入などが行われます。 - 手術療法
鼻茸ができるほど病気が高度である場合や保存療法で効果が認めらない場合は、内視鏡を使った手術を行い、その後にもう一度保存療法を行います。この手術では、副鼻腔の入り口を広げ、腫れている粘膜を薄く削り、たまった膿などを吸引して取り除きます。これによって副鼻腔の換気と排泄を十分行えるような形に整えることも重要です。手術は全身麻酔で行われ、約7日間程度の入院が必要です。術後も定期的な通院が必要で、特に好酸球性副鼻腔炎のような治りにくいタイプの副鼻腔炎では手術を行っても再発をくり返すことが多いため、定期的に受診し主治医と相談しながら再発による悪化を防ぐことが大切です。
- 保存療法
小児の閉塞性睡眠時無呼吸
-
成人の場合は、肥満、小下顎、鼻中隔弯曲症・口蓋扁桃肥大などの上気道疾患、加齢などが閉塞性睡眠時無呼吸の主な原因として挙げられ、高血圧症、高脂血症、糖尿病などの病気を引き起こすことが問題とされており、放置しておくと脳血管障害や虚血性心疾患などの合併症のリスクが高まります。
小児の場合は、アデノイド肥大、口蓋扁桃肥大など、子ども特有の疾患が原因として多くみられますが、アレルギー性鼻炎に伴う鼻づまりによって発症することもあります。また、低身長、低体重、多動、攻撃的な性格、学業不振など、お子さんの成長発達、高次脳機能にまで幅広く影響を及ぼす可能性があります。 -
成人の場合は、日中の強い眠気や慢性的な疲労感、倦怠感、頭痛などさまざまな自覚症状がありますが、小児の場合は自覚症状に乏しく訴えもほとんどないことから、保護者の方が注意深く観察することがとても重要となってきます。お子さんに以下のような症状がいくつか見られるようでしたら早めに受診されることをおすすめします。
- 毎晩大きないびきをかく
- 寝ている時に呼吸が止まる
- いつも口を開けて呼吸をしている
- 食事中などにうとうと居眠りすることがある
- 日中ぼーっとしていて集中力がない
- 睡眠中に咳き込んで起きることがある
- 横向き寝、うつ伏せ寝が多い
- 首を伸ばして寝ている
- おねしょが多い
- 落ち着きがない、攻撃的である など
-
アデノイド肥大や口蓋扁桃肥大、アレルギー性鼻炎などの有無について、視診による観察、レントゲン撮影、血液検査などで診断します。閉塞性睡眠時無呼吸の診断は、自宅でもできる簡易検査のほか、さらに詳しく正確に睡眠の状態を調べるための終夜睡眠ポリグラフ検査も入院のうえ行っております。
終夜睡眠ポリグラフの主な検査項目は以下のとおりです。- 脳波
- 眼電図
- 筋電図
- 心電図
- 口と鼻の気流
- 胸腹部の運動
- 動脈血酸素飽和度
- いびき音
- 睡眠時の姿勢 など
-
アデノイド肥大に対してはアデノイド切除術、口蓋扁桃肥大に対しては口蓋扁桃摘出術といった手術治療を行います。手術の適応とならない場合は、内服・点鼻薬による治療、減量、歯科矯正治療、経鼻的持続陽圧呼吸療法(nasal CPAP)などといった保存的治療を行うこともあります。