患者さんへ

メニュー

下部消化管(大腸)グループ

大腸疾患の治療を迅速・確実そして出来る限り低侵襲にご存じのように、食や生活の欧米化と共に日本でも大腸癌が現在急激な増加傾向にあります。年間約10万名が罹患し、年間約5万名が死亡する、現在では胃癌を抜いて日本で一番多い癌であります。私どもは、その大腸癌をはじめとする大腸疾患を4名の大腸専門医師を中心に消化器内科医、放射線科医や看護師、薬剤師、放射線技師など専門家とのチームの協力の元で治療を行っております。病院の理念である「患者さんに優しい医療の実践」のために出来うる限り低侵襲な治療を心がけ、結腸や直腸に対する腹腔鏡下手術、直腸癌に対する肛門括約筋温存手術と共に、大腸腫瘍・癌に対する大腸内視鏡治療も同じ治療チームで行っております。
1. 大腸内視鏡検査および治療・処置
 当院では、通常の観察大腸内視鏡やポリープ切除はもちろんの事、EMR(内視鏡的粘膜切除術)や(ESD内視鏡的粘膜下層剥離術)も消化器内科との協力のもと、積極的に施行しております。大きなEMRやESDは別ですが、基本的には前処置を自宅で行って頂き、外来での内視鏡治療を行っております。また、出血や腸閉塞に対する緊急内視鏡も常に施行可能な体制にしております。特に大腸癌によるイレウスなどの緊急治療が必要な症例に対しては、金属ステント留置でのイレウス解除術を1993年に当科にて開発、予後の悪い緊急手術や、人工肛門の減少に寄与しています。この大腸金属ステントはわれわれの働き掛けで2012年に保険収載されようやく全国での使用が可能となりした。詳細は教室で主宰している研究会のホームページhttp://colon-stent.comをご覧ください。金属ステントなど革新的な内視鏡的治療で、患者さまのQOL向上の為に何が出来るか?それがわれわれの治療方針の基本です。

2. 内視鏡外科手術
 当院では1993年から消化管に対する腹腔鏡下手術を開始しております。特に腹腔鏡下大腸手術は現在までに800例以上の経験を持ち、術後の疼痛が少なく、術後の平均入院日数も術後約7日間と非常に良好な経過をおさめております。現在では大腸単独の待機手術ではほぼ100%に近く腹腔鏡下手術を導入、緊急手術でも積極的に施行、出来る限りの低侵襲を目指しております。また、腹腔鏡下大腸手術の講習会の開催や、厚生労働省班会議のメンバーとしてその適応拡大について積極的な臨床研究を行い、世界的レベルのエビデンス構築のために学術的な情報も常に発信・報告しております。

3. 開腹・拡大手術
 腹腔鏡下手術の適応にならない進行した癌に対しては積極的に開腹手術を施行します。多臓器転移・浸潤の癌でも、肝臓外科、肺外科、血管外科、泌尿器科、婦人科との連携で、各部位の専門家が各々手術を行っております。また、肛門に近い直腸癌でも、超低位前方切除や内肛門括約筋切除術など、出来るだけ肛門を温存する手術を導入し施行しております。現在の直腸癌の肛門温存率は9割を超えております。

4. 化学療法
 化学療法についても専門医を養成し、化学療法認定看護師や化学療法専任薬剤師とともにFOLFOXやFOLFILI、アバスチン、ベクティベックス、アービタックスなどの最新の化学療法を提供しております。外科の外来には化学療法専門のベッドを9床設置、安全で快適な外来での化学療法を積極的に施行しております。

5. 研究
 本邦でもっともエビデンスの高い研究を発信している日本臨床腫瘍研究グループJCOGや、日本がん臨床試験推進機構JACCROをはじめと全国的な研究組織・団体などにも参加し手術、化学療法、各種治療についての学術的な情報の提供に積極的に取り組んでおります。また当科では、炭山嘉伸理事長・草地信也教授が外科感染症を専門領域として長年研究を重ね、世界で高い評価を得ています。大腸は細菌の多い部位であり、そのため大腸外科医にとって最も怖い要素の一つが術後感染症です。当科では外科感染症の抑制についてこれまで多くの研究を重ねており、科全体としての対策が十分に行き届いていることが大きな特色です。

 常に先進医療を発信すべき使命をおびた大学病院ではありますが、その前に地域に根ざした病院として地域への医療の提供が第一と考えます。地域の開業の先生方とは医師会での学会・講演会、城南地区大腸疾患懇話会や三軒茶屋での大腸ガイドライン講座などで広く交流させて頂いております。そのため密な情報交換とともに、迅速で適切な治療を提供すると共に、経過の報告および紹介の先生への逆紹介も責任をもって行います。なお2012年から大腸がん部門では東京都から東京都(大腸癌)がん診療連携協力病院の指定を受けております。

責任者:斉田 芳久 教授
外来診療日:土曜日(第三土曜日は病院が休診)

スタッフ:榎本 俊行 講師
外来診療日:水曜日

お問い合わせ先

東邦大学医療センター
大橋病院 食道・胃・大腸外科

〒153-8515
東京都目黒区大橋2-22-36
TEL:03-3468-1251(代表)