食道癌診療
食道癌は、癌に対する治療が発達した現在でも治りにくい癌のひとつです。「食べたものがつかえる」などの症状で発症することが多いのですが、症状がでる前の早期の段階で内視鏡で発見することが重要です。
病気がステージ1など比較的早期である場合
術前治療はなしで、まず手術を行います。
ある程度進行した食道癌(ステージII, III)の場合
手術の前に化学療法(抗癌剤)で病巣を小さくしてから手術を行います。
手術は基本的には胸腔鏡での低侵襲手術を行いますが、当院では食道外科専門医・内視鏡外科技術認定医(食道癌手術)が常勤しておりますので、da vinci Xiでのロボット支援下手術を行うことができ、食道癌手術も積極的にロボット手術をおこなっていきます。
しかし、手術が体力的に不能である患者さんには、化学放射線治療を行います。
また、ステージⅣの患者さんでも、抗がん剤治療・化学放射線治療を行い、切除可能になれば手術を行う、集学的治療を積極的に行っております。

手術に関して
胸腔鏡下手術・ロボット支援下手術を基本的に施行しております。その場合には、右の胸に1cm程度までの傷5,6個ほどで食道を切除します。創が小さいため患者さんの負担は軽くなるため、日常生活にもどるまでの期間が従来より早くなっています。腹部の操作も、腹腔鏡で行います。腹部のリンパ節を切除し持ち上げる胃を準備します。(胃管の作成)(図1)

大橋病院では食道癌の手術が予定された患者さまに対して、術前から医師、看護師、薬剤師、理学療法士、栄養士など多職種から構成される「食道癌周術期サポートチーム」により患者さまを全面的に支援させて頂きます。患者さまのサポートを手術で入院される前の外来の段階から始めさせて頂くことにより、患者さまの不安をやわらげ、術後も可能な限り順調に経過するように皆で話し合い、協力して管理をさせて頂きます。食道癌手術まえには必ず医師、看護師、栄養士、リハビリテーション科、歯科、とともにミーティングを開き、一人一人もっともよい対応はなにかを話し合い決めていきます。(図2)

従来、根治が難しかった高度進行食道癌に対しても、前述にもあるとおり抗癌剤による腫瘍の縮小・リンパ節の縮小・減少、放射線照射による腫瘍の縮小、により切除可能となった場合は、手術による根治切除を積極的に行っていきます。当院では食道外科専門医を中心に最新の治療の提供に努めております。
食道癌の治療は集学的治療であり、複雑ではありますが、患者さまの病状を考慮したうえで、こちらから選択しうる治療法を丁寧に説明いたします。いずれにしても、患者さまご自身がそれぞれの治療の選択肢の内容とその長所、短所をよく理解したうえで、治療に前向きな気持ちを持って受けていただくことが大切と考えております。