悪性消化管狭窄(食道、幽門・十二指腸、大腸)に対するステント留置術
悪性消化管狭窄とは?
進行したがんによって食道、幽門・十二指腸、大腸の内腔が狭くなった状態です。食道であれば食事摂取ができなくなるだけでなく、唾液も通過しなくなることもあります。幽門・十二指腸では食事摂取不能や胃液嘔吐といった症状が出現します。大腸では腸閉塞を来し、強い腹痛や嘔吐を来すことがあり、禁食も余儀なくされます。
ステント治療とは
金属製メッシュ構造をした筒状の医療器具であり、留置することにより狭くなった消化管内腔を広げることができます。ステントは、最初は細いチューブ(3-4mm程度)に収納されており、狭くなった内腔も容易に通過することが可能です。内視鏡を用いて、がんにより狭くなった箇所にステントを進め、その場所でチューブから出して広げます。広がると径は20mm程度となります。臓器別の専用のステントを使うことで、手技は比較的容易で、通常の内視鏡検査とほぼ同じ程度の短時間(20分程度)で終了することができます。
ステント留置術の適応
がんは可能な限り外科的切除が望ましい方法ですが、高度に進行した場合や外科的治療後の再発などで閉塞を来した場合には、外科的治療の適応とならない場合もあります。このような場合で消化管内腔が狭くなった際にはステント治療の良い適応です。ただ大腸においては、ステント留置により腸閉塞状態を改善させて、その後に外科的手術を行うような場合もあります。
期待される効果
いずれの領域でもステント留置手技の成功率はほぼ100%と高率です。留置した患者さまのうち、腸の動きが悪い等ごく一部の方を除いて、約90%の方は閉塞症状の改善し、食事摂取が可能となります。
当院の現状
消化管狭窄に対する内視鏡的拡張術およびステント治療では、先駆的な施設であり、高水準な技術に対して、全国の医療機関からの治療依頼を受けています。