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経皮的ラジオ波焼灼療法(radiofrequency ablation:RFA)

経皮的ラジオ波焼灼療法(RFA)とは

肝臓にできた悪性腫瘍の治療法のひとつで、超音波で観察しながら、皮膚を通して電極針を腫瘍の中心に挿入し、ラジオ波という電流を通電させ、針の周囲に熱を発生させ、腫瘍を壊死させる方法です。ラジオ波は、450キロヘルツの高周波のことで、他の医療機器(電気メスなど)に使用される高周波と同じものです。針(電極針)は、太さが直径1.5ミリの金属でできたものです。
このラジオ波焼灼療法は、1995年頃から欧米で開発され、日本では1999年頃から広く臨床使用されています。2004年4月には、日本でも保険適応手術として認められ、肝臓悪性腫瘍に対する標準的な治療として位置づけられています。
手術療法や、肝動脈塞栓術などのほかの肝臓の悪性腫瘍の治療にくらべ、患者さんの負担が少なく、治療の効果も十分であると考えられています。

実際の治療の手順

まず、治療する部分を消毒し、清潔にします。痛み止めの注射を治療前に投与し、痛みを予防します。超音波検査を行い、腫瘍の場所を確認し、針をさす場所や方向を決めます。皮膚に局所麻酔を行い、皮膚を通し肝臓に刺していき、腫瘍の中心にささるようにします。そのとき、超音波検査で、腫瘍がある部分や、肝臓のなかの血管など注意が必要な部分を観察しながら行います。腫瘍の中心に針が挿入されたことを確認したところで、ラジオ波を通電開始します。1回の焼灼時間は、通常最大で12分間です。(腫瘍の大きさや、状態によってはそれ以上かかることも、稀にあります。)その間も超音波検査を行いながら、治療の進み具合を観察していきます。焼灼終了後は、早期の合併症が起きていないか、超音波検査で確認し終了になります。(早期の合併症とは、おなかの中での出血や他の臓器への影響などです。)  治療終了後は、病室に戻り4時間の安静の時間となります。治療中や、治療後に痛みや、発熱、吐き気などがでる場合があります。痛み止めや解熱剤、吐き気止めなどで、対処可能です。4時間の安静後はお食事を食べていただけます。

治療中の超音波画像

治療中の超音波画像

入院の経過

治療前日にご入院いただきます。血液検査や、レントゲン、心電図などを行い全身の状態が治療に耐えうるかどうか確認します。夕方に、超音波検査を行い腫瘍の場所は、肝臓のなかの状態を把握します。そのとき、造影剤を使用し、さらに詳細な情報を得ておきます。
治療当日は、朝食は食べられますが昼食はお休みになります。午後からの治療になります。夕食は治療後4時間後までお待ちいただきます。病室で点滴を開始し、治療室にいらしていただき治療に入ります。
治療翌日は、朝血液検査を行い、合併症が起きていないか確認を行います。なるべく安静を保っていただきますが、特にお体を動かしてはいけないという制限はありません。抗生剤を含めた点滴を行います。
治療後にCT検査を行い、治療の部分を観察します。うまく治療できていれば終了です。数日後には退院可能となります。腫瘍の数が多かったり、腫瘍が大きい場合は、2~3回に分けて治療を行う場合があります。そのような場合は治療が終了した時点で、CT検査を行い、治療の効果を判定します。CTの結果で、治療が不十分な場合が稀にあります。そのときは、もう一度治療を足りない部分に追加させていただくことがあります。

適応

経皮的ラジオ波焼灼療法の適応は、肝細胞癌(肝から出てくる癌)では、一般的には腫瘍の大きさが直径3cm以下、腫瘍の数が3個以下もしくは、腫瘍数がひとつで5cm以下の腫瘍であると、治療を完全に行うことができ、合併症を伴ってしまう確率も低くなると言われています。しかし、「3cm、3個以上ではうまく治療できない」という根拠は今のところありませんので、他の治療が困難な場合や、ラジオ波焼灼療法が可能と判断できる場合は積極的に治療を行っております。また、肝動脈塞栓術などの治療も併用して行うことで治療効果の向上をめざしております。
肝臓の悪性腫瘍には、大腸などの肝臓以外で発生した癌細胞が肝臓に転移する、転移性肝癌もあります。これに対する治療は抗がん剤による化学療法や、外科的な手術が一般的でした。しかし、2004年6月より転移性肝癌に対しても、経皮的ラジオ波焼灼療法を行うことができるようなっています。現在、大きさや個数などでどこまで治療可能かということは決まっていません。確かに、大きさが大きかったり、数が多かったりすると、合併症の確率が上がる可能性はありますが、治療の効果が十分に見込めると判断した場合は、大きさや数に関係なく積極的に治療させていただきます。

利点・欠点

利点は、外科的な手術とは違い、傷口は針1本分ですので、治療後の安静や、全身の状態への影響が少ないという点です。また、治療の効果を判定したあと、治療が不十分であったときに、数日で再治療が可能になります。
欠点は、外科的な手術では直接腫瘍を確認しながら治療することができるので、取り残し(治療不十分)ができることは少ないですが、経皮的ラジオ波焼灼療法の場合は、超音波検査での間接的な観察が治療のベースとなりますので、治療が不十分になる可能性があるという点です。そのため、治療の効果を判定するために、CT検査を行い、治療前のCT検査の画像と比較し慎重に検討し、判定を行います。

治療後

肝臓の悪性腫瘍は、肝細胞癌・転移性肝癌いずれも、病気の性格上再発する確率が高いため、定期的な経過観察が必要です。ですので、治療後は約3ヶ月に1回は血液検査や、CTや超音波検査などの画像検査を行う必要があります。そうすることで、もし再発しても、早期に発見することができ、経皮的ラジオ波焼灼療法を再度行うことが可能となります。

お問い合わせ先

東邦大学医療センター
大橋病院 消化器内科

〒153-8515
東京都目黒区大橋2-22-36
TEL:03-3468-1251(代表)