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食道静脈瘤治療(内視鏡的静脈瘤硬化療法・結紮術)

内視鏡的静脈瘤硬化療法(EIS:Endoscopic injection sclerotherapy)
内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL:Endoscopic variceal ligation)

EIS、EVLとは

内視鏡(胃カメラ)を通して緊急時(出血時)あるいは予防的に静脈瘤を治療する方法です。前者は静脈瘤の血管内あるいは静脈瘤周囲に硬化剤を注入することにより、後者は静脈瘤自体を小さな輪ゴムで止めることにより静脈瘤の血流を遮断し廃絶治療します。

実際の治療の手順

EISは透視室で、EVLは内視鏡室で検査を行います。まずは。胃カメラと同様にのどの局所麻酔や胃腸の緊張をとるための鎮痙剤の注射をします。また苦痛を和らげるための鎮静剤や鎮痛剤を注射することもあります。その後に胃カメラを挿入して治療を行っていきます。 (緊急の場合は簡便な麻酔のみもしくは麻酔なしで行うこともあります)
静脈瘤を確認後、EISは静脈瘤内の血管やその周囲にお薬(硬化剤)を注入し治療を行っていきます。その際に放射線を用いて(造影剤や色素を使用することもあります。)薬剤の注入部位を確認します。
EVLは静脈瘤を輪ゴムで止めるので、放射線を使用いたしません。

入院の経過

治療当日の朝から食事は中止して頂き、点滴を行い内視鏡室もしくは透視室にて治療を行っていきます。
治療後は翌日までは絶食となります。また感染症予防のために抗生物質の点滴や、止血剤、アミノ酸製剤の内服等もして頂きます。翌日の血液検査結果で問題なければ、お昼からお食事(流動食)を召し上がって頂きます。
静脈瘤が残存しており、治療がまだ必要な場合は1~2週間間隔で治療を行っていきます。

適応

出血している静脈瘤、出血してもおかしくなさそうな静脈瘤が適応となります。
食道や胃に出来た静脈瘤を放置すると静脈血管からの出血(静脈瘤破裂)を起こす危険が高くなり、最悪の場合出血性ショックにより死に至ることもあります。予防的にこの治療を行うことにより出血のリスクを低下させることが出来ます。また、出血している場合には緊急治療としておこなう場合もあります。

利点・欠点

静脈瘤の療法には(1)内視鏡的治療、(2)IVR(Interventional Radiology)を応用した治療、(3)外科手術、(4)薬物治療、(5)保存的治療があります。近年は内視鏡的治療がその主流となってきています。
内視鏡治療としての利点はそこまで侵襲が強くないこと、欠点としては、手術と比べると再発が多いこと、治療できない場合や治療が不十分な場合もありその場合は他の治療が必要となることです。またEISとEVLを比較すると非再発率についてはEISがEVLをしのぎますが、肝機能の低下した場合(高度黄疸、低アルブミン、血小板減少、脳症、腹水)にはEVLが有効です。また、出血している食道静脈瘤の一次止血にもEVLは適切な治療法と言えます。

治療後

食道・胃静脈瘤は肝硬変に伴うものが大多数です。静脈瘤の治療をしても原疾患が改善されなければ再発することが予想されます。

お問い合わせ先

東邦大学医療センター
大橋病院 消化器内科

〒153-8515
東京都目黒区大橋2-22-36
TEL:03-3468-1251(代表)