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下部消化管内視鏡治療

大腸腫瘍(腺腫、早期癌)に対する内視鏡の治療として、2cm以下の病変では病変にスネア(ループ状の金属ワイヤー)をかけて、高周波電流による通電切除を行う内視鏡的粘膜切除術(Endoscopic Mucosal Resection :EMR)という方法を行っております。
2cm以上の径の大きな病変などは分割切除となるため遺残・再発の問題(検体がバラバラになるために、取り残しや再発の可能性がある)あるいは正確な病理診断が難しくなるなどの問題があります。また、EMR時の粘膜下局注(専用の液体を注入する手技)による病変の挙上が不良な病変ではスネアがかからずEMRが困難になります。以上のようなEMRが困難な病変に対して内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic Submucosal Dissection: ESD)は、専用のナイフで任意の部分を切開・剥離するため内視鏡的に一括切除ができ、EMRと比較して根治性が高くかつ正確な病理診断が得られ、患者様に明確な治療方針を提示することができます。大腸は解剖学的に胃と比べ壁が薄いことや、屈曲している臓器でありESDは困難と言われております。 当科では、内視鏡治療に特化した専門の医師がESDを施行しており、年間50例程度行っており完全切除率は高く、穿孔などの偶発症も低確率で良好な成績を示しております。
当院では、2006年に大腸病変に対して内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を導入しております。2012年4月より保険収載されておりますが、2011年7月より先進医療の認定を受けて積極的に治療に取り組んでおります。

治療を行う際には、十分な説明(インフォームド・コンセント)を行い、患者さま・ご家族さまが病気について十分理解された上での治療を心がけています。入院治療は3日~6週間程度ですが、患者さまの病態によっても異なるため、入院の目的に合わせての治療計画を提供するようにしています。当科では看護師を含むチーム治療を大事にしており、定期的にカンファレンスを行うことにより適切な治療を提供することを心がけています。

治療を受ける患者さまへのお願いとしまして、抗血小板薬・抗凝固薬(血をサラサラにする薬)を内服されている方、ペースメーカーを挿入されている方はスタッフにお申し出下さい。

主な内視鏡治療の紹介

内視鏡的粘膜切除術(EMR:Endoscopic Mucosal Resection)

上部消化管内視鏡治療を参照ください。

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD:Endoscopic Submucosal Dissection)

治療の適応となる病変は以下の通りです。従来の内視鏡的粘膜切除(Endoscopic Mucosal Resection :EMR)では、切除が難しい病変: ①スネアの大きさを上回るような2㎝以上の病変、②1㎝以上のEMR後遺残・再発病変、③EMR時の粘膜下局注(専用の液体を注入する手技)による病変の挙上が不良な病変等があります。
このような病変でも内視鏡的に病変の一括切除が期待できます。一括切除の場合は、分割切除(検体がバラバラになる)と比べ遺残・再発率が低く根治性が高いこと、正確な病理診断が可能などの利点が挙げられる。正確な病理診断は、正確な情報を患者さまに提示でき、適切な治療方針を示すことが可能です。また、治療選択の一つである外科手術と比較し場合、患者さまの肉体的・精神的負荷の軽減と在院日数の軽減が期待できます。

治療の適応とならなかった病変や、治療後の病理診断で転移の危険があるような病変と判断された場合には、外科的手術が必要となることがございますので、自分が適応となる病変かどうか担当医にお尋ねください。

EMRと同様に、粘膜下に液体を注入して病変を膨隆させた後、粘膜を切除するための特殊なメスを用いてがんの周囲を切開し、粘膜を剥離する方法です。治療中は、鎮静剤や鎮痛剤の注射を行い鎮静されるため苦痛はほとんどありません。治療には約1週間弱の入院が必要となります。

お問い合わせ先

東邦大学医療センター
大橋病院 消化器内科

〒153-8515
東京都目黒区大橋2-22-36
TEL:03-3468-1251(代表)