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上部消化管内視鏡治療

当院では、早期胃がんに対する治療として2004年に内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を導入し、積極的に治療に取り組んできました。胃ポリープ、腺腫などの良性疾患における内視鏡治療も従来通り施行しておりますが、近年ではESDの普及により、ますます内視鏡治療の比重が増してきました。年間80件ほどの内視鏡治療を正確かつ安全に行っています。また、2011年からは、第3外科と連携して内視鏡と腹腔鏡を組み合わせた治療(主に胃粘膜下腫瘍に対し)を導入しました。この治療は、胃を部分的に切除するため消化管の機能を温存できる低侵襲治療として注目されている新しい治療です。

治療を行う際には、十分な説明(インフォームド・コンセント)を行い、患者さま・ご家族さまが病気について十分理解された上での治療を心がけています。入院治療は3日~1週間程度ですが、患者さまの病態によっても異なるため、入院の目的に合わせての治療計画を提供するようにしています。当科では看護師を含むチーム治療を大事にしており、定期的にカンファレンスを行うことにより適切な治療を提供することを心がけています。

治療を受ける患者さまへのお願いとしまして、抗血小板薬・抗凝固薬(血をサラサラにする薬)を内服されている方、ペースメーカーを挿入されている方はスタッフにお申し出下さい。

主な内視鏡治療の紹介

内視鏡的粘膜切除術(EMR:Endoscopic Mucosal Resection)

主に胃ポリープ、胃腺腫、早期胃がんに対して行います。生理食塩水などを病変の根元に注入し病変を膨隆させます。金属製のスネア(リング状の針金)で病変の根元をしばり、高周波電流で切除する方法です。

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD:Endoscopic Submucosal Dissection)

治療の適応となる胃がんは主に粘膜内に存在する早期のがんです。治療の適応とならなかった病変や、治療後の病理診断で転移の危険があるような病変と判断された場合には、外科的手術が必要となることがございますので、自分が適応となる病変かどうか担当医にお尋ねください。

EMRと同様に、粘膜下に生理食塩水などを注入して病変を膨隆させた後、粘膜を切除するための特殊なメスを用いてがんの周囲を切開し、粘膜を剥ぎ取る方法です。治療中は、鎮静剤や鎮痛剤の注射を行うため軽く麻酔がかかった状態になり苦痛はほとんどありません。治療には1週間の入院と、退院後2ヶ月間の内服治療が必要となります。

腹腔鏡内視鏡合同手術(LECS:Laparoscopy and Endoscopy Cooperative Surgery)

LECSはESDを用いて胃内腔から腫瘍の周囲を切開し、腹腔鏡下に腫瘍を摘出する方法です。内視鏡的治療や腹腔鏡手術の手技の融合させた新たな治療戦略であり、腫瘍のみを最小限に切除できることから術後の胃の変形が少なく、通過障害や食物停滞などの術後合併症が予防できるといった利点があります。入院期間は約1週間程度です。主に、胃内に発育する粘膜下腫瘍が適応となります。適応となる病変かどうかは担当医にお尋ねください。

お問い合わせ先

東邦大学医療センター
大橋病院 消化器内科

〒153-8515
東京都目黒区大橋2-22-36
TEL:03-3468-1251(代表)