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腹膜がん(原発性腹膜癌)について

腹膜がんとは

腹膜がんは卵巣がんの類縁疾患、つまり「兄弟」のような病気で、卵巣がんの一種である漿液性腺がん(しょうえきせいせんがん)と極めて類似の組織型(顔つき)を示しますが、卵巣がんより予後不良であることや、原発不明のがん性腹膜炎と診断されていることも多いなど、卵巣がんと異なる特徴があります。

腹膜がんの診断基準の要旨

  • 両側卵巣の大きさは、正常大、もしくは良性変化による腫大である
  • 卵巣外の病巣が,卵巣の病巣より大きい
  • 卵巣の病巣は以下のいずれかを満たす
    ① 卵巣に病巣がない、② 卵巣の表層のみに存在する、③ 卵巣の間質に浸潤しているが、5mm径以内である
  • 腫瘍の組織学的および細胞学的特徴は、卵巣漿液性腺癌と類似もしくは同一である
腹膜がんの画像診断
腹膜がんの画像診断

腹膜がんの治療

腹膜がんはお腹の中の広範囲に進行した状態で発見されることが多いため、治療の原則は進行卵巣がんのそれに準じます。つまり徹底的な腫瘍減量術と化学療法(抗がん剤治療)を行います。適切な手術療法を行わず、いたずらに化学療法のみで治療することは、厳に避けなければなりません。よって、経験豊富な婦人科腫瘍専門医による診断と治療が、極めて大切であると言えます。
腹膜がんは骨盤内の病変よりも上腹部の病変が優勢なため、手術を行う際はこれらを十分に減量するように努めなければなりません。一方で卵巣がんよりも全身状態が悪い状態で見つかることが多いので、術前化学療法を積極的に先行させる場合があります。腹膜がんの化学療法は、通常パクリタキセル(T)とカルボルラチン(C)の併用療法(TC療法)を行いますが、分子標的薬であるベバシズマブを上乗せして治療する場合もあります(TC+Bev療法)。