手術について
外来は渡邉 学准教授、浅井浩司講師をはじめ肝胆膵外科の専門医師が火曜日・木曜日と担当しております。
肝臓手術
肝細胞癌に対しては肝機能因子と腫瘍因子(腫瘍の大きさ・部位・浸潤程度など)より切除、RFAを中心とする焼灼療法(ラジオ波焼灼療法)、TACE(経カテーテル的肝動脈化学塞栓療法)を組み合わせた治療を行っています。肝細胞癌の5年生存率は38.8%でありました。一方、大腸癌肝転移を中心とした転移性肝癌に対しては積極的に肝切除を行っており、大腸癌肝転移切除例の5年生存率は39.9%でありました(非切除症例の5年生存率は4.6%でありました)。今後は腹腔鏡下に行う肝臓手術も積極的に取り入れる予定です。
胆道手術
胆石症などの良性胆嚢疾患に対しての腹腔鏡下胆嚢摘出術症例はこれまで1000例以上を経験し、最近では年間100例以上、ほぼ100%腹腔鏡下に行っており、その完遂率は97%を越えています。総胆管結石合併例に関しては消化器診断部(胆道グループ)が術前に内視鏡下に切石し腹腔鏡下胆嚢摘出術を行うことにより、入院期間が著しく短縮しています。急性胆嚢炎に対しては早期に腹腔鏡下胆嚢摘出術を行い、入院期間の短縮・入院費用の削減を図っています。また近年では単孔式腹腔鏡下手術(SILS: Single incision laparoscopic surgery・SPS: Single port surgery・TANKOと呼ばれるおへその1ヶ所の創で行う腹腔鏡手術)も積極的に取り入れており症例数も増加傾向にあります。胆道癌に対しては積極的に切除を行っており、胆管癌、胆嚢癌、十二指腸乳頭部癌の5年生存率はそれぞれ39.6%、40.5%、72.7%でありました。
膵臓手術
膵癌に対する血管合併切除も積極的に行い遺残のない手術に心掛けています。また、患者さまによっては術前あるいは術後に放射線療法や抗がん剤治療を行い、治療成績の改善に努めています。膵癌切除症例の5年生存率は29.7%でありました。手術手技に関しては膵切除や吻合方法などに関してさまざまな工夫を行い術後合併症が減少し良好な手術成績をおさめています。また、近年では膵臓の機能温存を目指した手術も行っており、嚢胞性膵疾患に対する脾臓・脾動静脈温存した膵切除や慢性膵炎・膵石症に対するFrey手術(膵管開放・膵石除去、膵管空腸吻合)なども症例数が増加傾向にあります。