ご挨拶

【お問い合わせ先】

東邦大学医療センター
大橋病院 腎臓内科

〒153-8515
東京都目黒区大橋2-22-36
TEL:03-3468-1251(代表)

ご挨拶

 

慢性腎臓病は国民の8人に1人の頻度で合併する疾患ですが、自覚症状に乏しいため発見が遅れる傾向にあります。疾患の発見が遅れると透析治療や腎移植治療が必要となる場合があります。健康診断や「かかりつけ医」で蛋白尿や血尿が指摘された場合、高血圧が持続する場合には早期に外来を受診されることをお勧めします。

1.慢性腎臓病とは?

教室責任者 長谷弘記 教授
教室責任者 長谷弘記 教授
慢性腎臓病は(1)蛋白尿や血尿を認めないが腎臓機能(糸球体ろ過量)が低下している疾患群と(2)蛋白尿や血尿を認めるとともに腎臓機能が低下している疾患群に分類されます。この2つ疾患群では治療方法が大きく異なりますので十分な注意が必要です。

(1)蛋白尿や血尿を伴わない慢性腎臓病
最も頻度が高いのは、「高血圧性腎硬化症」です。高血圧を放置していた場合や血圧管理が不十分な場合に腎臓機能は徐々に低下します。次に多いのは「腎動脈狭窄症」です。腎臓へ血液を運搬する腎動脈が動脈硬化などによって狭くなると、高血圧とともに腎臓の虚血が生じるために腎臓機能が低下します。その他、各種カテーテル治療が発達することによって増加した疾患として「慢性コレステロール塞栓症」があります。動脈硬化は腹部大動脈で最も早期に発現し、プラークが進展します。下肢動脈から治療目的で挿入されたカテーテルはこの腹部大動脈を通過しますので、プラークを破壊して全身へ飛散させることがあります。重症な場合にはカテーテル治療直後に腎臓機能が低下しますが、軽症の場合には数年に渡ってコレステロールの結晶が血液中に飛散する状況が続き、数か月~数年の期間で徐々に腎臓機能が低下します。これら、蛋白尿を伴わない慢性腎臓病治療の基本は腎糸球体への血流量を増加させる「カルシウム拮抗薬」を用いることです。

(2)蛋白尿や血尿を伴う慢性腎臓病
最も頻度が高いのは「糖尿病性腎臓病」です。糖尿病治療で血糖管理が不十分な場合には徐々に腎臓機能が低下しますが、蛋白尿またはアルブミン尿が発現すると、平均5年間で腎臓機能は廃絶します。次に多いのが「慢性糸球体腎炎」です。慢性糸球体腎炎には蛋白尿が発現してから平均5年間で腎臓機能が廃絶する「巣状糸球体硬化症」、平均30年間かけて腎臓機能が排泄する「IgA腎症」まで、様々な糸球体腎炎が含まれています。全く腎臓機能が悪くならない場合もあります。心臓機能が悪化する兆候を認めた場合には背部から腎臓を穿刺して、一部の腎臓組織を採取して顕微鏡診断を行う「腎生検」を行う場合もあります。「糖尿病性腎臓病」や「進行性慢性糸球体腎炎」などの蛋白尿を伴う慢性腎臓病治療の基本は「レニン・アンジオテンシン阻害薬」を用いることです。
慢性腎臓病で診断条件を満足すれば、「ファブリー病」、「全身性アミロイドーシス」、「顕微鏡的多発血管炎」、「結節性多発動脈炎」、「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症」、「抗糸球体基底膜腎炎」、「全身性エリテマトーデス」、「IgA腎症」、「多発性嚢胞腎」、「アルポート症候群」、「急速進行性糸球体腎炎」、「一次性ネフローゼ症候群」、「一次性膜性増殖性糸球体腎炎」、「紫斑病性腎炎」、「非典型溶血性尿毒症症候群」、「IgG4関連疾患」、「悪性高血圧(東京都単独疾病)」は難病指定となりますので、医療費の補助を受けることができます。

2.腎臓病患者さんでは心臓病が最大の死因になります

透析治療を受けている患者さんの死亡原因の1位は「心臓突然死」です。
透析治療を受けている患者さんはより長期間に慢性腎臓病を患っていますので、全身の動脈硬化が進んでいます。慢性腎臓病や糖尿病を合併していない患者さんでは冠動脈に狭窄や血栓が形成された場合、激しい胸部症状を伴いますので医療機関に搬送されて早期に治療が行われます。
しかし、慢性腎臓病患者さんでは胸部症状が発現しないことがあり、自覚症状なしに「心筋梗塞」や「虚血性心筋症」を合併している場合があります。さらに、透析治療に伴う短時間での体液量の変化が「交感神経系」を活性化しますので、容易に不整脈が発生します。ある種の不整脈が発現すると「心臓突然死」を来します。
その他、前述しました「虚血性心筋症」、「大動脈弁狭窄症」も高率に合併します。
また、下肢動脈の動脈硬化による「末梢血管疾患」も高頻度で合併します。ある一定の距離を歩くと、左右いずれかの下肢倦怠感を覚える場合には早期に受診されることをお勧めします。

当診療科では急性腎傷害(手術後の急性腎臓病)から慢性腎臓病、透析期慢性腎臓病の患者さんまで幅広く診療しております。特に、慢性腎臓病と心臓病とが強い関係にあること(心腎連関)の臨床研究では世界のトップを走っていますので、一度診療を受けてみては如何でしょう。