よくあるご質問・胃腸編
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症状からは、感染性胃腸炎(いわゆる“嘔吐下痢症”)を疑います。これは病原性のあるウイルスや細菌を、口から摂取することで感染し、腸管内部で繁殖することにより、嘔吐や下痢、腹痛、発熱をきたすものです。原因としては、ウイルス感染によるものが多数を占め、主に秋~冬にかけて流行します。原因がウイルス感染の場合、根本的治療がなく、吐き気止めや、整腸剤で症状の緩和を図り、少量ずつ水分を摂りながら経過をみます。
嘔吐・下痢が続き、ぐったりしてきたら、脱水症が懸念されますので、早めに受診して下さい。なお、嘔吐物や排泄物から周囲に感染が拡大しますので、それらの取り扱いには注意し、手洗いを励行されるようにして下さい。
(受診の際、ビニール袋にオムツを密封したものか、便の形状を撮った携帯画像などをお持ち頂くと、診断の参考になります。)
また、生後1か月前後で、噴水のような嘔吐を繰り返す場合も、早めに受診するようにして下さい。
下痢でオムツかぶれがひどくなる事があります。オムツをこまめに替え、塗り薬も併用されると良いでしょう。 -
感染性胃腸炎を起こすウイルスは多数あります。代表的なウイルスが、ノロウイルスやロタウイルスで、その他にもアデノウイルスやアストロウイルスなど多岐にわたります。
仮にノロウイルスが原因と判明しても、特異的な治療法は無く、対症療法に変わりはありません。なお、迅速検査の保険適応は、①3歳未満の患者,②65歳以上の患者,③悪性腫瘍の患者,④臓器移植後の患者,⑤抗悪性腫瘍剤・免疫抑制剤を使用中の患者と決められています。 -
便秘症の可能性があります。排便の頻度には個人差があり、何日出ないから“便秘”と、一概には言えません。2~3日に1回の排便であっても、便が軟らかく、子供が元気なら、治療の必要はないと考えます。便秘か否かは、排便回数や便の硬度を普段の状態と比較し、排便困難感の有無など踏まえ総合的に判断します。『お腹が張って痛がる・食欲がない』、『排便がしばらく無く、機嫌が悪く、いきむが出ない』、『コロコロした硬い便が出て、排泄時に肛門部を痛がる』という場合は、医療機関を受診された方が良いです。
家庭で出来る対応としては、乳児の場合なら、綿棒浣腸(※参照)をまず試みて下さい。またミルクを増やしたり、オリゴ糖や麦芽糖を混ぜて腸内環境を整えるのも良いです。生後6か月以降になると、生活習慣の変化(離乳食開始・食物繊維の不足した食事・運動不足・トイレトレーニング開始など)、環境変化(引越し・小学校入学など)、硬便排泄時の疼痛に対する恐怖感で排便を我慢する事などが原因になります。
その対策としては、離乳食にヒジキやワカメなど海藻類を加える、飲水量を増やす、食事内容を工夫する(ほうれん草や小松菜など葉物類を茹でて食べさせる、オレンジなどの柑橘類を絞ってジュースにして毎日飲ませる、濃縮プルーンを朝夕食べさせる等)があげられます。
これらを行って、効果が乏しい場合も、医療機関の受診をお勧めします。「排便を我慢させない」ようにして上げて下さい。(日本小児栄養消化器肝臓学会から保護者向け小冊子がダウンロードできます。参考にされて下さい。)
※綿棒浣腸…市販の成人用綿棒を使います(∵ベビー用は細い)。先端の綿を指で少しほぐし、ベビーオイルや植物油(オリーブ油など)を付けて滑りやすくします。児が排便しても汚さないように、お尻の下にオムツや新聞紙を敷いて寝かせ、両足を持ってお腹側に寄せて、肛門を見えやすくします。 肛門に傷がない事を確認し、綿の部分が隠れる1~2cm程度を肛門に入れます。円を描くように肛門内側の粘膜面を刺激して下さい。1回につき、10秒くらいで結構です。2~3回行っても、便がニョキニョキ出なければ、肛門付近に便が貯まっていない可能性があります。