医療関係者の方へ

弁膜症:大動脈弁疾患
近年の弁膜症に対する治療の進歩は著しいものがあります。
ただ根治性を求めるだけではなく、より質の高い生活(QOL)を得るための手術方法が求められています。
僧帽弁閉鎖不全症に対する僧帽弁形成術は、安定した成績を残せるようになってきました。
僧帽弁形成術で発達した技術を使用し、ここ数年の間に大動脈弁閉鎖不全症(AR)に対しても形成術が施行されるようになりましたが、依然として安定した成績は出されていません。さらに大動脈弁狭窄症(AS)に対する形成術は未だ確立されておりませんでした。
当科では大動脈弁疾患(AS、AR、大動脈基部拡大によるAR症例、人工弁置換手術後の再手術症例など)に対し「自己心膜を使用した大動脈弁形成術」を施行しています。
2007年4月より開始した新しい手術方法ですが、2011年9月末で400名以上の患者様がこの手術を受けられており、とても良好な成績を得ています。
開胸術:MICS(低侵襲心臓手術)
MICS (Minimally Invasive Cardiac Surgery:低侵襲心臓手術)とは
- 胸骨正中切開(大きく胸の真ん中を切り20から25cmの傷が残ります)を行わずに,左胸の出来るだけ小さな傷から心臓の手術を行います.小さな傷で,大きく切る手術と同じことをするために、内視鏡も使います。
- 人工心肺装置を用いた体外循環 は小さな傷からは行えませんので、太ももの付け根を通っている大腿動脈・大腿静脈から管を入れて行います.技術的には難しく、手術時間も長くなります。当院では経験豊かな術者が執刀します。
切開部位について

上段が胸骨部分切開
upper partial stenotomy/lower partial stenotomy
下段がthoracotomy 右開胸(胸骨を切らない)
Right parasternal minithoracotomy/Right thoracotomy
開胸手術に伴う用語の解説
胸骨正中切開とは

胸骨とは,胸の前側・真ん中にある縦長の大きな板状骨です。
肋骨(あばら骨)・背骨とつながり,心臓や肺など命に関わる重要な臓器を骨の鎧(骨性胸郭といいます)で守っています。
心臓手術を行うには,この鎧の中に入らなければなりません。
一般的には胸骨を完全に縦割りして(胸骨正中切開),これを万力のような器械(開胸器)で大きく広げて心臓の全てがよく見える状態で安全に手術を行います。胸の真ん中に20から25cmほどの大きな傷跡が残ります。