研究

1.重症アトピー性皮膚炎と副腎皮質機能との関連

アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis: AD)患者における内分泌系の機能に関しては、治療で使用したステロイド外用薬や内服薬による副腎皮質機能の抑制が指摘されています。当科では重症度の高いAD患者は積極的に入院療法を行っており、短期間に比較的多くの量のステロイド外用薬を使用しています。一般的に多くの量のステロイド外用薬を使用すると、ネガティブフィードバック作用により副腎皮質機能の抑制が起こるとされていますが、我々の臨床研究では重症度の高いAD患者では入院時に多くの患者で血中コルチゾール値が低下し、副腎皮質機能の抑制が生じており、ステロイド外用薬を中心にした治療で、副腎皮質機能が正常に回復することを確認しております。この明確な機序は現時点では不明ですが、慢性的な強いストレス負荷などが副腎皮質機能の抑制に関与していると考えており、現在も臨床研究を行っております。また、ADの新たな血中病勢マーカーとしての有用性も検討しております。当研究内容は、2010年の第26回日本臨床皮膚科医会総会・臨床学術大会において、「アトピー性皮膚炎における入院療法の有用性-ステロイド外用量と血中コルチゾール値推移の検討-」という演題で、金賞を受賞しております。

2.アトピー性皮膚炎に対するデュピルマブの有効性および安全性の検討 

アトピー性皮膚炎 (atopic dermatitis: AD)に対するデュピルマブの実臨床における有効性および安全性を検討しています。検討項目は、デュピルマブ投与開始時、1か月後、2か月後、4か月後、1年後における皮膚症状 「Investigator's Global Assessment (以下、IGA)、 Eczema area and severity index (以 下、EASI)」の推移、血中病勢マーカー 「血清Immunoglobulin E (以下、IgE)、末梢血好酸球数、血清Lactate dehydrogenase (以下、LDH)、血清Thymus and Activation-Regulated Chemokine (以下、TARC)」の推移、副作用発現の有無 「副作用の種類 (発現時期)」です。ADは皮膚バリア機能低下、アレルギー炎症、瘙痒が関与し、増悪・寛解を繰り返す湿疹・皮膚炎群の一疾患で、生活の質が非常に低下しています。デュピルマブ の有効性および安全性を示すことにより、本薬剤の適正使用につながり、重症なAD患者の症状安定につながると考えています。

3.毛包間葉系組織における毛成長関連因子発現の部位間比較に関する研究

ヒトの毛髪の成長は、皮下の毛包組織の最下部にある毛乳頭によって制御されていることが知られていますが、最近の研究により、毛包下部の毛球部を取り囲む毛球部毛根鞘組織が毛乳頭細胞に代わり毛包誘導能を示すなど、毛乳頭以外の間葉系組織が毛成長に深く係わっている可能性も示唆されてきています。当科では、毛根鞘組織の各パーツにおける毛成長関連遺伝子の発現状態をマイクロアレイなどの手法を用いて調べ、毛成長における毛球部毛根鞘細胞の役割について検討しています。

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