診療科挨拶

先進的取り組みで長期的QOL向上を目指す
個性伸ばし、多様なフィジシャン・サイエンティストを

膠原病リウマチ科【教授】亀田 秀人

長期的なQOLの向上を目指す診療科

膠原病リウマチ科の診療では特定の臓器を診るのではなく、全身性疾患と向き合うことになります。さまざまな合併症や併存症にも気を配りながらの治療も重要です。QOLの向上は非常に大切であり、関節の具合が良くなっても全体としてのQOLが下がってしまったら、その治療は成功とは言えません。患者さんを全人的に捉え、長期的な予後を改善していくことを念頭に置いていくことが重要です。早期発見、早期治療を目指して市民公開講座を行ったり、長期的な視点で治療薬を選ぶといった取り組みをすることで、患者さんのQOL改善に努めているのが当科の特徴です。

勇気を持って新しい治療にも取り組む

当科の臨床における特色として、副腎皮質ステロイド薬の使用を根本的に変革している点が挙げられます。短期予後は改善するものの長期的にはマイナス面が大きい副腎皮質ステロイドは最低限に抑え、変わりに進歩を遂げている免疫抑制薬や生物学的製剤を早い段階から積極的に使用しています。当初は不安視する声も聞かれましたが、今ではいくつかの治療がガイドラインに掲載されるまでになりました。
また、当科では週に5日、外来にて関節超音波検査を行っています。この頻度、規模は珍しいもので、この分野のパイオニアの一人である小倉剛久講師を中心に熱意を持って取り組んでいます。

真面目に働けば自然と力が付く環境。研究も積極的に

若手育成においては、特別なプログラムなどは用意していません。それは、当科で普通に働いていれば、当たり前のように内科専門医やリウマチ専門医の資格を取れるからです。日々の診療業務や週2回のカンファレンスなどを通して技能や知識を習得できますし、むしろそういう内容でなければならないと考えています。
研究に関しては、すべての医局員が行い、学位を取るように強く勧めています。この分野は進歩が早いので、基礎的な部分を勉強していないと最先端の臨床に付いていけなくなってしまうからです。希望があれば海外施設での研究も可能ですので、フィジシャン・サイエンティストを目指してほしいと思います。

個性や長所を重視。自主性が大切な医局

膠原病リウマチの分野は、これからもどんどん進歩して面白くなっていく分野だと思います。患者さんの数に対して医師の数が少ないので、ニーズがたくさんある分野でもあります。
突き詰めて考えたり、長い時間をかけて考えるのが好きな人、少しでも深く理解しようと努力できる人は当科に向いているのではないでしょうか。その一方で、こういう医師を育てよう、という理想像は持たないようにしています。われわれ指導する側が型にはめるのではなく、それぞれの個性や長所を伸ばしたいと思っていますので、若い先生には自主性を持って働いてもらえる職場だと自負しています。