診療方針

脳神経内科について

脳神経内科は身体医学の中で、脳、脊髄、末梢神経、筋肉の疾患を診断し治療する診療科です。2018年に、それまでの呼称だった「神経内科」から現在の脳神経内科に変更されました。当院の脳神経内科は、まだ“神経内科”という名称が用いられていなかった初代里吉営二郎教授時代以来、国内の代表的な神経内科教室として難病の診療にあたってきました。脳神経内科が診療する疾患の中で頻度の高いものとしては、頭痛、脳脊髄の血管障害(脳梗塞,脳出血など)、パーキンソン病などの運動異常症、痴呆症(認知症)、てんかん、脳炎、脊髄炎、脊髄小脳変性症、多発性硬化症、筋萎縮症(運動ニューロン病)、末梢神経炎、ギランバレー症候群、筋ジストロフィー、重症筋無力症、多発筋炎等があげられます。

診療科の特徴

私たちの診療科の特徴は、教室の伝統でありました骨格筋疾患の患者さまが多い点です。なかでも重症筋無力症や多発筋炎のような自己免疫機序に基づく筋疾患の診断と治療の経験が豊富です。また重症筋無力症の治療に欠かせない胸腺摘出術のような特殊な治療も大橋病院の外科と麻酔科は経験が豊富であり、これらの診療科と協力して治療に当たっています。

脳神経内科が扱う疾患

脳神経内科が扱う疾患は、その多くが専門医による詳細な病歴聴取と神経学的診察によって診断可能であるのが特徴です。そして診断を確定するために、補助的な検査を適宜組み合わせていきます。これらの中には、MRI、MRA、脳波、末梢神経伝導速度測定のような患者さまにあまり苦痛のない検査から、筋電図、髄液検査、神経筋生検といった疼痛を伴うまたは間欠的な診断手段も含まれます。患者さまに苦痛が少ない組み合わせを優先して検査計画を立てています。

これらの診断・治療には、難関と目されてきた日本神経学会認定試験をパスした神経専門医6名が当たっています。私たちの診療科では、今後も神経専門医を育てるべく卒後教育を行っており、これに伴って将来専門医数が増加すると考えております。

先進的研究にも従事。近郊の関連施設で研修も可能

原則的にすべての先生が研究に携わるようにしていて、大学院にも積極的に行ってもらうように指導しています。他施設にはないような先進的な研究にも取り組んでいますので、そういった研究に関わるチャンスもあるでしょう。
入局後、最初の目標は内科認定医の資格取得で、続いて神経専門医となります。研修に出られる関連病院は田園都市線沿線にいくつかあり、引っ越しをすることなく、当院には比較的少ない症例を学ぶことが可能です。海外にも派遣できる施設がいくつかありますので、基礎的な力を付けた後にチャレンジしてもらいたいと思います。

患者の人生を丸ごと抱えるつもりで

神経系の病気は治療に時間がかかるものが多く、患者さんの人生の多くを費やして進行、持続していきます。当科には昭和30年代から通院し続けている患者さんもいらっしゃるほどです。そういった病気を治療するわれわれも、患者さんの人生を丸ごと抱えるつもりで向き合わなければいけません。患者さんのさまざまなライフイベントをともに追体験するという、非常に貴重な経験のできる診療科です。そういった中で、先進医療をさらに進歩させることも、地域に根差した暖かい医療を展開することも可能ですので、当科がその出発点になれれば幸せです。